コロナウイルス対策とマーケットを考える(冨高私見・その3)

コロナウイルス対策とこのマーケットをどう考えるか(冨高私見・その3)

                               2020年3月13日

私は先に(3月9日)「コロナウイルス対策とこのマーケット」を下記のとおり考えた。

https://steelstory.jp/contents/2020/03/10/

また、いわゆるロックダウン(封鎖)の拡大への疑問を下記のとおり論じた。

https://steelstory.jp/contents/2020/03/12/

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本日は、今後のマーケットについて私見を述べたい。

1 今回の疾病に関して、私は1か月前のある会議で、各国が過度に反応し、ヒトと物資の移動が制約されば、最悪の場合、リーマンショック級の経済破局もありうる。ただし、ヒトと経済の動きが通常に戻れば、抑制されていた期間に反比例する形で回復する。それはリーマンショック後のV字回復が参考になるだろう、との考えを述べた。

2 しかしロックダウン(国境とヒトの封鎖)が拡大した現状では、この見解は通用しない。OPECとロシアの協調体制の崩壊による原油価格の底割れだけでなく、新型肺炎がヒトと物資の円滑な移動、意見集約の場を奪った。自国の門戸を閉ざすロックダウンがその象徴であり、世界はパニック状態にある。冷静な、経済回復の論議など望むべくもない。

3 世界経済の動向が、経済の非専門家集団であるWHOの「パンデミック宣言」に委ねられたのだ。その終息宣言が事実上、世界経済活動再開のゴングとなる。このような非専門家による事実上の判断介入は・・・経済専門家にとっては予測不能の事態なのだ。

4 とはいえ、マーケットは動く。鉄スクラップ相場も世界的に動く。大局的に見れば、価格は㈠エネルギー投入価格と、㈡世界的な為替相場と、㈢目先の需給動向で決まる。

  • エネルギー投入価格動向を左右するのが原油(WTI)相場。この底が割れた。

*NY原油価格が年間平均1バレル14㌦台に陥没した98年、鉄スクラップ炉前価格(H2)は1万円を割り、市中相場は02年まで「逆有償」に落ち込んだ。

  • 為替、円相場は「安全資産」として円高に振れやすい。輸出商品には逆風である。

*鉄鋼は自動車関連産業で、鋼材の約4割弱が直接輸出される輸出商品でもある。

*鉄スクラップの4分の1が、鋼材と同様に輸出に動く。相場に重石がかかった。

  • 目先の需給は、専門家でさえ予測不能である。世界は「巣ごもり経済」に入った。

*ネット情報が「相場」を左右するが、実体経済は「ヒト」の生交渉で決まる。

*米国は英国を除く欧州人の入国を30日間禁止した。人的交渉封鎖が始まった。

  • 鉄スクラップは、「都市鉱物」であると同時に再生エネルギー投入の少ない「地球温暖化防止」物として、適正な回収コストを排出者に請求できる、最強の商品である。

*鉄スクラップ業者は「都市鉱山労働者」であり、最前線のリサイクラーである。

*そのビジネス化が、鉄リサイクル業者の中から各種リサイクル関連企業を育てた。

5 鉄スクラップは以上の条件で動く。需給要因がすべてではない、資源関連、地球温暖化防止関連、各種リサイクル関連の相場商品なのだ。であれば、会社はどう動くべきか。 

その場合、数々の場数を踏んで残された多くの「相場格言」が参考になり、また自らの経営体力、将来展望(ヒトはその望みに到達するまで努力する)が決めてとなる。

*リスク管理の要諦は、最悪の場合を想定し、事に当たって楽観的に対処すること。

*非常時こそ、リーダーの資質が問われる。鳥瞰的な目配り、配慮が問われる。

6 さらに冨高の私見を言えば、

万人に与えられたマーケットは「天気」に同じ。良いも悪いもない。マーケットは「商機」を求める者が「好機」をつかみ取り場であり、それが本来のビジネスである。

日頃の備えの無い者がこの嵐に叩きのめされた後を、虎視眈々と狙っている者もいる。

それが現実であり、不意の天変や厄災は、業者淘汰の明日を迫るものでもある。

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今回の疾病は、日頃の経営体力とその備えを問う、突然の公開試験に近い。

それにどう答えるか。正解のない問題に、落第しない方策はなにか。

自身の体力と胆力、気力が問われている・・・そう考えなければならない。