スチールストーリージャパンホットニュース

 

   
hotnews

2018-10-12
「関東鉄源、10月輸出入札は安値応札を嫌って流札」考える  
2018-05-21
鉄リサイクル業の現在及び将来を考える(18年5月)  
2018-04-07
有害使用済機器の保管等に関するガイドライン(第1版)平成30 年3月環境省  
2018-04-05
改正廃棄物処理法のうち、雑品等の保管に関する法令・処罰まとめ  
2018-02-16
改正バーゼル法検討会が18年1月9日「とりまとめ」を報告した  
2018-01-04
2018年 鉄スクラップマーケット概観  
2017-02-03
岐阜県の「使用済金属類営業条例」を考える  
2016-12-26
2017年・鉄スクラップマーケット展望(冨高試論)  
2017-01-13
鉄スクラップ業と「社会的信認」を考える  
2016-12-27
鉄屑カルテルから鉄鋼公開販売まで(1)  
2016-12-27
鉄屑カルテルから鉄鋼公開販売まで(2)  
2016-12-27
復活する金属屑営業条例(1)  
2016-12-27
復活する金属屑営業条例(2)  
2017-02-06
復活する金属屑営業条例(3)  
2016-11-28
一言コメント アーカイブ  
2016-07-22
鉄スクラップビジネスの経営戦略(提携・買収が進む。16年7月)  
2016-05-30
なぜ相場が安いのか(16年5月 講演会より)  
2015-12-26
2016年鉄鋼・鉄スクラップマーケットをどう見るか  
2016-02-10
鳥取県「使用済物品放置防止条例」案を可決・成立(追加)  
2015-11-03
企業経営、組合活動はどうあるべきか  
2015-10-22
「鋼材デフレ」と「鉄鋼集約効果」、「業者の合従連衡」を考える  
2015-07-06
「高炉・鉄スクラップ使用の歴史的推移と今後」私論(15年7月)  
2015-07-21
「無料回収」と「無許可」営業問題を考える(7月追加・改訂)  
2015-07-21
15年:鉄スクラップ相場の枠組みと「試算式」(6月22日改訂)  
2015-06-22
経産省「金属素材競争力強化プラン」(2015年6月19日)  
2015-06-23
放射能検査と鉄スクラップ輸出(増補・改訂。最新版6月22日改訂)  
2015-04-17
電力料金値上げと電炉再編を考える(4月15日増補)  
2015-03-24
世界の鉄スクラップ相場も「新常態」へ  
2015-12-05
千葉県、「特定自動車部品ヤード保管条例」を15年4月施行  
2016-11-03
金属類営業条例とは何か  
2015-08-20
リサイクル関連・各種法制  
2014-09-10
自動車リサイクル、国及び自治体の規制  
2014-08-03
自動車解体・部品ビジネスのいま  
2014-09-10
日本の鉄スクラップ輸出環境を考える  
2015-08-20
家電、小型家電リサイクルと廃棄物  
2014-07-03
いわゆる「市中品薄」を考える  
2014-08-22
再生資源業界・最近小史(明治~現在)   
2014-10-15
放射能汚染と検知器導入を考える  
2014-07-04
計量単位・C&F、FOB、FAS関係式  
2014-07-03
鉄スクラップ、レアメタル商品特性  
2016-07-29
基本データ(数量、組織、情報入手)  

社史作成

英文翻訳

鉄スクラップ総事典

鉄スクラップ史集成

鉄スクラップ業者現代史

近現代日本の鉄スクラップ業者列伝

 

2017年・鉄スクラップマーケット展望(冨高試論)

2017年・鉄スクラップマーケット展望(冨高試論)

 

2016年回顧

2016年を表す言葉として、オックスフォード大学出版部が「ポスト・トゥルース(真実)」を選んだ。端的に言えばウソがまかり通ったということだ(1223日、日経新聞「大機小機」)。6月英国のEU離脱、11月米国の大統領選挙。ブラックスワン(黒い白鳥)の「まさか」が2度起こり、17年に3度目のブラックスワンが舞い降りるかとの論評もでた。

 

2017年概論

17年は選挙の年である(3月オランダ、4月韓国大統領選? 5月フランス大統領選、9月ドイ連邦議会選)。その結果によっては、世界の政治環境が一変する可能性がある。

 1929年の「大恐慌」は、世界に保護貿易の高まりと農民・中産階層を没落させ、その政治不信が大衆迎合的なポピュリズムを産み、狂信的指導者を呼び込み、世界秩序を完璧に破壊した。

近代政治体制が確立した先進国では、民衆の不満が武装蜂起、政権奪取に至る古典的な革命はもはや起きない。起こるのは選挙を通じた大衆操作と政権転覆である。ムッソリーニもヒットラーも選挙で政権を確保したのだ。2008年に始まった「大不況」は1929年以後の世界と同様に、保護主義とポピュリズム台頭を許した。それが16年の「まさか」であり、「ブラックスワン」の出現だった。三度目もないことではない。それが17年の予感である。

 

17年 鉄スクラップ価格見通し 

 鉄鉱石、鉄スクラップ価格は、中長期的には①採掘コスト、②為替、③需給要因で動く。

1 採掘コストは、原油価格動向に比例すると見れば、当面の原油価格の大方の見立ては「原油価格の下限はOPECが、上限をシェールオイルが決める」1212日・石油資源開発の渡辺修会長)である。とすれば上昇しても60㌦まで。つまり3年前(100㌦)の6掛けだ。

原油価格の先行きはシェールとの価格競争で、低い天井を背をかがめて進むようなものだ。

2 為替相場は、トランプの「米国第1主義」のドル高(円安)か、欧州危機再燃の「有事の円買い」(円高)か。先行きは分からない。だから新聞は「ブラックスワン」の例を引く。

 円安になれば、鉄スクラップには追い風。共英製鋼・ベトナムの港湾設備も動き出す。

3 需給要因は、依然として弱い。中国、日本を含む世界全体の粗鋼生産は1610月累計で16億㌧。前年同期比0.1%マイナスである。世界のGDPを上回る勢いで伸びてきた世界貿易量も最近ではGDPを下回る「スロー・トレイド」が定着している(日銀論文)。これにトランプの保護貿易の脅しが加われば「世界は悲惨になる」(125日、忍び寄るドル高の危険)。

 ただ日本の場合は、20年東京五輪と関連工事、国土強靱化計画の老朽インフラの補修工事がある。従来のように逃げ水にならなければ、一定の需要は期待できる。

***

シナリオ1 円安・世界経済現状維持―スクラップ高

 原油高が鉄鉱石や鉄スクラップ相場に波及するとのシナリオでは、

原油価格が底値(161月約32㌦)から51㌦台に浮上した場合(約60%アップ)、鉄スクラップは底値(15,000円割れ)から24,000円前後へ(まさに現状価格)。

▽原油が60㌦レンジに回復(底値から約2倍)すれば、30,000円は期待できる。

▽また製品小棒が現状から10,000円上昇し60,000円に達した場合では、

電炉異形棒鋼と鉄スクラップのスプレッドは35,000円(151月)~26,000円(1612月*鉄源協会)。これを前提とすれば、鉄スクラップは25,00034,000円が想定される。

 

シナリオ2 円高・世界経済破綻

 ブラックスワンがまた現れないとは言えない。英国のEU離脱、欧州の選挙、予測不能なトランプの政策運用など、不安定で見通しの極めて困難な世界政治が、欧州中央銀行やFRBなどの金融当局に過度な負担を押しつけ、その金利政策が各国の金利、景気動向を左右するとの悪循環が続いている。すなわち今後のFRBの金利引き上げテンポによっては、ドル建て債務の多い中国や新興国の債務負担が増大し、新興国の政策金利引き上げ、景気後退。その回避としての通貨引き下げ、輸出促進が、保護貿易を招く恐れもなしとはしない。

 ▽鉄スクラップ試算は変数が多すぎて、できない。ただリスクに備えることはできるだろう。

 

17年 業界動向(予想)

17年の国内スクラップマーケットは、優勝劣敗が一段と進む公算が大きい。

1 鉄スクラップ発生は、今後とも漸減傾向が予想される(産業技術の高度化による製品製造歩留まりの向上と「鉄離れ」=炭素繊維、エンジニアプラスチックの多用など)。

2 その少ないパイを巡って垣根を越えた競争の激化が予想される(鉄スクラップ回収業は、同時に非鉄回収など各種の回収業のゲートウエイ的な役割を持っている)。その強みに、しかし業者は気がついていない。その強みを求めて産廃業者や、建屋解体業者が加工処理機を手当てし新規参入している。さらに全国無数の路上・無料回収業者達がいる。

3 ライン合理化が、製品品質の向上やコストダウンに直結する製造業では「合併、統合」のメリットはあるが、「扱い量」が勝負の鉄スクラップ業では、合併メリットはない。

今後に予想されるのは、「人のつながりが残る合併」ではなく「費用対効果」がはっきり分かる「完全買収」か、縮小マーケットに応じた「完全撤退」のいずれかだろう。

                以上