中国の輸入廃品検査と18年3月以降の新基準
◆従来までのいきさつ=配電盤、モーターなど鉄製容器収納の非鉄類(いわゆる雑品)の解体は、人件費の高い日本ではコストが嵩むため処理困難物とされた。そのため90年代後半から人件費の安い中国向け輸出が増加し、00年代後半から現地に合弁、もしくは直接工場を開設する動きが拡大した。
雑品の輸出量は日中両国の通関統計(鉄スクラップ・銅スクラップ)差から推計でき、04年は中国向け鉄スクラップ輸出全体の40%超に達した(06年1月17日、日刊市况通信)。このため中国国家質検総局(AQISQ)は05年1月、輸入企業を許可企業だけに限定した。
鉛や有害金属を含む「雑品」貿易は、有害廃棄物の国境を越える移動」を規制するバーゼル条約(92年発効)でも問題とされた。このため今回、中国環境保護総局と質量監督検験検疫総局は18年3月「廃棄物原料環境保護基準」(新版)を施行した。
さらに中国生態環境部は18年4月、輸入廃棄物の管理品目について18年末で雑品をはじめ、雑線・廃モーターといった銅、アルミスクラップなど16品目の輸入禁止を公告した(18年4月23日、産業新聞)。
◆18年3月廃棄物原料環境保護基準」(新版)
▼中国国家環境保護総局と国家質量監督検験検疫総局が17年12月29日に公布し、18年3月1日に施行した「廃棄物原料環境保護基準」(新版)の日本語訳は以下のリンクよりダウンロードできます。http://www.ccicjapan.com/?page_id=40
輸入廃棄物原料環境保護規制基準=▽製錬くず ▽木・木製品くず ▽古紙または板紙 ▽鉄鋼屑 ▽非鉄金属 ▽廃モーター ▽廃電線ケーブル ▽廃五金電器(日本の廃家電に同じ。) ▽解体用船舶及びその他浮き構造物 ▽廃プラスチック▽ 自動車プレス部品
うち鉄鋼屑(抜粋)
4 規制基準と要求
4.1 輸入鉄鋼屑の放射能汚染規制=a放射性廃棄物が混入していないこと。b外部照射放射線測定値が到着港の正常な自然射放射線測定値+0.25μGy(マイクロ・グレイ)/hを超えないこと。c以下略。
4.2 廃棄爆弾等の弾薬が混入していないこと。
4.3 密閉容器、危険廃棄物などの混入は輸入鉄鋼屑の重量の0.01%を超えてはならない。
4.4 その他の混入物(故紙、廃ガラス、廃プラ、廃繊維、直径2mmを超えない粉状廃棄物、剥離サビ等の廃棄物)は輸入鉄鋼屑の重量全体の0.5%を超えてはならない。
・直径2mmを超えない粉状廃棄物(ほこり、ドロ、金属酸化物を除く)は輸入鉄鋼屑の重量の0.1%を超えてはならない。
5 検査
5.1 検査方法は抜き取り検査とする。
コンテナ積みの場合は、開封・開披・開梱・選別検査を行う。本船積みの場合は、船倉の開封及び到着時検査を行う。抜き取り検査結果は貨物全体の検査結果とみなす。
◆CCIC・JAPANとは=中国検験認証集団有限公司(China Certification & Inspection(Group)Co.,Ltd.)は、1980年に中国で輸出入貨物の検査を行う検験検疫局(CIQ)の一部署としてスタートし92年以降CCICグループとなった。名前が「中国」で始まる唯一の検査・鑑定・認証・試験を主要業務とする検査機関。海外子会社の中で日本にあるのがCCIC・JAPAN。http://www.ccicjapan.com/