日経新聞ほか要約(日付は掲載日)
22年8月18日
■サハリン2新会社、同じ契約条件を提示(8月18日)=「新サハリン2」を巡り、ロシアの新会社が日本の電力会社などに、従来と同様の契約条件を提示していることが分かった。サハリン2からの調達価格は相対的に安い。国内では広島ガスが調達分の約5割をサハリン2に頼る。九州電力と東邦ガスは約2割、東北電力と東京ガス、西部ガスホールディングス(HD)は約1割を依存している。政府は新しい運営会社に引き続き関与し、権益を維持するよう日本企業に求めている。旧運営会社のサハリンエナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資。日本の21年LNG輸入量のうちロシア産は9%で、多くはサハリン2からだ。ロシア政府は日本の商社が新会社への出資に同意しても、ロシア側が拒否できると主張している。今後、日本に不利益な変更を求める可能性がある。
■重慶でも24日まで工場停止(8月18日)=重慶市政府は24日まで操業停止を命じた。四川省に続き、猛暑による電力需要の急増に伴って計画停電を実施する。
■NZ、7会合連続利上げで3%に(8月18日)=ニュージーランド(NZ)準備銀行(中銀)は17日、政策金利を0.5%引き上げて3%にすると決定。利上げは7会合連続。
8月17日
■中国、猛暑で計画停電(8月17日)=中国四川省政府は20日まで大半の工場に生産の一時停止を命じる通知を出した。家庭用電力を確保するため計画停電を実施する。米アップル製品やトヨタの工場も含まれ、世界的なサプライチェーンに悪影響が出そうだ。重慶市や浙江省、江蘇省でも電力制限は広がっており、経済を下押しするのは避けられない。*14日付で出した通知によると、工業用電力を使用する企業に生産の全面停止を指示した。期間は15日から20日まで。同省の21市(自治州を含む)のうち19市が対象で、同省にある製造業などの企業約1万6500社の大半が影響を受けるとみられる。
■中国製造業、関税回避へメキシコ進出(8月17日)=中国の製造業大手がメキシコへの投資に乗り出している。メキシコへの直接投資は21年に6億630万ドルと前年比で76%増、過去最高を更新した。米国と貿易協定を結ぶメキシコに進出することで、対中関税を回避できる思惑がある。メキシコの一般の最低賃金は日給約170ペソ(約1100円)。米国の連邦最低賃金は時給7.25ドル。米の隣国に生産拠点を構える利点は大きい。
■NY原油先物、半年ぶり安値(8月17日)=WTI原油先物の期近物は15日、一時は86ドル台後半まで売られ、2月上旬以来の安値を付けた。中国や米国の景気懸念が改めて強まり、原油需要が抑制されるとの見方が強まった。
■貿易赤字、12ヵ月連続(8月17日・夕)=財務省17日発表の7月貿易統計速報によると、貿易収支は1兆4367億円の赤字。赤字は12カ月連続となった。エネルギー価格の高騰や円安のため輸入額が前年同月比47.2%増の10兆1895億円となり、5カ月連続で過去最大を更新した。輸入はアラブ首長国連邦(UAE)からを中心に原油を含む原粗油が2倍に増えた。液化天然ガス(LNG)と石炭も2.2倍、3.7倍の増加。*輸出額は19.0%増の8兆7528億円で、2カ月連続で過去最大を更新。米国向けを中心に自動車が13.7%伸びた。対中国貿易は輸出額が6月から2カ月連続、輸入額が5月から3カ月連続で前年同月を上回った。
■徴用工、外交対立避け補償」(8月17日・夕)=韓国の尹(ユン)大統領は17日、元徴用工問題の具体的な解決案に言及。「主権問題の衝突なしに原告が補償を受けられる方策を講じる」と話し、日本との外交対立を避けながら補償を推進する方針を示した。韓国政府が賠償を肩代わりする「代位弁済」を念頭に置いた発言とみられる。
■機械受注4~6月8.1%増(8月17日・夕)=内閣府が17日発表の22年4~6月期機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる船舶・電力を除く民需(季節調整済み)は前期比8.1%増の2兆7888億円。2期ぶりにプラスとなった。新型コロナウイルス禍で控えられていた受注が増えた。デジタル化などへの投資意欲も追い風となっている。
■米住宅着工、1年5カ月ぶり低水準(8月17日・夕)=米商務省16日発表の7月住宅着工件数は144.6万戸(年率換算)で、前月から9.6%減。21年2月(143万戸)以来の低水準。一戸建ての着工件数は91.6万戸、前月比10.1%減。100万戸を割り込むのは20年6月以来。変動の激しい5世帯以上の集合住宅も51.4万戸で同10%減少。先行指数である許可件数は167.4万戸で前月比1.3%減り、住宅市場が一段と冷え込む可能性を示唆した。
■日鉄、名古屋第3高炉再稼働(8月17日)=日本製鉄は16日、名古屋製鉄所「第3高炉」を8月末に再稼働と発表。1~6月に改修をしていたが、再稼働の時期が未定だった。
■廃バッテリー集荷競争、ほぼ収束(8月17日・産業新聞)=鉛リサイクル原料の廃バッテリー(使用済み鉛蓄電池)の集荷競争がほぼ収束した。中東やアフリカの発生物を巡って韓国やインドの有力二次精錬国が争奪戦を繰り広げていたが、今年に入り両国の調達が急減。一転して荷余り懸念が浮上してきた。車載電池のリチウムイオン電池(LiB)へのシフトが考えられるが、精錬した鉛地金需給の緩みが大きな背景にあるようだ。
8月16日
■世界経済、物価高で変調(8月16日)=4~6月期はウイルス禍当初以来のマイナス成長に陥り、先行きも不透明感が増す。米国やドイツ、英国、中国などはマイナス成長。米国は2四半期連続で、機械的には景気後退とみなされるテクニカルリセッションの状態。IMFは世界全体としてマイナス成長になったと指摘。英国はイングランド銀行が「10~12月期から景気後退入り」との見通しを示す。23年10~12月期までマイナス成長が続くと予測する。
■東南ア経済 回復続く(8月16日)=域内主要国の4~6月期実質国内総生産(GDP)は軒並みプラス成長を確保。タイの国家経済社会開発委員会が15日発表した4~6月GDPは前年同期比2.5%増。3四半期連続のプラス。域内ではマレーシアが前年同期比8.9%増。GDPの約6割を占める個人消費がけん引。輸出額も6月は過去最高を更新した。ベトナムは前年同期比7.7%増と、四半期としては09年以降で最も高い成長率となった。
■欧州猛暑、電力危機に拍車(8月16日)=欧州の猛暑と干ばつが、エネルギー需給の逼迫に拍車をかけている。6月から40度を超える記録的な暑さが続くなか、ドイツではライン川の水位低下により火力発電用の石炭の水上輸送が滞り、フランスは原発の出力低下を余儀なくされた。今年はサハラ砂漠側からの熱い空気の影響を強く受けて熱波をもたらしている。スペインでは6月に40度超の気温が観測。7月、ポルトガルやフランス、英国でも40度を超えた。過去に熱波が発生した年は欧州の域内総生産(GDP)が0.3~0.5%押し下げられたとの試算がある。過去最大の経済的な被害を懸念する声が出ている。
■中国、高まる反日の兆し(8月16日)=中国で反日感情がくすぶっている。7月に南京市内の寺院で南京事件に関連して戦犯として処刑された日本軍人の位牌(いはい)が奉納され、ネット上で猛反発が巻き起こった。日中は9月に国交正常化50年を迎えるが、日本を連想させるようなものに批判が集まるなど、反日感情が高まる兆しも出ている。
■上場4社に1社が最高益(8月16日)=米国の利上げなど経営環境の不透明感が強まるなか、最高益を更新する上場企業が相次いでいる。22年4~6月期に純利益が過去最高となったのは542社と、全体の4社に1社にのぼった。高益を更新したのはまず、商社や石油、鉄鋼など資源高の恩恵を受けた業種。一方自動車や化学などでは減益が相次いだ。
■NY製造業指数が急落 8月調査(8月16日)=NY連銀が15日発表した8月製造業調査によると、景況指数はマイナス31.3と前月から42.4ポイント低下した。落ち込み幅は20年4月に次ぐ規模で、01年7月の算出開始後では2番目の大きさだった。生産活動の急速な鈍化を示唆している。景況指数は20年5月以来、2年3カ月ぶりの低水準。前月より景気が「悪くなった」との回答が「良くなった」よりも急速に多くなった。
■米住宅指数は「50」割れ 2年3カ月ぶり(8月16日)=全米住宅建設業協会発表の8月住宅市場指数は49となり、低下は8カ月連続。同指数は住宅建設会社や販売企業などの会員を対象に、6カ月先までの販売予測などを聞き、業界の景況感を測る。50を上回ると事業者が新築住宅市場の状況を「好調」、下回れば「不調」とみていることを示す。8月の内訳は「現在の販売状況」が57で前月から7ポイント、「今後6カ月の販売見通し」は47と同2ポイントそれぞれ低下した。「客足」も32と5ポイント落ち込んだ。
8月15日
■低所得国に広がる危機 株・債券・通貨のトリプル安(8月15日)=株・債券・通貨が同時に売られる「トリプル安」が目立ち、長期金利が10%を超えた国が15カ国となった。IMFによる7月末の支援残高は2019年末比で約5割増と過去最大。新興国危機が世界経済の波乱要因になる可能性が一段と高まっている。債務問題が混迷する一因に中国がある。リスク拡大に対しIMFの支援だけでは限界がある。最貧国は危機的な破綻を避けるための債務再編が不可欠だ。だが債務削減の枠組みは機能していない。米欧日の先進国は「最大の貸し手である中国が情報開示の段階で協力していない」(米財務省)と批判を強めている。
■ガソリン補助「10月以降も(8月15日)=西村経産相は14日、ガソリン価格補助金に関し9月末に迎える期限の延長に前向きな考えを示した。8日時点でレギュラーガソリンの店頭価格は全国平均で1リットル170.1円。補助金の支給額は11日からの1週間は31.4円。と、約3カ月ぶりに補助上限の35円を下回っている。
■日鉄、学び直しへ3年休職制度(8月15日)=日鉄は22年度、最長3年の休職を認める新制度を採り入れた。これまでも必要資金を負担する形の留学制度はあったが、対象社員数は限られていた。休職中は無給だが、意欲のある社員が学び直ししやすくなる。
■4~6月実質GDP年率2.2%増 「コロナ前」回復(8月15日・夕)=内閣府15日発表の4~6月期国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0.5%増、年率換算で2.2%増。名目GDPは前期比0.3%増、年率1.1%増。GDP実額は536.8兆円にとどまり、コロナ前の19年度(549.8兆円)に及ばない。*GDPコロナ前回復、米に1年遅れ=実質国内総生産(GDP)水準はウイルス流行前の19年10~12月期を上回った。米国は1年前の21年4~6月期にすでにコロナ前の水準を超えており、日本の回復の遅れは鮮明だ。設備投資はコロナ前比2.6%減と低迷する。半導体不足や供給網の混乱などで、特に21年度は企業が予定していた設備投資を先送りした。長引くコロナ禍や内外経済の不透明感が投資活動の足かせになっている。
■「歴史問題、解決できる」 韓国大統領(8月15日・夕)=韓国の尹大統領は15日、元徴用工訴訟など歴史問題で悪化した日韓関係について「普遍的価値を基盤に両国の未来と時代的使命に向かって進めば、歴史問題もきちんと解決できる」と語った。
■中国7月の新築住宅価格、都市の6割弱が値下がり(8月15日・夕)=中国国家統計局発表の22年7月主要70都市新築住宅価格動向によると前月比で価格が下落したのは全体の57%、40都市。マンションで購入者がローンの返済を拒否する動きが7月に広がった。
8月14日
■スパイ活動法違反、トランプ氏に浮上(8月14日)=FBIがトランプ前大統領の邸宅から多数の最高機密文書を押収した。スパイ活動法に違反した可能性があるとみて捜査する。裁判所が公開した資料から、FBIが(1)スパイ活動法違反(2)捜査妨害を目的とした文書の処分や隠蔽(3)政府文書の違法な取り扱い――などの疑いでトランプ氏を捜査している。
■米歳出・歳入法案成立へ(8月14日)=米議会下院は12日、歳出・歳入法案を可決。16日、成立した。歳出は法案原案では4300億ドル(57兆円)規模。歳出は再生可能エネルギーへの設備投資や低中所得者がエコカーを購入する際の税額控除など気候変動対策が中心だ。30年の温暖化ガス排出量の削減幅は従来政策なら05年比で2~3割だが、法案成立で約4割に拡大する。30年に5割削減の目標に向け前進する。*歳入面での法案のポイントは、巨大企業の法人税の15%の最低税率の設定だ。企業の自社株買いにも1%課税する。
■ロシアGDP、4%減・4~6月事業停止2割増の11万社(8月14日)=ロシア連邦統計局は12日、22年4~6月期国内総生産(GDP)が前年同期比で4.0%減と発表。ロシア中央銀行は7~9月期は同7%減と予測。ロシアメディアによると、3月から6月の期間で国内で事業を停止した企業は前年同期比18%増の11万3千社を超えた。国際通貨基金(IMF)は22年のロシアの経済成長率をマイナス6%、23年についてはマイナス3.5%と見込む。
■欧米企業の6割「心理悪化」(8月14日)=世界の大企業が事業環境の先行きへの警戒を強めている。主要欧米企業約80社について、22年4~6月期決算説明会の発言をAIなどで分析したところ、6割強で直前四半期に比べてネガティブ(後ろ向き)な内容が増えたことが分かった。景気後退リスクが高まるなか、経営幹部が弱気な需要見通しなどを示すケースが目立つ。日本企業でも同様の発言が相次いでいる。
8月13日
■英、強まる景気後退懸念(8月13日)=22年4~6月期の英国の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%減、年率換算で0.3%減。マイナス成長は21年1~3月期以来。物価高が個人消費を冷やし年後半にも景気後退に入る懸念が強まる。
■サムスントップに特赦(8月13日)=韓国法務省は12日、サムスン電子トップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の特別赦免(日本の恩赦)を決めた。今回の赦免によって罪が免除されて就業制限がなくなり、李氏が本格的にサムスングループの経営を主導することになる。贈賄罪などで執行猶予中のロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン、重光昭夫)会長も含まれた。辛会長は制限なしに経営復帰しており、名誉回復という意味合いが強い。
■中国国有5社、米上場廃止(8月13日)=中国の国有企業5社は12日、米国株式市場の上場を廃止すると発表した。ペトロチャイナ、中国人寿保険、中国石油化工(シノペック)、中国アルミ業、中国石化上海石油化工の5社。米国に上場する主要な中国国有企業で残るのは中国南方航空、中国東方航空となる。
■中国、複合不況の足音(8月13日)=中国で不動産企業の経営難を起点に金融と財政が同時に悪化している。22年1~6月の住宅販売面積は前年同期比27%減。7月も主要100都市で前年同月比27%減。中国は過去20年間、不動産投資で経済を押し上げてきた。米ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏らの分析によると不動産関連の国内総生産に占める比率は29%。不動産関連の投資が20%減少すると中国のGDPは5~10%減るとはじく。
■米中対立下、レアアース安(8月13日)=レアアースの中国依存脱却は着実に進んでいる。かつては中国がレアアースの採掘シェアの9割以上を占めていた。米地質調査所(USGS)によると、21年時点では中国のシェアは6割に低下した。2月には米バイデン政権がレアアース磁石の一貫生産方針を打ち出した。米中対立は厳しさを増しているが、現状では10年の尖閣問題の時のようにレアアースを経済制裁の手段として使う気配はみられない。「調達先の多様化に伴い、禁輸の効果が当時より薄れている」(住商の福田氏)。
■ステンレス鋼板最高値(8月13日)=ステンレス鋼板の流通価格が15年ぶりに最高値を更新した。ロシアのウクライナ侵攻でニッケルは大きく値上がりし、「SUS304」(厚さ2㎜品)の東京問屋仲間価格は1㎏690円前後。1年間の上昇率は6割を超える。クロム系の「SUS430」(厚さ2㎜品)も東京地区で390円前後。21年6月から最高値の更新が続く。値上がりが始まる前(21年5月)に比べると120円(44%)高くなった。
8月12日
■内閣改造「評価せず」44%(8月12日)=日経新聞とテレビ東京は第2次岸田改造内閣人事を受け緊急世論調査をした。「評価しない」との回答は44%で「評価する」の30%を上回った。旧統一教会との関係が影響したとみられる。旧統一教会との関係を巡る懸念が「払拭されたとは思わない」と答えた割合は76%で、「払拭されたと思う」の13%と差がついた。
■ウクライナ原発、砲撃で1基停止 (8月12日)=国際原子力機関(IAEA)事務局長は、原子炉1基が稼働を停止したと明らかにした。互いに相手側の攻撃だと非難している。
■米、濃厚接触の隔離撤廃(8月12日)=米疾病対策センター(CDC)は11日、濃厚接触した場合の隔離基準を撤廃するほか、学校での定期的な検査推奨も取りやめる。
■米ガソリン価格 5カ月ぶり低水準(8月12日)=11日の全米平均は1ガロン(3.8リットル)あたり3.99ドルとなった。4ドルを割り込むのは約5カ月ぶりだ。欧米の中央銀行の利上げによって世界経済が減速し、原油需要は伸び悩む可能性もある。
8月11日
■内閣改造(8月11日)=第2次岸田改造内閣が10日、発足した。岸田首相は防衛力の抜本的な強化が「年末に向けた最重要課題の一つ」と述べた。ロシア侵攻や台湾を巡る米中対立、物価高などに触れ「有事に対応する政策断行内閣」を掲げた。岸田首相は党内各派の勢力に配慮した。旧統一教会問題による逆風下で優先したのは派閥連合による安定、なかでも安倍元首相を失った最大派閥、安倍派への配慮だった。
■国の借金、初の1人1000万円(8月11日) =財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる「国の借金」が6月末時点で1255兆1932億円と発表。過去最多を更新した。国民1人あたり単純計算で1000万円を超え、金利上昇に弱い財政構造になっている。債務残高は国内総生産(GDP)の2倍を超え、先進国の中で最悪の水準にある。
■中国軍が演習終了(8月11日)=中国人民解放軍・東部戦区報道官は10日、台湾周辺での軍事演習を「成功裏に終えた」と発表した。演習を終了したものの「戦争準備を継続し、台湾海峡の戦備警戒を常態化する」と台湾に軍事圧力を加え続ける考えも示した。
■タイ、3年半ぶり利上げ(8月11日)=タイ中銀は10日、政策金利(翌日物レポ金利)の約3年半ぶりの引き上げを発表。フィリピン中銀も7月中旬に緊急利上げに踏み切った。
■世界の車大手30%減益(8月11日)=世界の自動車大手の業績は悪化。ホンダや独BMWなど日米独13社の22年4~6月期純利益合計は前年同期比30%減。部品不足で新車の生産調整が続き、米テスラなどを除いて原料高も転嫁し切れていない。景気は減速しつつあり、値上げが進まないうちに需要が落ち込む可能性も出てきた。
8月10日
■債務膨張「利上げ耐性」弱く 利払い負担増(8月10日)=3月末の普通国債残高は1000兆円規模に膨らんだ。財務省試算では、金利が1%上昇した場合、利払い負担は3.7兆円増える。GDP比の公的債務残高が200%を超え財政運営は綱渡りだ。法人企業統計調査によると、短期借入金の3月末の残高は約176兆円。金利が1%上昇すれば、単純計算で1.8兆円の利払い負担増となる。倒産はすでに増加の兆しを見せている。
■欧州、ロシア原油禁輸緩和(8月10日)=欧州各国はロシア産原油の禁輸措置を緩和した。ロシアを世界最大級の船舶保険市場である英ロイズ保険組合から締め出す計画を延期し、一部の原油輸送を可能にした。EUは2カ月前にロシア産原油を積んだ船舶に保険をかけることを禁止すると発表したが、英国は同様の措置を導入していない。英議会が承認した対ロ制裁は、禁止されるのは英国に向かう船舶だけで、適用も22年12月31日を過ぎてからだ。EUも制裁の一部を修正し、ロシア国有企業との間で域外へ原油を輸送する取引を認めた。
■ドイツ原発、延長論強まる(8月10日)=ドイツで、原子力発電所の稼働延長を求める世論が高まっている。直近の世論調査で延長支持が8割を超えた。ショルツ政権は8月中をメドに延長の是非の判断材料にするストレステストの結果をまとめる。2022年末までの「原発全廃」を目指していた同政権は難しい判断を迫られる。
■中国、科学論文で世界一(8月10日)=自然科学分野の代表的な3指標全てで中国が世界一になった。研究者による引用回数が上位1%に入る「トップ論文」で米国を抜き、総論文数、引用上位10%に入る「注目論文」の数とともに首位となった。
■次世代原発稼働へ工程表(8月10日)=経産省審議会は9日、次世代の原子力発電所開発に関する工程表案をまとめた。大型原発の商業運転開始の目標を30年代と明記。現在の政府方針は原発の新設や建て替えをしないとしており、実現には政治判断が求められる。
■企業物価7月8.6%上昇 17カ月連続前年超え(8月10日・夕)=日銀10日発表の7月企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は114.5と、前年同月比8.6%上昇。前年の水準を上回るのは17カ月連続。原材料価格が高止まりし、円安が拍車をかける構図だ。
■中国消費者物価、伸び率2年ぶり高さ(8月10日・夕)=中国国家統計局10日発表の22年7月消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇。伸び率は20年7月以来2年ぶりの高さ。食品は6.3%上がった。豚肉が養豚企業の出荷抑制などで20%上昇し、1年10カ月ぶりに前年同月を上回った。生鮮野菜と果物もそれぞれ13%、17%高くなった。
■鉄鋼3社、日鉄とJFEHD、収益格差広がる(8月10日)=鉄鋼大手3社の22年4~6月期決算が出そろった。原材料高による在庫評価益などが寄与し3社とも前年同期と比べ最終増益。一方、23年3月期通期の業績見通しは円安による原材料の輸入価格高騰で各社とも最終減益を見込む。*日鉄は23年3月期における売上収益に対する事業利益率が10%でJFEは4.4%と、2倍の差がつく。日鉄は19年度は3870万トンの鋼材出荷で、1170億円の単独営業赤字だった。22年度は出荷量が3200万トンに落ち込むものの、構造改革により損益分岐点が下がったことから1200億円の黒字を見込む。26年3月期までに国内高炉15基を10基に集約し、粗鋼生産能力を2割減らす計画を掲げるなどコスト削減を急ぐ。
■7~9月期粗鋼生産計画、前期比0・2%減の2293万トン(8月10日・産業新聞)=経産省9日まとめの22年度第2四半期(7―9月)生産計画によると、粗鋼は前期比0・2%減の2293万トンと3四半期連続で減る。鋼材生産は輸出向けの落ち込みが響き、全体で減る。
8月9日
■中国、台湾に圧力継続(8月9日)=中国人民解放軍東部戦区は8日、台湾島周辺の空・海域で軍事演習を実施と発表。継続して台湾に揺さぶりをかけている。中国が盛んに発信しているのが軍事演習の「常態化」というキーワードだ。周辺海域の「封鎖」が続けば、台湾のエネルギーや食糧調達に影響が広がる事態も予想される。
■サハリン1の権益維持(8月9日)=萩生田経産相は8日「サハリン1」について「権益を引き続き維持する方針であることに変わりはない」と述べた。ロシアが「非友好国」による資本取引を禁じたのに対し、今まで通り事業に参画する意向を表明した。
(*「サハリン1、ロシア管轄に」(7月8日)=ロシア関係者は7日、「サハリン1」について「サハリン2と同じく、ロシア政府の管轄下に置かれることになるだろう」と述べた。日本勢は権益の30%を保有。権益保有会社には日本政府(50%)のほか、伊藤忠商事や丸紅などが出資している。米石油エクソンモービルは3月、サハリン1からの撤退を発表した)
■不況下のドル高、消えぬ円安リスク(8月9日)=FRBは根強いインフレ圧力を前に景気を犠牲にしてでも金融引き締めを続ける覚悟だ。問題はもはや「景気が軟着陸するのかどうか」ではなく「景気後退はどの程度ですむのか」に移りつつある。FRBの金融引き締めの勢いはすでに(80年代の)ボルカー期以来の強さだ。ドル高(円安リスク)が続く可能性は十分にある。米国のインフレが鎮まらなければ、行き過ぎた金融引き締めが急激な景気後退につながり、景気停滞と高インフレが併存するスタグフレーションも現実味を帯びる。
■世界企業が7四半期ぶり減益 4~6月(8月9日)=主要企業の22年4~6月期純利益は前年同期比7%減と、20年7~9月期以来7四半期ぶりにマイナスとなった。原材料高や中国の都市封鎖、株安などが重荷となった。米S&Pの7月米国の購買担当者景気指数(PMI)は好不況の分かれ目となる50を下回り、2年2カ月ぶりの低水準。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者は地政学的緊張やインフレなどが「世界経済にマイナス影響を与える可能性が非常に高い」と指摘する。
8月8日
■米上院、再生エネ・企業増税可決(8月8日)=米上院は7日、再生可能エネルギーの推進などを盛り込んだ新たな歳出・歳入法案を可決した。歳出規模は原案段階で4330億ドル。大企業などへの課税を強化してまかなう。下院では週内から審議が始まる見通しだ。党内には慎重な意見もあって法案の成立はまだ見通せていない。
■経常黒字、8年ぶり低水準(8月8日)=財務省8日発表の22年1~6月国際収支統計によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同期比63.1%減の3兆5057億円。ロシア侵攻を背景にした原油などの資源高や外国為替市場での円安が響いた。上期の経常黒字額としては14年以来、8年ぶりの低水準となった。
8月7日
■3月決算の50社超、純利益1兆円に迫る(8月7日)=急速な円安を受け、23年3月期の純利益見通しを上方修正する動きが広がっている。5日時点で50社超の上方修正額は9586億円。ただ円換算を中心とした利益押し上げにとどまり、本業の伸びを伴った上方修正は少ない。為替相場も乱高下しており、円安頼みには危うさもある。
■ソニー、取引先も脱炭素(8月7日)=ソニーグループは、取引先の温暖化ガス削減計画を検証する活動を始めた。カーボンニュートラルが重要になり、取引先の管理や選別にもつながりそうだ。日立製作所は24年度をメドに工場の省エネルギー設備の投資効果を試算するシステムを実用化し、取引先へ提供を始める。*CO2排出は、自社のオフィスや工場で出る「スコープ1」と電力などのエネルギー調達に関連する「スコープ2」、調達網全体の「スコープ3」に区分される。ほとんどの温暖化ガスは自社以外の領域で排出される。ソニーも20年度のグループ全体のCO2排出量約1847万トンのうち、スコープ3が9割を占めた。
8月6日
■中国、米軍幹部との対話停止(8月6日)=中国外務省は5日、米中両軍幹部の電話協議の停止など8項目の米国への対抗措置を発表した。両軍幹部が非常時に連絡する「ホットライン」を停止する可能性に言及。予期せぬ衝突リスクがある。
■日本の対中国外交、岐路に 習政権硬化(8月6日)=日本の対中外交は岐路を迎えている。中国は4日の軍事演習でも、弾道ミサイル5発を日本の排他的経済水域(EEZ)に落下させた。防衛省幹部は「安保環境は新たな局面に入った」との危機感を示した。外交をいかに主体的に展開するかが、日本の選択肢を狭めない道となる。
■サハリン2新法人巡り経産相、三井物産に「参画検討を」(8月6日)=萩生田経産相は「サハリン2」を巡り三井物産社長と面会。「新たに設立されるロシア法人への参画の同意を前向きに検討してほしい」と伝えたという。*サハリン2運営、新会社を登記=「サハリン2」を運営する新会社が5日付で設立された。既存株主は新会社設立から1カ月以内に、従来の出資比率に応じた株式取得に同意するかどうかを通知する必要がある。
■食料自給率38%(8月6日)=農林水産省は5日、21年度カロリーベースの食料自給率は38%と発表した。小麦や大豆の生産が拡大したほかコメの消費が回復したことが寄与した。
■米就業者、雇用なお過熱(8月6日)=米労働省5日発表の7月雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から52万8000人増え、過熱状態が続いている。失業率も3.5%と下げた。FRBは失業率が上昇しないとみて大幅な利上げを継続する考えだ。景気後退に陥らずにインフレを抑制する軟着陸(ソフトランディング)は難しくなっている。
■インド中銀、0.5%利上げ(8月6日)=インド準備銀行(中銀)は5日、政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げて5.4%にすると発表した。利上げは3会合連続。足元で許容範囲を超えるインフレに直面しており、苦渋の対応を余儀なくされている。
■豪フォーテスキュー、鉄鉱石出荷量最高に(8月6日)=フォーテスキュー・メタルズ・グループがまとめた22年6月期鉄鉱石出荷量は1億8900万トン。1トン当たりの通期平均販売価格は約100ドルと、前の期(135ドル)から26%下落した。1トン当たり生産コストは15.91ドル。23年6月期は、ディーゼル燃料や労働コストの高騰でさらに上昇し、1トン当たり18~18.75ドルを見込む。開発中の鉄鉱石鉱山「アイロンブリッジ」は23年に生産見通しだ。23年6月期出荷量は最大で1億9200万トンを見込む。
■6商社、資源高で最高益(8月6日)=総合商社7社の22年4~6月期決算は、資源高などを追い風に伊藤忠商事を除く6社が前年同期比で4~6月として最高益を更新した。三菱商事は原料炭など資源事業の利益が急拡大した。三井物産は石炭や原油・天然ガス価格が上昇。双日は石炭を含む資源関連事業の純利益が前年同期比約4倍になった。
8月5日
■中国、台湾沖にミサイル発射(8月5日)=中国軍は4日、台湾東部沖へ複数のミサイルを発射したと発表。岸防衛相は日本の排他的経済水域内に5発が落ちたと明らかにした。
■英中銀、0.5%利上げ(8月5日)=英イングランド銀行(中銀)は4日、政策金利を0.5%引き上げて年1.75%にした。利上げは6会合連続で、変更幅をこれまでの2倍に広げた。
■ブラジル、0.5%利上げ(8月5日)=ブラジル中銀は3日、政策金利を0.5%引き上げて年率13.75%と決めた。通貨レアルの対ドル相場下落を食い止め、物価上昇を抑制する狙い。
■日鉄、純利益6%減(8月5日)=日本製鉄は4日、23年3月期連結純利益(国際会計基準)が前期比6%減の6000億円になりそうだと発表した。最高益だった前期に次ぐ高水準を維持する。売上収益は17%増の8兆円、本業のもうけを示す事業利益は15%減の8000億円を見込む。日鉄は23年3月期単独粗鋼生産量を、前期比1割減の3500万トン以上と見込む。
*日鉄は26年3月期までに国内高炉を15基から10基に集約し、粗鋼生産能力を2割減らす。22年4~9月期の鋼材平均価格は前年同期比38%増の14万7000円程度となる見通しだ。同日発表した22年4~6月期の連結決算は純利益が前年同期比42%増の2309億円だった。売上収益は28%増の1兆9191億円、事業利益は56%増の3388億円だった。
■トヨタ、今期純利益17%減(8月5日)=トヨタは4日、23年3月期連結純利益が前期比17%減の2兆3600億円になりそうと発表した。従来予想(21%減の2兆2600億円)を1000億円引き上げた。想定レートは1ドル=130円と期初予想より15円・円安に修正。円安効果は年間8650億円の増益要因と期初見通しより6700億円引き上げた。原材料高騰が重荷となり営業利益見通しは20%減の2兆4千億円で据え置いた。売上高は10%増の34兆5千億円。従来予想に比べ売上高は1兆5千億円引き上げた。*22年4~6月期決算は売上高が前年同期比7%増の8兆4911億円、純利益が18%減の7368億円。3四半期連続で最終減益。
■日鉄系、ステンレス鋼板を値下げ(8月5日)=日鉄ステンレスは4日、ステンレス冷延薄鋼板の一般流通(店売り)向け価格を8月契約分からニッケル系を4万円(5~6%)、クロム系を同5千円(1%強)引き下げると発表した。ニッケル系の値下げは2カ月連続。
8月4日
■台湾周辺、軍事的緊張高まる(8月4日)=ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け軍事的緊張が高まってきた。中国軍は台湾周辺で演習を始めた。沖縄の在日米軍嘉手納基地には多数の給油機が集結した。台湾から地理的に近い日本も不測の事態に備えて自衛隊が監視を強める。
*中国、挑発いなせぬ「脆き大国」=戦争は偶発的事件から起きてきた。中国は台湾周辺で大規模に軍を動員しており、偶発的衝突が起きれば有事発生ともなりかねない危険をはらむ。
*長い覇権争いの始まり=人間関係でいえば、互いの行動が原因のケンカなら仲直りは可能だ。しかし相手の世界観を信用できないとなれば、和解は難しい。これが米中の現状であり、今後、世界秩序の主導権を巡る覇権争いが熱を帯びるだろう。
■増産小幅、OPECプラス「現状維持」合意(8月4日)=「OPECプラス」が3日に決めた9月の原油増産幅は小規模で、実態は「現状維持」が続くにすぎない。9月の増産幅は月の生産計画から0.2%あまり増えるにすぎない。世界需要と比べるとわずかに0.1%だ。OPECは米国が期待した大幅な追加増産をのまなかったことで、ウクライナ侵攻で米国などの制裁を受けるロシアとの協力関係を重視する姿勢を重ねて示した。
■欧州信用不安、資源高連鎖で景気懸念(8月4日)=欧州企業に対する信用不安がくすぶっている。自動車メーカーや小売りなど資源高の影響を直接には受けにくい業種でも財務悪化への不安が広がる。信用リスクを示すCDS指数は7月に一時、20年3月並みの水準に悪化し、今も日米の指数に比べて高止まりが鮮明だ。CDSは平たくいえば「企業が破綻すればお金がもらえる」という保険に似たデリバティブ(金融派生商品)。
■トルコ物価79.6%上昇 7月(8月4日)=トルコの7月消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比79.6%。「交通費」が119.1%、「食料品」が94.7%となった。通貨安に加え、エネルギーや穀物の価格が高止まりする影響を受けた。問題の根っこには異例の金融政策がある。物価抑制のためには利上げというのが金融政策の定石。だがエルドアン氏は「金利が下がればインフレ率も下がる」と逆の主張を続ける。中銀は7月の金融政策決定会合でも年14%の政策金利を据え置いた。通貨リラは対ドルで1年前の半値以下にある。
■中国、中小銀に公的資金6.3兆円(8月4日)=中国政府は、中小銀行に3200億元(約6兆3000億円)の公的資金を注入する。中国では「ゼロコロナ」政策で景気が悪化し、地方経済の柱である不動産業も低迷する。国務院は5月、景気対策を打ち出した。中小零細企業や個人事業主の借り入れのほか、個人の住宅ローンなどを巡り、元利返済を猶予するよう銀行に促している。政府は資本増強で不良債権リスクに対応させる方針だ。
■NY原油反落、90ドル台(8月4日・夕)=3日のWTI9月物は1バレル90.66ドルで取引を終えた。一時90.38ドルと中心限月としてほぼ5カ月ぶりの安値を付けた。米国の原油とガソリン在庫が市場予想に反して増え、需給が緩んでいるとの観測につながった。
■JFE、純利益51%減(8月4日)=JFEHD3日、23年3月期連結純利益(国際会計基準)が前期比51%減の1400億円になる見通しと発表。円安で鉄鋼原料の輸入価格が上昇し採算が悪化する。在庫評価益も減る。売上高にあたる売上収益は前期比23%増の5兆3700億円になる見通し。本業のもうけを示す事業利益は44%減の2350億円を見込む。鉄鋼事業は原料高による鋼材価格の引き上げでマージン(利ざや)が改善するが、円安が1000億円の減益要因となる。23年3月期の為替前提は1ドル=133円程度で、対ドルで1円の円安が48億円の減益になる。海外の鋼材市況の悪化で海外グループ会社の利益も減る。
*鋼材需要自体は造船向けなどを中心に堅調の見通し。傘下のJFEスチールの22年度における単独粗鋼生産量は2600万トン弱と前年度並み(2588万トン)を見込む。
■合金鉄、軒並み下落(8月4日)=鉄鋼の副原料で成分調整に使う合金鉄(フェロアロイ)の取引価格が軒並み下がっている。中国などで鉄鋼の生産が鈍り、副原料の需要が減っている影響が表れた。鉄鋼商社の担当者は「価格が上昇に転じる材料が乏しく(合金鉄の)市況は弱含みの展開が続きそうだ」とみる。
■JX金属、基板リサイクルのカナダ社買収(8月4日)=銅製錬のJX金属は3日、家電や電子機器から銅や貴金属などを含む基板リサイクル事業を手掛けるカナダのイーサイクル・ソリューションズ社を買収した。イ社はカナダに8カ所の拠点を持ち、約250人の従業員を抱える。アメリカを含む北米地域で廃棄された家電や電子機器を回収・処理事業を担っている。JX金属は回収能力拡大のため、大分市に新たな受け入れ施設を21年に新設。リサイクル原料の使用比率は、現状の12%から30年までに25%程度に引き上げる計画だ。
8月3日
■米下院議長が台湾訪問(8月3日)=ペロシ米下院議長は2日夜、台北に到着した。中国は台湾周辺での実弾射撃を含む軍事演習を開始した。中国の税関総署が2日までに台湾の一部事業者を対象に水産物や加工食品の輸入を一時停止した。
*越えた「一線」米中緊迫=中国は米国が「譲れぬ一線」を越えたと受け止める。金融市場も台湾有事への懸念を募らせている。米軍は不測の事態に備え、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」の近くに原子力空母ロナルド・レーガンを中心とする打撃群と強襲揚陸艦2隻を配置。ハワイには原子力空母エーブラハム・リンカーンが控える。
■くすぶる円安再燃論(8月3日)=2日の東京為替市場で1ドル=130円台と円高が進んだ。きっかけは4~6月期の実質成長率が2四半期連続のマイナスとなり、米景気の後退懸念が強まったこと。ペロシ氏の訪台計画の地政学リスクからドルの持ち高を減らす動きだ。*ただ市場では一時的との見方が多い。日米の金利差は高水準であり、円買い取引のコストが増加。円を保有する動機は乏しい。円の上昇余地は限定的との声もある。
■ロシア侵攻後、難民1000万人超(8月3日)=国連難民高等弁務官事務所は2日、2月24日以降にウクライナから国外難民が、1000万人を超えたことを明らかにした。一方、2月28日以降にウクライナ国外から祖国へ戻った人は420万人に上る。
■ウクライナ、東部住民の強制避難開始(8月3日)=ウクライナの副首相は2日、東部ドネツク州の住民の強制避難を明らかにした。冬になる前に避難を完了させる方針。パイプラインをロシア軍が破壊し、暖房が確保できないためだ。一方、ウクライナ軍はロシア軍への攻撃を強めている。南部へルソン州では46カ所の集落を奪還した。
■豪中銀、4会合連続利上げ(8月3日)=オーストラリア準備銀行(中銀)は2日、政策金利を0.5%引き上げ年率1.85%にと決めた。中銀の総裁は「経済を安定させながらインフレ率を(政策目標である)2~3%に抑える」方策を重視していると指摘した。
■円安効果、2400億円超(8月3日)=22年4~6月期決算を発表した主要34社を集計したところ、円安による増益効果は2400億円を超えた(日経平均株価採用企業など48社を調べた。うち為替差損益の記載が34社)。34社のうち、28社で円安がプラス効果(2825億円)となった。円安が進むと、輸出による手取りや海外子会社の円換算の収益が膨らむ。半面、輸入品の価格が上昇するため、内需型企業では利益の圧迫要因となる。
■電力7社、4~6月最終赤字(8月3日)=大手電力10社の22年4~6月期決算が2日出そろった。東京電力や関西電力など7社が最終赤字となった。事態打開へ各社は値上げや上限の撤廃に動く。法人向け料金では東電が値上げの検討に入った。
■双日、純利益2.7倍で最高 4~6月(8月3日)=双日2日発表の22年4~6月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期の約2.7倍の451億円の最高益を更新した。全8事業のうち増益幅が最も大きかったのが金属・資源・リサイクル事業で純利益は247億円と約4倍になった。増益額は約187億円にのぼり、連結全体の増益額の66%を占めた。
■三菱商事、金属・鉄鋼関連事業は大幅増益(8月3日・産業新聞)=三菱商事2日発表の22年4―6月期連結決算によると金属資源グループの純利益は、2548億円(前年同期659億円)、総合素材グループが192億円(91億円)と金属・鉄鋼関連事業はいずれも大幅増益。*三井物産2日発表の4―6月期連結決算によると金属資源本部の純利益は1198億円(前年同期1190億円)、鉄鋼製品本部が70億円(前年同期67億円)だった。
■21年度鉄スクラップ消費量3991万トン(8月3日・産業新聞)=日本鉄源協会(「クォータリーてつげん」)によると21年度鉄スクラップ消費量は3991万㌧で前年度比16%増。19年度比4・6%増の微増で、ほぼコロナ禍前の水準に戻った。
■栄新商事の栄新テクノパークが本稼働(8月3日・産業新聞)=非鉄総合リサイクル業者の栄新商事(本社=京都府宇治市、福田卓也社長)の新ヤード・栄新テクノパーク(同京田辺市)が本稼働した。給湯器や非鉄雑品、雑線の破砕・選別を手掛ける。本社工場と三重支社(四日市市)、新ヤードの3拠点で破砕選別の一貫体制が整った。
8月2日
■ウクライナ産の穀物船出航(8月2日)=ウクライナ産穀物を積んだ貨物船が1日、オデッサ港から出航した。黒海への回廊設置で関係国が合意してから初めての輸出再開。
■最低賃金31円上げ961円(8月2日)=中央最低賃金審議会小委員会は1日、22年度最低賃金目安を全国平均で時給961円と決めた。上げ幅は31円と過去最大で、伸び率は3.3%。
■世界経済、台湾有事ならコロナ超す打撃(8月2日)=日米欧では日本の損失が大きい。中国輸出がなくなると、経済規模は1900億ドル(GDP比3.7%)縮小。経済の下押しは欧州で2.1%、米国は1.3%となり、日米欧と中国の双方を合わせて1兆9100億ドルの付加価値が蒸発する。これは世界GDPの2.2%に匹敵する。中国からの輸入や台湾海峡を通る船が止まるシナリオを想定し、備え始める企業も出てきた。「中国で製品を売れない想定も必要で、中国以外のアジア市場を開拓しないといけない」。ある国内自動車大手の幹部は話す。
■半導体逼迫ピーク越す(8月2日)=半導体不足が転機を迎えている。スマートフォンやパソコンなどの出荷減による半導体需要の鈍化が大きな要因。ただ、自動車など一部では逼迫感も残る。景気減速の懸念も出るなか、半導体在庫や受発注の調整局面に移る。
■米製造業景況感、2年1カ月ぶり低水準(8月2日・夕)=米サプライマネジメント協会(ISM)1日発表の7月米製造業景況感指数は52.8。20年6月以来、2年1カ月ぶりの低水準。ただ経済活動の境目となる50は上回った。「新規受注」は48と前月から1.2ポイント低下し、「生産」も53.5と1.4ポイント下がった。一方で「雇用」は49.9と前月を2.6ポイント上回った。報告書は「活動はやや鈍化したものの製造業は拡大を続けている」。雇用は「引き続き好調で、人員削減の兆候はほとんど見られない」と指摘した。
■大和工業、23年3月期通期・連結経常利益が前期比52・7%増(8月2日・産業新聞)=大和工業は1日、23年3月期通期の連結経常利益が前期比52・7%増の880億円になりそうと発表。2期連続で過去最高更新となる従来予想に90億円上乗せした。鋼材マージンの改善が進む国内や米国事業が業績をけん引する。為替の円安も海外利益を押し上げる。
8月1日
■インフレ、強弱のシグナル 需要減と供給制約が混在(8月1日)=国際商品市況が強弱双方に分かれる二極化が進み、インフレ圧力の行方を不透明にしている。景気の先行きを占う銅の下落が続く半面、欧州天然ガスは上昇圧力が強く、欧州発のエネルギー高の波は世界に及びつつある。FRBは利上げペースの減速を検討するが、景気後退と物価高が併存するスタグフレーションの懸念もくすぶり、中央銀行の政策運営は難しさが増している。
*IMFは22年の実質成長率見通しを4月の3.6%から3.2%に下方修正し「まもなく世界は同時不況の淵に立たされるかもしれない」との厳しい見方を示した。FRBもインフレ圧力が収まらなければ、景気後退を覚悟してでも金融引き締めを続けざるをえない。
■穀物収穫、半減の恐れ(8月1日・夕)=ウクライナ大統領は31日、「今年の穀物の収穫量は半減する恐れがある」と表明した。貨物船の第1便が近く出航する可能性があるものの、収穫量の減少で世界の食糧需給逼迫は長期化しかねない。
■中国不動産に庶民の乱・リスク再燃(8月1日)=中国で住宅購入者のローン支払い拒否が続出している。物件引き渡しのめどがたたないためだ。1870億ドルに及ぶ不動産会社の外貨建て債券の不履行(デフォルト)のリスクのほか、銀行に波及する恐れもある。中国経済は「ゼロコロナ」政策などで失速。海外投資家の懸念を放置したままだと中国企業の外貨調達ハードルは上がり、資金繰り悪化を通じ経済をさらに下押しする恐れがある。
7月30日
■「BA.5対策宣言」政府新設(7月30日)=政府は29日、「BA.5」の広がりを受け、病床使用率がおおむね50%を超えるなど医療の負荷が大きい場合、都道府県が「BA.5対策強化宣言」を出す仕組みを作る。自治体が外出自粛などを呼びかけやすいようにする。
■GDP、2四半期ぶり増加、ようやくコロナ前水準(7月30日)=6月の主要景気統計が出そろった29日、民間エコノミスト10人に4~6月期の実質国内総生産(GDP)見通しを集計したところ、平均で前期比年率2.7%増となった。ウイルス禍前の水準にようやく届く程度だ。米国とユーロ圏は21年、英国も22年1~3月期にGDPはコロナ前の水準を超えている。他の主要国・地域と比べ回復の鈍さは明白だ。
■日経42種、2年3カ月ぶり低下(7月30日)=日経商品指数42種(1970年=100)が7月末、2年3カ月ぶりに前月を下回った。主因は非鉄金属や石油製品の値下がりだ。中国のゼロコロナ政策や米欧の金融引き締めに市場が反応。世界景気の減速懸念を色濃く映し出した。指数は20年5月末から、22年6月末まで前月を上回った。26カ月連続のプラスは過去最長で、この間の上昇幅は56%に達した。7月末の指数低下を主導したのは非鉄。銅は世界景気の状況を敏感に映し出すため「ドクター・カッパー」の異名を持つ。
■輸入鋼材、岸壁在庫1.3%増(7月30日)=阪和興業がまとめた輸入鋼材3品種(厚鋼板、熱延コイル、冷延コイル)の6月末岸壁在庫は、東京と大阪地区合計が16万1千トン。2カ月連続で増えた。前年同月比でも3万3千トン(25.8%)多く、高水準で推移している。
7月29日
■米FRB、連続0.75%利上げ(7月29日)=FRBは27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合連続となる0.75%の利上げを決めた。記者会見したパウエル議長は物価上昇を抑制し、かつ景気後退も回避する軟着陸(ソフトランディング)への道が「狭くなっている」と認めた。議長は今後の利上げについて「ペースを緩めることが適切となる可能性が高い」と話した。6月に示した「年末に3.25~3.5%」との見通しに沿った発言で9月会合で0.5%、次の11月、12月会合でそれぞれ0.25%の利上げに落ち着くシナリオが有力となる。
■米、2期連続マイナス成長(7月29日)=米商務省28日発表の4~6月期実質国内総生産(GDP)速報値は前期比の年率換算で0.9%減り、2四半期連続のマイナス成長。国際的には実質ベースのマイナス成長が2四半期続くと「テクニカルリセッション」と呼ばれ、機械的に景気後退とみなされる。ただ今回は失業率が歴史的な低水準にある点が、過去の後退局面とは異なっている。4~6月の個人消費は1.0%増と、1.8%増だった1~3月期に比べて減速した。住宅投資は14.0%減と大幅な落ち込み。設備投資も0.1%の減少に転じた。
■三菱商事、全社員5600人にDX研修(7月29日)=三菱商事は全社員、約5600人にデジタルトランスフォーメーション(DX)の研修を施す。DX人材を内製化し、デジタル事業の提案力を底上げする。三井物産も2021年5月に独自の育成プログラムを導入し、基礎講座は同社全社員と関係会社の合計で約7500人が受講を完了した。
■ポスコ、インドネシアに第2高炉(7月29日)=韓国のポスコは28日、インドネシア国営のクラカタウ・スチールと合弁で運営する製鉄所に2基目の高炉を建設する。今後5年間で両社が計35億ドル(約4700億円)を投じる。ポスコが70%、クラカタウが30%を出資する合弁会社クラカタウポスコが主体となって建設計画を策定する。*合弁会社は2013年に東南アジア初となる高炉をジャワ島に稼働させた。ポスコにとっても初の海外高炉。年間粗鋼生産量は300万トン。2高炉体制として生産量を600万トン超に引き上げる。
■日本製鉄、小型ドローンで設備点検(7月29日・産業新聞)=日本製鉄は28日、ドローンのベンチャー企業リベラウェア(本社=千葉県千葉市、閔弘圭社長)の小型ドローン「IBIS」を設備点検などに活用すると発表した。7月から製銑・製鋼などの上工程から圧延などの下工程までを含め全製鉄所で大型構造設備の保守・改善に向け運用を始めた。
■東京製鉄、鉄スクラップ納入の事前予約制を試験導入(7月29日・産業新聞)=東京製鉄は鉄スクラップ納入の事前予約制度を宇都宮工場で試験的に導入した。
7月28日
■コロナ新規感染、日本がG7最多(7月28日)=米ジョンズ・ホプキンス大によると、日本の新規感染者数は26日時点で約17万6000人。直近1カ月で10倍以上に膨らみ、米国(約12万9000人)を上回った。欧米諸国は往来再開へかじを切った。英国はワクチン接種や事前検査なしでも入国できる。ドイツは入国規制を全面撤廃、米国も陰性証明の提示を不要とした。しかし日本は「ゼロコロナ」を掲げる中国に次いで、厳しい制限を設けている。急速に進む円安は本来ならインバウンド需要を取り込む好機だが生かせていない。
■東南ア輸出、資源高・食料価格上昇も追い風(7月28日)=東南アジアの資源国や食料生産国が輸出を伸ばしている。マレーシアの6月の輸出額が過去最高を更新したほか、インドネシアも前年同月比で41%の大幅増となった。ただ気がかりは4~6月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比で0.4%増にとどまった中国経済の動向だ。東南アジアの多くの国にとって中国は最大の輸出先で、中国向けの輸出が伸び悩めば全体に与える影響は大きい。東南アジアが好調な輸出をいつまで持続できるかは予断を許さない。
■「ゾンビ企業」世界で増加・昨年度16%が過剰債務(7月28日)=「ゾンビ企業」(本業のもうけを示すEBIT「利払い・税引き前損益」が3年連続で支払利息を下回る設立10年以上の過剰債務企業)。北米・欧州・アジア太平洋の21年度主要企業約2万4500社の約16%にあたる3900社が該当した。世界的な利上げに伴う破綻増加懸念が、経済のリスク要因として意識され始めた。カナダが32%と高く、オーストラリア(23%)、インド(20%)が続く。社数では米国(606社)や欧州連合(EU、661社)が多い。日本は負債の積極的な活用に慎重な企業が多いこともあり、4%(155社)にとどまる。
■「ゾンビ企業」日本は中小含め16.5万社(7月28日)=帝国データバンクは27日、「ゾンビ企業」に関する初の調査結果を公表した。20年度時点で約16.5万社。全体の1割強もの企業が金融機関からの返済猶予などにより延命している。建設が34%、製造(20%)、卸売(19%)、サービス(10%)が続いた。20人以下の中小・零細企業で約7割を占めた。
■脱炭素へ150兆円、年内に工程表(7月28日)=政府は27日、脱炭素による経済成長を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の初会合を開いた。脱炭素へ官民で150兆円を投じる10年間の工程表は年内につくる。政府は50年温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げる。官民の投資で経済成長をめざす取り組みは首相の看板政策「新しい資本主義」の最重要テーマと位置づけている。
■大企業2.27%賃上げ(7月28日)=経団連は27日、22年春季労使交渉の最終結果を発表した。大手企業の賃上げ率は前年比0.43ポイント上昇の2.27%だった。上昇率は18年以来、4年ぶりに前年を上回った。16業種135社。平均賃上げ額は7562円で1438円増えた。
7月27日
■IMF、世界成長3.2%に下方修正・世界同時不況にも言及(7月27日)=IMFは26日、22年実質成長率見通しを4月時点の3.6%見通しから3.2%に下方修正した。修正が最も大きいのは米国だ。22年は1.4ポイント低い2.3%。中国も22年の予測は1.1ポイント低い3.3%。IMFは「ゼロコロナ」政策に伴うロックダウンのほか不動産危機を理由にあげた。ユーロ圏は0.2ポイント低い2.6%になった。IMFは基本シナリオ以外に、起きる可能性の高い「代替シナリオ」を示した。22年成長率は2.6%、23年2.0%と、基本シナリオをそれぞれ0.6ポイント、0.9ポイント下回る。またIMFは世界消費者物価が22年8.3%上昇と見込む。4月から0.9ポイント引き上げた。先進国は6.6%、新興・途上国は9.5%に達する。
■EU、ガス消費15%削減で合意(7月27日)=EUは26日、8月から23年3月までの天然ガスの消費を過去5年の平均比15%減で合意した。EUが合意を急いだのは、枯渇懸念が強まっているからだ。ロシア25日、ドイツと結ぶパイプライン「ノルドストリーム」の供給量を8割減らす方針を明らかにした。
■米新築住宅販売6月 2年2カ月ぶり低水準(7月27日・夕)=米商務省26日発表の6月新築一戸建て住宅販売件数(年率換算)は、前年同月比17.4%減の59万戸。20年4月(58.2万戸)以来、2年2カ月ぶりの低水準。価格の落ち込み幅は14年9月以来、7年9カ月ぶりの大きさ。新築の住宅価格はピークアウトの兆しを見せている。*ただ米国の住宅市場は中古住宅が9割を占めており、住宅価格趨勢は多くのデータを見る必要がある。
7月26日
■サル痘、国内初確認(7月26日)=東京都内で25日「サル痘」感染者が確認された。
■今年度成長、2.0%に下げ(7月26日)=内閣府は25日、22年度実質成長率が2.0%との試算をまとめた。1月見通し(3.2%)を大幅に下方修正した。GDPの2割程度を占める設備投資の伸びは2.2%と、1月見通し(5.1%)から下振れした。GDPの過半を占める個人消費の伸びは3.6%と0.4ポイント下方修正。外需は失速が鮮明だ。0.2ポイントのプラスを見込んだが一転、0.3ポイントのマイナスとなる。5.5%と想定していた輸出の伸びは2.5%になる。*内閣府は今回、日本を除く世界の成長率が2.4%になる前提で試算した。物価高が長引けば各国・地域の経済は一段の下振れが避けられない。
■欧米に最低賃金見劣り 出稼ぎ魅力度、10年で半減(7月26日)=足元の最低賃金は全国平均時給930円で、日本の最低賃金は見劣りする。ドイツは22年7月に10.45ユーロ(約1450円)へ6.4%引き上げ、10月にはさらに12ユーロへと14.8%の大幅な引き上げに踏み切る。米国は州などによって異なるが、ロサンゼルス市が7月から6.9%増の16ドル(約2180円)超とする。日本で働くと自国の何倍の賃金が得られるか(「出稼ぎ魅力度指数」)試算したところ、21年はベトナムからが20.5倍と10年の36.7倍より大きく下がった。中国からは3.6倍で、8.4倍だった10年に比べ半減した。*円安が進み、海外から見ると日本の賃金は一段と安くなっている。働く外国人にとっては賃金が目減りする形だ。
■日本は「ゆでガエル」国家(7月26日)=継続的な人口減少局面に入ってからすでに14年たったのに、労働力不足を克服し、年金、医療、介護の機能不全を防ぐ道筋は見えない。少子化対策も踏み込みが甘く、このままでは「ゆでガエル」になりかねない。人手不足の解決策は4つしかない。働く女性を増やす、働く高齢者を増やす、日本で働く外国人を増やす、生産性を上げる。いまの日本は総じて踏み込みが甘い。目先の選挙を意識して改革の議論すらやめてしまう思考停止の期間が長すぎる。少子高齢化を克服する改革は時間との闘いだ。
■〈点検 金融システム前線からの警句〉=「ハリケーンが来る」。JPモルガンを率いるジェイミー・ダイモン氏は警鐘を鳴らす。危機はどこに潜むのか。金融市場の最前線から報告する。*(上) 影の銀行、200兆ドルの死角 規制及ばぬ融資に危うさ(7月21日)
*(中) 仮想通貨、失われた2兆ドル 「年利40%」の危うい賭け(7月22日)。
*(下) 新興国、膨らむ債務100兆ドル (7月26日)
7月25日
■欧州中銀総裁「必要な限り利上げ継続」(7月25日)=ECBのラガルド総裁は23日ブログで、物価上昇率が中期的に2%に戻るまで「必要な限り利上げを続ける」と表明した。
■サル痘、欧米で感染拡大(7月25日)=WHOは23日、ウイルス感染症「サル痘」のまん延が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言した
7月24日
■国内感染、初の20万人超(7月24日)=全国で23日、20万975人の感染が確認され、初めて20万人を上回った。東京で3万2698人、大阪や神奈川、愛知など17道府県が最多だった。全国の感染者は流行「第6波」のピークだった2月の約2倍の水準に達した。
■円、一時135円台に上昇(7月24日)=22日にドル=135円台半ばと、8日以来およそ2週間ぶりの高値を付けた。米国など世界で急速に進む利上げとインフレが景気を押し下げるとの警戒が広がり、円の一段安を疑問視する声も浮上し始めた。
■中小製造業、今年度見通し経常益12%減(7月24日)=中小企業庁6月調査では、直近6カ月のコスト上昇を価格転嫁できた分は「1~3割」が23%、「0割」が21%で続いた。「10割」は14%のみだった。「値上げ要請に対し(発注先を変える)転注すると脅された」(電機・情報通信機器)、「値上げを言えば受注がなくなる」(食品製造)などの声が聞かれた。日銀6月集計の22年度経営計画で、経常利益は前年度比12.2%減の見込みだった。
■世界粗鋼生産5.5%減 1~6月(7月24日)=世界鉄鋼協会23日まとめによれば世界64カ国・地域の1~6月の粗鋼生産量は、前年同期比5.5%減の9億4940万トン。感染拡大などを背景に、世中国が減産したことが響いた。6月単月の世界64カ国・地域の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比5.9%減の1億5810万トン。前年割れは11カ月連続。
7月23日
■コロナ規制、濃厚接触の待機最短3日に(7月23日)=政府は22日、待機期間は、接触日を0日として2、3日目の検査で陰性なら待機を終える。これまでは最短5日だった。検査なしでも従来の7日間から5日間にする。
■中国、2.6億人が「部分封鎖」(7月23日)=野村の中国首席エコノミストによると18日時点で41都市が市民の移動規制措置を設けている。対象人数は2億6410万人で1カ月前の4.9倍。制限地域の住民は人口の2割に相当する。中国経済に重くのしかかる。
■東京製鉄、今期税引き益上振れ(7月23日)=東京製鉄は22日、23年3月期単独税引き利益が315億円見通しと発表。75億円上方修正した。電気代などが上昇しているが、鉄スクラップ価格が下落し鋼材のマージンが拡大。4~6月期の鉄スクラップ購入単価は1トンあたり6万3000円と前年同期比で1万6400円上がる一方、鋼材値上げが浸透し製品出荷単価は1トン11万3300円と3万1800円上昇。4~6月期のメタルスプレッドは1トンあたり1万5400円拡大した。同日発表した22年4~6月期単独決算は、売上高が前年同期比71%増の906億円、4~6月期としては過去最高。税引き利益は87%増の68億円だった。
7月22日
■欧州中銀、0.5%利上げ・マイナス金利を解除(7月22日)=欧州中央銀行(ECB)は21日、主要政策金利をゼロ%からプラス0.5%、銀行に預ける預金金利をマイナス0.5%からゼロ%に引き上げる。14年に導入したマイナス金利政策が終了する。天然ガスの供給不安で景気悪化懸念が高まるものの、インフレ阻止を優先した。景気後退とインフレが同時に進む「スタグフレーション」のリスクもあり、政策運営の難易度は増している。
■利上げ「全くない」・日銀、緩和継続(7月22日)=日銀は20~21日の金融政策決定会合で、金融緩和策維持を決めた。1.9%としていた22年度消費者物価上昇率見通しは2.3%に引き上げた。緩和継続による円安で影響が大きくなっている。黒田総裁は利上げは「全くない」と言い切った。日銀は短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を導入している。この長短金利操作を維持も決めた。年12兆円を上限に上場投資信託(ETF)を必要に応じて買い入れる措置なども維持。22年度実質成長率見通しは前回の2.9%から2.4%に引き下げた。
■消費者物価3カ月連続2%超(7月22日・夕)=総務省22日発表の6月消費者物価指数は生鮮食品を除く総合指数が前年同月比2.2%上昇3カ月連続で2%を超えた。
■貿易赤字最大、7.9兆円 1~6月(7月22日)=財務省21日発表の22年上期(1~6月)貿易統計速報によると、貿易収支は7兆9241億円の赤字。比較可能な1979年以降で半期として過去最大。中国経済の減速などで輸出数量が停滞し、輸入の伸びに追いつかない。輸入額は前年同期比37.9%増の53兆8619億円。半期で50兆円を超えるのは初めて。ロシアのウクライナ侵攻は資源価格の高騰に拍車をかけた。輸入額は原粗油や液化天然ガス(LNG)がそれぞれ約2倍、石炭が3倍以上に膨らんだ。
■ロシア産ガス 不安の再開、供給量40%(7月22日)=ロシアとドイツをつなぐ「ノルドストリーム」が21日、10日間の定期点検を終え、供給を再開した。ただ供給量は従来計画比40%にとどまる。供給量を絞るのは、新たなパイプライン「ノルドストリーム2」の凍結見直しを求める思惑がある。供給再開が伝えられたにもかかわらず、天然ガス指標価格となるオランダTTFは21日、1年前の7倍超の水準に高留まりした。
■ロシアとウクライナ、穀物輸出再開で署名(7月22日・夕)=トルコ大統領府は21日、ウクライナ産穀物の黒海からの輸出の再開に向けて、ロシアとウクライナの代表が22日に合意文書に署名すると発表した。穀物輸送の「回廊」設置などが合意される見通しだ。
7月21日
■コロナ感染、最多15万人(7月21日)=感染者は20日全国で15万人超が確認された。過去最多の16日に比べて4万人以上増えた。大阪、神奈川など30府県で最多を更新した。■世界景気「後退懸念強まる」(7月21日)=IMF専務理事は20日、歴史的なインフレなどから「世界景気は後退の懸念が強まっている」との認識を示した。26日に公表する世界経済の成長率見通しを4月より下方修正すると述べた。4月時点の2022年の実質成長率見通しは世界が3.6%と、前年の6.1%から大きく減速するとしていた。
■中国首相「大型の景気対策取らず」(7月21日)=中国の李克強首相は19日夜、世界経済フォーラムの会合で「高すぎる成長目標のために、大型の景気刺激策や過剰に通貨を供給する政策を実施することはない」と語った。政府が定めた22年経済成長率目標は達成が難しくなっている。目標未達でも容認する姿勢を示唆したとみられる。
■中国の地方政府「債務返済延期を」(7月21日)=中国の貴州省政府が、傘下のインフラ投資会社などの債務について返済の繰り延べなどを金融機関に要請している。返済繰り延べや債務再編は、貸し手が同意すれば必ずしも「債務不履行(デフォルト)」には当たらない。ただ不良債権となって貸し手が損失を被る事実は変わらない。
■韓国SK、工場増設計画凍結・メモリー市況悪化(7月21日)=韓国半導体大手のSKハイニックスが、国内工場の新棟着工を無期限延期する。投資金額約4500億円。同業大手も投資抑制に動く。サムスンとSK、マイクロンの上位3社の合計シェアは81%に達する。3社がそろって投資抑制に動くことで供給過剰が避けられ、販売価格が安定するとの見方もある。4位のキオクシアHDは東芝から独立した18年6月に3年以内の上場目標を掲げたが、足元の市況変調で「塩漬けが長引く」(関係者)との見方が強まっている。
■トヨタ、8月世界生産・15万台減の70万台(7月21日・産業新聞)=トヨタは19日、8月世界生産台数が当初計画から15万台減の70万台との見通しを発表した。国内生産は同5万台減の20万台となる。半導体不足や感染拡大長期化していることに加え、一部車種のリコール調査もあり、元町工場(豊田市)第1ラインは8月一杯稼働を停止する。
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■米住宅販売、2年ぶり低水準(7月21日・夕)=全米不動産協会(NAR)20日発表の6月中古住宅販売戸数(年率換算)は512万戸と前月の5.4%減。1月(649万戸)を直近ピークに5カ月連続で前月を下回り、20年6月(484万戸)以来の少なさだった。米住宅市場の6月中古住宅販売は住宅ローンの申請件数は22年ぶりの低水準に沈む。住宅投資の急な落ち込みは米国の景気後退リスクを高めかねない。
■アジア成長率予測下げ 今年4.6%(7月21日・夕)=アジア開発銀行(ADB)は21日、アジア新興国の国内総生産(GDP)の前年比伸び率が22年4.6%との見通しを公表した。4月予想(5.2%)から下方修正した。ロックダウン(都市封鎖)が中国経済を減速させるほか、食品やエネルギーの価格高騰も各国消費に響くと予想した。中国の成長率見通しは前回予想から1ポイント引き下げ、4%と予想。東アジアは3.8%。前回予想より0.9ポイント下方修正。南アジアは0.5ポイント下げ6.5%を見込む。インドの成長率を引き下げたほか、スリランカが経済危機に直面していることも反映した。
■日本の粗鋼生産は6カ月連続減少・1~6月粗鋼生産4,600万㌧(前年同期比4.3%減)(鉄鋼協会21日・hp)=6月銑鉄生産は524.6万㌧(前月比8.1%減、前年同月比9.9%減)。4~6月1,628.2万㌧(前年同期比7.6%減)、1~6月3,303.0万㌧(同6.2%減)*6月粗鋼生産は744.9万㌧(前月比7.6%減、前年同月比8.1%減)、前年同月比では6カ月連続の減少。4~6月2,298.5万㌧(前年同期比5.6%減)、1~6月4,599.8万㌧(同4.3%減)となった。*6月炉別では転炉鋼530.0万㌧(前月比10.7%減、前年同月比11.7%減)、電炉鋼214.8万㌧(前月比0.9%増、前年同月比2.0%増)、前年同月比では転炉鋼は6カ月連続の減少、電炉鋼は2カ月連続の増加となった。
*鋼種別生産では、普通鋼575.6万㌧(前月比8.5%減、前年同月比8.2%減)、特殊鋼169.3万㌧(前月比4.8%減、前年同月比7.9%減)となり、前年同月比では普通鋼は6カ月連続の減少、特殊鋼は5カ月連続の減少となった。*普通鋼熱間圧延鋼材生産は506.0万㌧(前月比9.7%減、前年同月比9.1%減)。4~6月1,588.6万㌧(前年同期比3.3%減)、1~6月3,174.3万㌧(同2.6%減)。特殊鋼熱間圧延鋼材生産は134.5万㌧(前月比5.1%減、前年同月比14.5%減)。4~6月417.4万㌧(前年同期比11.0%減)、1~6月858.9万㌧(同8.0%減)となった。
7月20日
■ウクライナ、情報機関副長官も解任(7月20日)=ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、情報機関である保安局(SBU)副長官と、同国北東部スムイなど5つの州のSBUトップを解任した。*職員がロシアに協力しているとして17日にはバカノフ長官、検察トップのベネディクトワ検事総長の更迭を決めたばかり。
■銅価格急落、景気不安映す(7月20日)=LME3カ月先物は15日に一時1トン6955ドルと、2020年11月以来の安値を付けた。3月上旬の史上最高値(1万674ドル)の35%安。中国はゼロコロナ政策で企業活動が停滞。金利上昇に伴う世界的な景気減速懸念も反映し、軟調な展開が続きそうだ。銅の需要減を受け、投機筋は買いポジションを一気に縮小している。米商品先物取引委員会(CFTC)の投機筋の建玉(未決済残高)動向は、「コロナショック」初期以来の売り越し水準となった。ただ中長期で考えると、脱炭素対応で銅需要増は確実視されている。鉱山の採算ラインは7000ドル程度のため「この水準を一時的に割ることはあっても続くとは考えにくい」(関係者)との見方もある。銅価格は景気の先行きに敏感に反応するため「ドクター・カッパー」とも呼ばれる。当面は上値が重い展開が続きそうだ。
■インド、中国企業締め出し(7月20日)=インドは7日、マネーロンダリング捜査の一環で、中国スマホ大手のvivoに関係する119の銀行口座を差し押さえた。スマホ大手の小米(シャオミ)についても4月末、「不正な海外送金」に関連して資産を差し押さえた。中国自動車大手の長城汽車は6月末、米GMのインド工場の買収を断念した。背景として考えられるのは、インドの対中貿易収支の悪化だ。インドの対中貿易赤字は直近10年では最大に膨らんだ。中国の対応はこれまでのところインド企業への目立った報復措置には踏み切っていない。中国はロシアと連携してインドを自陣営に取り込む狙いがあるとみられる。
7月19日
■元徴用工問題、早期解決で一致(7月19日)=林外相は18日、韓国の朴振(パク・ジン)外相と会談。元徴用工問題の早期解決で一致した。朴氏は韓国内で差し押さえられた日本企業の資産が現金化される前に解決策を努力する方針を示した。
■債券価値、世界で2300兆円減 1~6月 南欧など財政リスク(7月19日)=世界の債券価値の1~6月減少額は17兆ドル(約2300兆円)。1990年以降で最大。各国の金融引き締めで債券利回りが急上昇し、利回りと反対に動く価格は急落。債券市場が収縮し、債務に依存してきた世界経済が曲がり角に差し掛かっている。下落が続けば、国債を多く持つ金融機関の経営リスクも高まる。国債は南欧諸国の国債利回りが上昇。社債では、格付けの低い企業に高い「上乗せ金利」が求められるようになった。新興国政府は国債の買い手として自国の銀行に依存する傾向が強く、自国国債の価格が下落すると銀行の自己資本が減少する「破滅のループ」(国際通貨基金=IMF)が警戒されている。
■ガス欧州供給、ロシア国営「不可抗力」(7月19日)=ロシア国営天然ガス会社ガスプロムが供給契約を結ぶ複数の欧州企業に、「不可抗力」により供給できないと通告したと伝えた。ドイツに至るガスパイプライン「ノルドストリーム」が停止する懸念が出ている。
■米で「BA.5」感染拡大・マスク再び義務化の動き(7月19日)=米国で「BA.5」などオミクロン型の派生型が流行し、マスク着用を義務付ける動きが出始めている。ロサンゼルスは感染者増が続けば7月中にも、屋内でのマスクの着用義務を再開する見通しだ。ボストンでも屋内ではマスクを着用するように呼びかけている。ただ重症者数は少数にとどまっており、感染対策と経済活動の両立をめざす方針は変わっていない。
■7―9月期、粗鋼生産予想は2349万㌧(7月19日・産業新聞)=経産省14日まとめの第2四半期見通しによると、出荷等相当粗鋼需要(粗鋼生産)量は前期実績見込み比0・8%増の2349万㌧と2四半期連続で増える。鋼材需要は国内需要増を輸出減が一部相殺する。