特集1 中国の鉄鋼過剰生産と鉄スクラップ需給(18年5月)

特集1 中国の鉄鋼過剰生産と中国の鉄スクラップ需給動向(18年5月)

■中国の過剰生産対策

中国の鉄鋼・鋼材輸出は15年1億1240万㌧、16年1億843万㌧で2年連続で1億㌧を越え、中国の過剰生産と鋼材輸出の増加が世界的な貿易制限を呼び込んだ。

17年11月の「鉄鋼グローバル・フォーラム」(全33カ国・地域が参加)で過剰生産対策が論議となり、参加国が優遇策の自粛や設備・生産状況を開示する一致した。このため中国は16年10月、20年までに1億4千万㌧の生産能力削減を公表した。

この粗鋼能力削減の柱の一つが、違法鋼材である地条鋼の整理だった。

■地条鋼と鉄スクラップ輸出問題

地条鋼とは小規模誘導炉による非正規な棒鋼用半製品である。年間生産能力8千万~1億㌧、全国に300社以上とされた。脱硫・脱燐処理、成分調整が行われないため、強度や靭性に劣る。

中国では鉄スクラップには40%の輸出関税がかかるため、従来までは中国からの鉄スクラップ輸出は考えられなかったが、地条鋼企業の取締りが伝えられた17年4月以降、同国で販路を失った鉄スクラップ輸出は急増。最大となった9月は50・8万㌧(年換算の最大輸出は600万㌧ペース)、17年通期で年間220万㌧超に達した。

ただ地条鋼が一掃された18年以降は、18年1~3月の月間平均は5.5万㌧未満まで激減している。

「懸念高まる新たな能力」(*産業新聞18年2月19日中国鉄鋼最前線より抜粋)

■能力置換政策と電炉増産=江蘇沙鋼集団・沈文栄主席は、17年12月中国冶金報で「18年に中国の電炉は100~120基増え、生産能力は2000~4000万㌧増。電炉能力は向こう2年間で合計8000万㌧~1億㌧増える見込だ」。▽四川省では民営10社が、能力置換政策を利用して18年に既存の小型電炉29基(合計能力1200万㌧)を廃棄し、大型電炉を13基(合計能力1150万㌧)建設するなど、老朽炉に換え新鋭設備導入による能力増強が進んでいる。

■能力置換政策とは=鉄鋼企業は新規の能力増強を政府に禁じられているが、既存能力を減らせば、同等もしくはそれ以下の能力設備を導入できる。

■「国内に余剰スクラップはない」=前記の沈文栄主席は「高炉・転炉の鉄スクラップ消費は年1億2000~6000万㌧。電炉は銑鉄70%、スクラップ30%配合だったが、17年にはスクラップ70%に逆転し、鉄スクラップ消費は8000万㌧増えた。転炉と電炉の鉄スクラップ消費は2億㌧以上。スクラップの発生は1億6000万㌧で、国内に余剰スクラップはない」

■中国は鉄スクラップ配合20%を目指す=中国廃鋼鉄応用協会は発生量は20年2億㌧、25年には3億㌧増えると予想。鉄鋼企業に配合率20%への引き上げや粗鋼生産に占める電炉比率20%を要請している。中国鋼鉄工業協会は高炉への直接投入の研究を開始した。

■電炉化促進政策=工業情報省は18年1月3日、CO2削減対策を兼ねて、高炉企業の電炉企業の転換を奨励する方針を発表した。鉄鋼産業能力置換実施弁法でも「高炉・転炉から電炉への切り換えは等量置換が可能」と定めた。中国は電炉へのシフトを鮮明にした。

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■中国で電炉鋼生産が急増(18年4月24日、産業新聞)=中国で電炉鋼の生産が急増している。違法鋼材「地条鋼」撲滅を契機に余剰鉄スクラップを活用しようと電炉の再稼働や新規導入が相次ぎ、17年生産は7749万㌧と前年比32・6%増え過去最高を記録した。電炉能力は18年に前年同様3000万㌧以上増える見通し。近い将来1億㌧を超える中国の電炉生産は日本やアジアの原料や鋼材の価格を揺さぶる力を強めそうだ。

*中国の鉄スクラップ配合=鉄リサイクリング・リサーチの調査レポート44号(18年2月)によれば、中国の鉄スクラップ配合は15年では転炉5.5%、電炉36.1%だが、政府は地条鋼廃止に伴い18年以降は、転炉は12%、電炉50%への増加を促している。