リサイクル関連法制事典

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リサイクル関連用語

  • 御触書(享保8年・1723年)

  • 御触書(寛政3年・1791年、寛政の改革)

  • 古着、古金類商売結社規則

  • 古物商取締條例1884年(明治16)

  • 古物商取締法96年(明治28)

  • 鉄屑配給統制規則(38年11月)

  • 金属類回収令・第一次(41年9月)

  • 企業許可令

  • 企業整備令

  • 改正金属類回収令

  • 対日賠償規定

  • 過度経済力集中排除法(集排法)

  • 物価統制令(戦後統制)

  • 古物営業法(49年5月、金属屑は適用外)

  • 独占禁止法

  • 鉄鋼需給安定法案(56年~57年3月)

  • 行政指導(鉄鋼公開販売制度)

  • 中小企業団体の組織に関する法律(中団法)と「全国小形棒鋼工業組合」(77年8月)

  • 特定不況産業安定臨時措置法(特安法・78年)

  • 特定産業構造改善措置法(産構法・83年6月)

  • 産業活力再生法(99年10月)

廃棄物・リサイクル諸法

  • 循環経済法

  • 廃棄物処理法

  • 改正廃棄物処理法(17条の2 「有害使用済機器」)

  • 資源有効利用促進法

  • 容器包装リサイクル法

  • 家電リサイクル法

  • 小型家電リサイクル法

  • 建設リサイクル法

  • 自動車リサイクル法

  • バーゼル法(条約)

  • SOLAS条約

  • シップリサイクル条約

  • 製造物責任法(PL法)

  • 土壌汚染対策法

リサイクル関連用語

  • 御触書(享保8年・1723年) 享保の改革(古金業などに組合結成)=吉宗の改革の一つとして、評定所及び町奉行は、古着屋ほか七品商売人への盗品物の捜索・防犯体制を定め、古着屋などと並んで古鉄古金商たちに組合結成と記帳管理などを命じた。 *古鉄商人は十人程ずつで組合を作り、日々売り買いの品を帳面に記し、盗難物(紛失物)の問い合わせがあった場合、帳面で調査(吟味)すること。*店外で商売(振売)する場合を公式に認め、鑑札を発行する。無札の売買は禁じ、無札の者を発見したら、同業仲閒で召捕、奉行所に連行すること。古金問屋は無札の者から買い取ってはならない。*新規に商売する者は最寄り組合に加入すること。このように決めたから名主、月行事はこの内容に沿って組合を結成し、問い合せがあれば入念に調査すること。*組合の取調(仕方)に問題(吟味未熟)があれば、責任を追及する(御触書2100)。

  • 御触書(寛政3年・1791年、寛政の改革) 古鉄買いは享保8年の御触書で古鉄業者以外はできなかった。しかし「紙屑買い」は町人(良民)なら誰でも自由にできた。外見上、古鉄買いと紙くず買いは紛らわしく紙くず買いが古鉄を扱う場合も少なくなかった。
     このため古金買達は区別の目印が必要だと町奉行に古金買達が陳情(1739年、町触6518)し、改めて目印の「焼印(鑑札)」が古鉄買いに付与された(1791年、寛政の改革、町触9806)。焼き印は古金買い達の独占的な営業特権の印だった。*これまで古金買いと紛らわしい者がいたと聞くので、目印として古金買いには「両掛之笊(ざる)に、何番組古鉄買誰と書いた新規の差札を渡す」。「今回の札は目立つために渡しているから、上覆・袋などをかぶせてはならない」。

  • 古着、古金類商売結社規則 江戸幕府から古がね、古物回収行政を引き継いだ警視庁は1876年(明治9)6月、「古着、古金類商売結社規則」(条例)を発令した。 質屋、古物商(古道具、古銅鉄、古本、古紙、両替屋)などが、同業組合を組織する場合の取締規則である(東資協二十年史9P)。

  • 古物商取締條例1884年(明治16) 明治16年の古物商取締條例は「古道具、古本、古書画、古着、古銅鉄、潰金銀を売買する営業者」を「古物商」と定義し、業を開くには免許を必要とした。
    ・1条=古物商とは古道具、古本、古書画、古着、古銅鉄、潰金銀を売買営業する者。・2条=古物商は管轄庁の「免許」が必要。・3条=警察官の調査のため古物商は物品、売買主を帳簿に記載しなければならない。・4条=身元不詳の者からの買取はできない。(全23条)。

  • 古物商取締法96年(明治28) 改正法である明治28年の古物商取締法では、古物商とは「主として一度使用したる物品もしくはその物品に幾分の手入れをしたものを売買交換するをもって営業となす者をいう」(第一条)とし、解説本では、業種を問わず「主として一度使用したる物品」等を取り扱う者は、おしなべて規制の対象とされた(古物営業法の改正の意義とその現代的位置づけ・越智浩。警察学論集・第48巻7号。33p)。
    ・1条=「古物商とは、主として一度使用したる物品若しくはその物品に幾分の手入れを為したるものを売買交換するを以て営業と為す者」。・2条=古物商は物品の種類を定め「免許」が必要。・3条=店舗を設けた時は管内行政庁に届出。・6条=相手方の確認と不正品の申告。・7条=住所・氏名不詳の者からの買い受け禁止。・9条=贓物(盗品)の品触れ。・10条=品触れ品の届出。・11条=帳簿記入(売買主の住所氏名・物品)。・12条=帳簿の廃棄は警察官の許可が必要。・13条=警察官は「何時たりとも」物品、帳簿を検査。・14条=法律命令に違反し行政庁が必要と認めたときは営業禁止・停止(禁止及び停止の効力は全国に及ぶ)。・15条=禁止処分者は、他人名義の営業も禁止。・16条=営業禁止の解除。・17条=遺失物・盗品の被害者への還付(全25条)。

  • 鉄屑配給統制規則(38年11月) 37年(昭和12)8月暴利取締令を改正し、「輸出入品等臨時措置法」を制定。その命令として38年7月「物品販売価格取締規則」を定め、公定価格統制を導入した。その第1号として「鉄屑配給統制規則」を制定(1938年11月)し、国内屑の配給統制の体制を敷いた。この配給規則はその後、改変を重ねるが、当初の内容は次のとおり。
    ▽配給統制は「本邦内に於いて発生したる鋼、又は銑の屑又は故」(一条)である。当時の植民地であった韓国、台湾もその範囲に含まれる(輸入屑は輸入屑鉄共同購入会が統制する)。▽鋼、又は銑の屑とは「平炉用、電気炉用、伸鉄用、銑鉄鋳物用、上物用、その他総て業務用の原料又は材料となり得るものを含み、品種別に見ると屑鋼、ダライ粉、古銑、屑銑を含んでいる」。「故とは客観的に見てどうしても元の用途に使い得ないもの」を指す。▽鉄屑を使用する者は原則として統制会社(=鉄屑統制株式会社)を通じて買わなければならず(二条)、統制会社以外の者は鉄屑使用者に販売してはならない(三条)。これには例外があって①使用工場が直接軍から受入れる場合②鉄屑業者、伸鉄業者が原料として仕入れる場合③カジヤなどの鉄屑少量使用者が買入れる場合は統制外(二条但書)。強制回収が本格化するのは41年(昭和16)の金属類回収令以後だが、同規則は「死蔵防止のため」強制回収権を商工大臣に与えた(五条)。
    ▼切符制(鉄屑配給) 国は、鉄屑配給統制は切符(鉄屑割当証明書)制度によることにした。統制団体に属する者は統制団体から、そうでない者は地方長官から切符を貰わなければ鉄屑を入手できない(六条)。その切符は各統制団体の割当限度内で発行する(七条)。割当は商工省および統制団体代表により構成する鉄屑配給統制協議会の決定に従う。自家発生屑は統制せず発生量を届出るにとどめた(八条、41年改訂)。▽同規則は「輸出入品等臨時措置法」二条により制定されたから本則違反は同法の罰則(1年以下の懲役または5千円以下の罰金。法五条)の適用を受ける。

  • 金属類回収令・第一次(41年9月) 国家総動員法に基づく戦中では最上位の法令(1941年8月30日公布、9月1日施行)。▼回収法令の内容=金属類回収令の特徴は、従来の鉄屑統制が発生工場、消費工場の鉄屑流通・販売の統制に係わるのに対し、直接に金属所有者を名指しして、その回収処分を命じる強行性を持ったことだ。同令はその後、改正を重ねるが、当初の内容は次のとおり。
     国は必要とする回収物件を指定する(これを令3条の「指定施設の回収物件」と呼ぶ)。この物件は以後、所有者といえども処分し移動することは許されない(3条、4条)。ただし回収が狙いだから進んで日本鉄屑統制会社などの「回収機関」に売ることはこの限りではない(3条但書)。地方長官は「期限を指定」して回収機関への売渡しを「勧告」する(5条)。勧告とは別に国は指定施設に対し譲渡の申込みを命じることが出来る(6条)。これが強制譲渡命令で回収令の何よりの特徴を示す。▼回収機関=41年10月、国は金属類回収令による回収機関の指定を行い、統制会傘下の指定商を(改編し)起用した。指定商は工場事業所などの指定施設からの回収・供出にあたり、一般家庭および非指定施設の特別回収は「戦時物資活用協会」(注)翼下の青年団、婦人会が受け持つ任務分担とした。*(注)=「廃品の回収とその再生利用、金銀製品の回収、宣伝活動、代用品の使用普及、代替品の斡旋などの目的を掲げ」39年10月財団法人として設立された(東資協二十年史)。

  • 企業許可令 戦争遂行に不要な企業活動の新設を禁じる命令である(41年12月)。上は石炭鉱業から下は露天商、てんびん棒に至るまで443種の商工業を現状で固定。新規事業は許可制とし全面不許可とした。この命令の半年後「設備の有効活用」を目指す企業整備令が登場する。

  • 企業整備令 国は金属類回収令5条で強制譲渡命令を発動するとともに、鉄屑化への準備を命じる企業整備令(42年5月13日公布、15日施行)を制定。以後、金属回収令と企業整備令は一体となって金属回収を推し進めた。同令は戦時経済の「総力発揮に資するため」企業の整理統合と「設備の有効利用」を目的とする(2条)。回収令と異なり指定物件の供出を命じるものではない。しかし「設備の有効利用」が鉄屑化と決まれば工場、事業所を丸ごと鉄屑とする。▽同令は事業主に対し設備や権利の移動、合併、廃止を命じ、設備や権利の売却先を指定する(5条後段)。売り先として産業設備営団、国民更生金庫、重要物資管理営団(42年2月設立。戦時経済運営に必要な鉄鋼金属など重要物資を管理供給する)などを示した。

  • 改正金属類回収令 43年8月の改正金属類回収令である。不用・不急産業の屑化を命じる企業整備令(42年5月)と一体として戦局の急迫と共に大改正(43年8月)された。これにより各地の鉄屑業者は不用・不急産業(工場)の屑化、回収の工作隊・回収隊として使役された。
     ▽①旧令に規定のなかった立法目的(戦力の増強に資するため)を明示。②「企業整備」の関係から事業設備も対象とした。③中央に回収本部を創設し、回収は地方長官の「指揮監督の下に」実施。地方長官は「回収機関」、「その他の者」を「必要な作業に従事」させる(7条)。この条項に基づき回収隊・工作隊を編成した。④旧令3条の97機関(指定商)は改正令6条で3機関(産業設備営団、国民更生金庫、金属回収統制株式会社)とし、指定商を完全に放逐した。⑤譲渡勧告は姿を消し、強制命令(6条)一本となった。⑥回収手順は旧令と同じ。国は回収物件の移動を制限し(5条)、譲渡命令を出し(6条)、譲渡価格と回収機関が負担すべき撤去費、引渡費用、修理費を決める(8、9条)。▽金属回収統制会社は、あるいは9条の回収機関として撤去費を負担し、あるいは6条の回収実務機関として鉄屑を買い上げた。

  • 対日賠償規定 ポツダム宣言の第11項による対日賠償問題である。同項の規定に基づき極東委員会(FEC)が数次にわたって発表し、GHQが、この保全管理工場を指定した。戦時賠償は当初、日本の軍需産業は勿論、平和産業も余剰分はすべて撤去するとの方針に立ち(ポーレー中間案、45年12月)、鉄鋼、紡織機械、機関車(客車・貨車を含む)を始め、火力発電、船舶、化学工業など1,007工場(46年8月)を指定し、保全管理を命じる懲罰的なものだった(体系経済学辞典)。
    ▼鉄鋼に関しては「年産250万㌧以上の鉄鋼生産能力の全部」(ポーレー中間案)を賠償対象とした。FECはポーレー案を基礎に46年6月、賠償中間計画を採択(鉄鋼の賠償は銑鉄200万㌧、鋼塊350万㌧を超える能力)。GHQは保全管理を行い、中間賠償の約30%の即時取立を指令(47年4月)。▽鉄鋼では46年8月、13社22工場が指定された。日鉄(八幡・輸西・広畑・富士)、日本製鋼(室蘭・広島)、大谷重工(羽田、尼崎=その後、解除)、特殊製鋼・蒲田、吾嬬製鋼(吾嬬・砂町・千住)、東京製鉄・千住、東都製鋼・砂町、中山製鋼(船町・尼崎)、大阪製鋼(西島・尼崎)、大同製鋼・大阪、大和製鋼・大阪、扶桑金属・和歌山、小倉製鋼・小倉。ただ日本鋼管、川崎造船、神戸製鋼、扶桑金属(製鋼所、尼崎)など民生関連の鉄鋼会社は賠償対象から除外された。FECの賠償数量200~350万㌧は戦前の32~33年度の生産量の中間に位する。▼ただ米ソ冷戦という国際環境の変化から49年5月、FECは中間賠償取立ての停止を声明。戦時賠償計画を破棄した。

  • 過度経済力集中排除法(集排法) 日本的トラスト(企業合同)の排除を目指して、GHQの提示に基づき47年12月に制定され、48年2月325社が指定された。▼鉄鋼業では日鉄、鋼管、扶桑、川重、神鋼の5社のほか小倉製鋼、中山製鋼、日本製鋼、大同製鋼、三菱製鋼、日亜製鋼、大谷重工、東京製鉄の計13社。▼その後、戦時賠償の破棄(49年5月)と同様に集排法も緩和された。

  • 物価統制令(戦後統制) 戦前の価格統制令を廃止し、戦後インフレ対策と低物価維持(3.3物価体系)のため1946年(昭和21)3月3日、公布・制定された戦後統制(ポツダム勅令)である。
     鉄屑にも価格等表示規則・同取締規制が告示され、この価格(マル公と呼ばれた)統制違反は「5年以下の懲役、5万円以下の罰金」が科せられることとなった。▽公定価格は戦前最後の246円以来、46年4月750円、47年10月1,100円、48年7月2,000円と改訂された。敗戦後の鉄鋼会社はナベ・釜を作ってその日をしのいでいた程だから市中鉄屑価格は公定価格を下回り、公定価格の改訂はインフレ補正にすぎなかった。その市中価格が朝鮮事変の勃発とともに一気に爆発した。公定価格は50年1月の3,000円から8月4,500円、12月6,380円へ。市中実勢価格は年初4,400円から年末には1万円へかけあがった。これをホローすべく翌51年2月公定価格を1万2,000円に引上げるや実勢価格も3月1万6,000円へ急騰した。▽公定価格違反は物価統制令違反として処罰される。しかし市中実勢価格が公定価格を常に上回っている状況では、取引関係者すべてが違反せざるを得ない。これは日々無益な違反者を作るだけの悪法だとの批判に抗えず51年3月31日GHQは一時停止を指令し、翌52年2月27日付けで廃止された。

  • 古物営業法(49年5月、金属屑は適用外) 戦前の古物商取締法(1896年施行)は古物とは「主として一度使用したる物品」として、おしなべて規制の対象とし、古銅鉄扱いは許可制として厳しく規制した。しかし49年5月制定の古物営業法は、古書など13品目を古物と指定した(規則第2条)が、「空き缶類、金属原材料、被覆いのない古銅線類」は古物ではなく、原材料として同法の対象外とした(警視庁・同法の解説)。解説本によれば、古物とは、そのままで、また幾分の手入れをして、その物本来の目的に用い得るものをいうのであって、全然形を変えなければ利用できないような、例えば屑鉄や屑繊維等は廃品であって、古物ではない」(49年「古物営業法解説」36p)。鉄屑扱いは(物価統制令はあるにせよ)「何らの法的規制を受けることなく自由に商売できる」商品となった。
     ・1条(定義)=「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品を含む)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。・2条(古物商の許可)・6条(無許可営業の禁止)。・7条(他人名義の営業の禁止)。8条(行商及び露店の許可)=古物商は、その従業員に行商をさせ、又は露店を出させることができる。「従業員の氏名、写真」を添付(規則18条)。・13条(許可の表示)。・16条(確認等及び申告)=古物商は、相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認しなければならない。・17条(帳簿)=帳簿に左に掲げる事項を記載しなければならない。①取引の年月日。②古物の品目及び数量。③古物の特徴。④相手方の住所、氏名、職業、年齢及び特徴。・20条(品触)=警察署長は必要があると認める時は古物商又は市場主に対して、ぞう物の品触を発することができる。・21条(盗品及び遺失物の回復)・22条(差止)・23条(立入及び調査)=警察官は、古物及び帳簿を検査し、関係者に質問をすることができる。・24条(行政処分)=古物商又は市場主の許可を取り消し、営業の停止を命ずることができる。・27条(罰則)=第六条(無許可営業の禁止)若しくは第七条(他人名義の営業の禁止)の規定に違反し、又は第二十四条第一項(行政処分)若しくは第二項(許可取り消し)の規定による処分に違反した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。・28条=第八条第一項(行商及び露店の許可)若しくは第二項(従業員条項)、又は第二十四条第三項(許可の取り消し)の規定による処分に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。・附則 1 この法律は昭和二十四年七月一日から施行する。2 古物商取締法(明治二十八年法律第十三号)及び古物商取締細則(明治二十八年内務省令第八号)は、廃止する。

  • 金属類営業条例(51~58年) 条例は自治体によって定義、買い受け制限など一定しないが、許可証の交付と掲示、売買ごとに相手身分の確認、不正品の疑いのある場合の申告、取引事項の帳簿記載及び保管義務、警察は盗品等の「品触れ」を発し、「必要があると認めたときは」「営業所に立ち入り」「金属屑若しくは帳簿」を検査し許可取消、営業停止を命じるなどは共通している。規制内容は江戸の「古金買組合」、「鑑札」や明治の古物商取締法、戦後の古物営業法の引き写しである。
    ▼古物営業法との関係=戦後の古物営業法(49年)は「金属くずは古物ではなく原材料として古物営業法から除外された」(56年大阪府会速記録第二号・95p。法令の項参照)。除外理由としては、戦中の金属類回収令、戦後の鉄屑資源調査(48年8月、51年2月)が行われるなか、金属くずは「古物」よりも、「鉄鋼原材料」と見られていたこと。それ以上に「国家統制」への関係者の抵抗感が強かったことが考えられる。ただ50年の朝鮮戦争以後、金属屑が高騰し、金属類の盗難が多発。「金属屑は何らの法的規制を受けることなく自由に商売できるため、種々の犯罪を誘発」しているとの規制論が台頭した(地方自治制度研究会編『全訂注釈地方自治関係実例集』1977年、54p)。
    ▼現行条例は規制色を弱める=制定第1号の長崎県佐世保市条例は許可制による取締り(規正)と違反には2年以下の懲役または10万円以下の罰金を科し、過失による品触品の届け出違反も処罰する厳罰令だった。第1波は朝鮮戦争下の公安取り締まり令だったが、鉄屑カルテル下で幅広い条例普及を目指した第2波は、防犯に重きをおいた。その後、金属くずの大量発生や価格暴落から取締条例の意味を失い14県が廃止(第3波)した。残存条例も、古物営業法の改正などにともなって制定当初の取り締まり条項の大方は削除した。ただ近年、ふたたび金属くず回収が社会問題化したことから、再制定(13年岐阜県)するところや、自動車解体やヤード内での不適切処理を取り締まり対象とする条例制定も相次いでいる(14年千葉県、15年鳥取県、17年茨城県)。
    ▼現行16道府県金属くず営業条例(各道府県㏋にリンクできます)

    ▼一般条例
  • 独占禁止法 日本占領下の47年に制定された「企業の私的な独占及び不当な取引に制限」を禁じる法律である。その柱が第4条、第5条であり、その適用除外の例外を認めたのが24条だった。▽主権を回復した日本政府が、まず取り組んだのが独占禁止法の改正であった。国は鉄屑カルテルに道を開くため第4条、第5条を全面削除し、例外規定である24条に24条の3(不況カルテル)、24条の4(合理化カルテル)を追加して、独占禁止規定を骨抜きにした(53年9月)。▼改正独禁法の適用除外条項の申請第1号が鉄屑カルテルであり(53年12月)、認可申請が公取の審決で却下されたのは、鉄屑カルテルが最初で最後(74年10月)だった。鉄屑屑カルテルの却下後、合理化カルテル申請はほぼ皆無となり、99年には適用除外規定(24条3,4)が削除された。
    ▼独占禁止法適用除外法=通産省は54年頃から57年まで毎年のように適用除外法案の国会提出を試みた。54年・鉄鋼事業合理化法案。55年・鉄鋼業合理化促進法案。56年・鉄鋼需給安定法案。しかし57年までに試みた三度の挑戦は、ことごとく失敗に終わった。

  • 鉄鋼需給安定法案(56年~57年3月) 通産省は鉄鋼需給安定のため、鉄屑カルテルの結成に力を尽くしたが、同時に公取の制約を受けない独禁法適用除外法の創設に取り組んだ。その初めが「鉄鋼事業合理化法案」(54年8月)だが、鉄鋼業界は、法案制定論議よりも、まず目前の鉄屑カルテルの対応を求め、国会解散とともに法案も流れた(通商産業政策史第6巻439p。以後「政策史」と略す)。鉄屑カルテル認可の目途がついた55年3月「鉄鋼業合理化促進法」を再提出した。しかし鉄鋼側は4月、鉄屑カルテルが発足したばかりであり、カルテルの成否を見守って欲しい。また統制色が強すぎると難色を示した。結局、国会提出には至らなかった(第6巻440p)。▽ただ、鉄鋼側の自主裁量に任せた鉄屑カルテルは、認可後わずか半年たらずで崩壊(55年10月)、通産省の強力な指導のもとに再建された(56年1月)。やはり、国が直接関与する。56年9月初めから「鉄鋼需給安定法案」の検討が始まった。原材料購入は届出制を、生産等は認可制を採る。通産大臣は共同行為の勧告、アウトサイダー規制、生産数量・原材料購入数量・販売価格・鉄屑販売価格の勧告などの権限を持つものとし、共同行為の指示制が固まった(6巻457p)。
    ▼関係省庁、業界の動き=公取は翌57年3月14日、同法案に対する最終結論として「不況カルテル」は公取の認可制とし「原材料カルテル」条項は削除、法案は3年程度の時限法とすべきなどとする大幅な修正を求める見解を通産省に連絡した。一方、水田通産相は、鉄鋼6社首脳に同法の国会提出に付き協力を要請した(3月14日)が、鉄鋼側は15日、通産省・公取などの修正案では統制色が強くなり、協力できないと決定した。▽また鉄屑連盟も同じ15日、立入り検査や価格決定を大臣届出だけで認めるのは強圧的で、アウトサイダー買付け規制の導入は業者の商権を侵害するとして反対を決議した。通産省も国会提出を断念(3月29日)した。
    ▼国は独禁法適用除外法の創設ではなく「行政面で価格安定を図る方針に替わった」(戦後鉄鋼史・年表)。即ち、これが行政指導による官民一体となったん鉄鋼公開販売制の創出である。

  • 行政指導(鉄鋼公開販売制度) 通産省は57年以降、独禁法の適用除外法制定ではなく行政裁量で業界を誘導する「行政指導」に転換した。行政指導なら、すでに鉄屑カルテルで実験済みだった。まず手はじめとして「鉄鋼の需給及び価格の安定」(57年4月)を発表し、主要7社との話し合いに基づいて58年6月からまず鉄鋼公開販売・「不況公販」として始まった。米国鉄屑の長期契約による大量入着(180万㌧)と折柄の金融引き締めによる鉄屑需給の超緩和と粗鋼減産、それに伴う鉄鋼価格の暴落対策が目的とされた。が、このタイミングで岩戸景気の42ヶ月が始まった。不況公販はわずか半年で意味を失った。一旦手に入れた事実上の鉄鋼製品カルテルは手離せない。通産省と鉄鋼首脳は真逆の「好況公販」に看板を掛け替え、存続を図った。公取も呑んだ(59年5月)。しかしこれは裏カルテルではないかとの疑念がつきまとい、公取も警告を発したから、通産省と鉄鋼は三度、装いを改めた。それが価格「安定公販」(60年7月)である。通産省と鉄鋼が普通鋼鋼材生産量と販売価格を事前に公然と取り決めることの疑義は、やはり深かった。このため公取は年次報告で「安定公販」への疑問を表明した。公取の疑問表明の最後が69年次報告である。

  • 中小企業団体の組織に関する法律(中団法)と「全国小形棒鋼工業組合」(77年8月) 独禁法の適用除外法の一つであるから、共同行為ができる。▼いきさつ=石油危機(73年)後の「世界同時不況(74年、75年)」に直撃された平電炉各社の救済が社会問題となった。「平電炉基本問題研究会」(76年9月通産、設置)は77年2月、過剰設備対策として①「電気炉の新増設を抑制するとともに電気炉設置に関するルールの確立」、 ②390万㌧(平電炉330万㌧、高炉60万㌧)の設備廃却、③中長期の需給調整措置として「中団法(中小企業団体法) に基づく商工組合設立」等を骨子とする報告をまとめた。▼「全国小形棒鋼工業組合」と「アウト規制」=77年8月中団法による商工組合として「全国小形棒鋼工業組合(小棒組合)」が認可された。中団法による組合は、一定の手続きを踏めば員外者(アウト)に対し組合への強制加入、事業活動規制、設備制限などの大臣命令が発動できる(アウト規制)。その意味ではアウト対策に苦しんだ旧カルテルより統制力は強い。▼11月、アウト規制に東京製鉄など猛反発=通産省は10月小棒組合申請の数量・価格・カルテルを認可した(12日アウト規制に伴う聴聞受付を官報告示)。東京製鉄などアウト12社は18日、通産省基礎産業局に聴聞意見書を提出(組合によるアウト規制は憲法違反である)し抵抗した。しかし通産省は中小企業安定審の了承を得て11月25日、調整期間を77年12月1日から78年3月31日までとする「鉄筋用小形棒鋼調整規則」などを公布し、アウトメーカーに生産割当を指示して、12月1日から東京製鉄や東洋製鋼などアウト12社に対する直接監視に乗り出した。

  • 特定不況産業安定臨時措置法(特安法・78年) 石油ショックと円高から構造的不況に陥った「造船、繊維、アルミ精錬と平電炉」の過剰設備改善を目的に「特定不況産業安定臨時措置法」(特安法、構造不況法)が制定された(1978年5月)。▽造船では77年12月波止浜造船が倒産。翌78年1月には佐世保重工業も行き詰まった(77年中小造船倒産19社)。繊維業界でも合繊・綿紡16社で73年末19万2千人いた従業員が10万9千人まで減少。閉鎖・人員整理が相次いだ。「電気の缶詰」といわれるアルミ製煉は作れば赤字。完全撤退しかなかった。▽特安法に基づく平電炉「安定基本計画」は78年8月策定された。285万㌧の電炉設備を78年度末までに廃棄し、 新増設・改造は80年度末まで行わない、とする設備規制である。▼特安法に基づく安定基本計画(78年8月)=処理を行うべき合計粗鋼年間生産能力285万㌧。処理方法=廃棄。休止(電気炉は電極把持器その他の重要構成部品を撤去し相当の期間及び相当の費用をかけなければ運転の再開が不可能となる状態にすること)。処理期間=廃棄は78年度末までに完了し、休止は78年度末までに休止の状態に入り80年度末まで継続。▽新増設の制限、禁止=80年度末まで電気炉の新設、増設及び改造(設備の更新及び改良を除く)は行わないものとする(能力増加が微少なものは例外)。
    ▼特安法延長=その後、79年の第2次石油危機と反動不況による需要後退から製品市況は暴落。「80年度下期の設備稼動率は77.9%、なお設備過剰状態」と産構審は見た(81年2月)。報告を受け国は81年3月末で期限切れとなる特安法を、83年6月末まで延長した(通算5年)。

  • 特定産業構造改善措置法(産構法・83年6月) 特安法は1983年6月まで延長された。しかし83年度末現在、なお380万㌧の余剰能力が残存すると国は見た。時限法である「特安法」の期間切れを前に国は、さらに新たに「特定産業構造改善措置法(産構法)」を制定(83年6月)し、電炉など8業種(のち25業種)を指定。設備の新増設の抑制を継続した。▼産構法の構造改善基本計画(83年7月)=年間粗鋼生産能力380万㌧の設備を処理する。▽処理方法は廃棄。休止(特安法の定義に同じ)として残置することは妨げない。廃棄は87年3月31日までに完了し、休止は87年3月31日までに休止の状態に入り88年6月30日まで継続する。▽設備処理=老朽設備など非効率設備を優先処理。▽新・増設及び改造の制限又は禁止=88年6月30日までの間、電気炉の新設、増設及び改造は行わないものとする。▼構造改革法(78年~88年)とは何か=1988年6月末、「産構法」は終わった。同法は380万㌧の設備廃却と88年6月末までは電気炉の新・増設及び改造は「行わない」と禁止した。鉄鋼業界は78年から83年までを第一次構造改善、83年から88年を第二次構造改善と呼ぶ。この11年の構造不況法の庇護のもと、電炉業界では合併、営業の譲渡等による設備集約はほとんど進捗していない。経済史は構造改革の成果を認めつつ、同法が閉鎖性を生み「競争制限的な志向」を強めたと指摘した。*本編集者は、これは公取の監視の及ばない独禁法適用除外法であり、事実上の鉄鋼各社による「第二カルテル」と見る。

  • 産業活力再生法(99年10月) これは78年に始まり88年に終わった構造改革法に続く第3の「電炉構造改善法」の試みだった。▼バウル崩壊と橋本内閣の公共事業抑制(97年6月)による需要減・価格低迷は電炉経営の体力を奪った。普電工は「電炉基本問題勉強会」(98年)を立ちあげ、 加盟39社59事業所の設備能力を調査し「350万㌧が過剰」との報告をまとめた(99年1月)。鉄鋼連盟は「普通電炉構造改革検討委員会」を設置し(99年3月)、電炉業の設備廃棄・換金化を円滑に進める新たな枠組みを求める構改要望書を政府に提出した(4月)。並行して通産省は「素材産業構造問題研究会」で検討を重ね、鉄鋼の「選択と集中」の政策的路線がこれによって動き出した(99年6月)。▽鉄鋼業界が要望した構改法の第3段は実現しなかったが、骨子を包み込む形で「産業活力再生法」が成立した(99年10月)。これは中山鋼業対策には間に合わなかったが、2000年4月に倒産した東洋製鋼には役立った(上場企業としては再建型民事再生法の初適用)。また国内鉄鋼業の成行きを見守っていた電炉・関連会社がこの前後、相次ぎ整理、統合に動いた。

  • 廃棄物・リサイクル諸法

  • 循環経済法 リオ宣言以後の「環境負荷の少ない」 経済活動達成を目指す法制 (「環境基本法」93年制定)全般を指す。国際的取り決めとして環境「汚染」防止を目指すバーゼル条約(92年5月発効)がある。国内対応法として「特定有害廃棄物輸出入規制法」(バーゼル国内対応法・93年12月施行)を制定し、廃棄物処理法を改正し「廃棄物国内処理の原則」を明記した。▼リサイクル2法=廃棄物処理法とリサイクル法諸法に大別される。「処理法」は旧厚生省の所管で環境保全の観点から「ゴミ」の「適正な処理」(排出抑制・減容)を目的とする取締法(処罰法) である。一方「リサイクル法」は環境省と経産省などとの共管で資源再利用の観点から「排出物」の「有効利用」を目的に各種・各段階の指導(ガイドライン)を通じて再資源の促進を図る監督・育成法である(正式名は再生資源利用促進法。01年全面改正)。

  • 廃棄物処理法 70年(昭和45)12月、公害関係14法の一つとして従来の「清掃法」を全面改正しスタートした(施行71年9月)。「事業活動に伴って生じた」廃棄物を対象とし、事業者の自己処理責任を原則とする(10条)。他人に委託させることはできるが、法定処理業者でなければならず(12条)、処理業者は収集、運搬、処分について都道府県知事の許可を必要とする(14条)。▽同法は産業活動全般から発生する廃棄物処理に係わるから産業活動、市民意識、さらに処理実際の変化と共に規制内容も次第に強化、適用拡大の傾向をたどった。▼廃棄物定義=「廃棄物とは占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないため不要になった物をいい、これに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない」(77年3月、 厚生省通知)。▼鉄スクラップ業者との関係= ただし専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りではない」(14条但書)とされ、「産廃物の処理業者であっても、専ら再生利用の目的となる古紙、くず鉄(古銅を含む)、あきびん類、古繊維を専門に扱う既存の業者は許可の対象にならない」とされた(環境衛生局長通知)。▼金属リサイクル伝票=もっぱら再生利用する古紙、金属、壜、古衣などは有償・無償にかかわらず許可は不要とされた。しかし90年代後半の資源相場の下落から買取り(有償)ではなく払出し側に費用を請求する(逆有償)事態が発生したことから、排出者側から産廃法の許可が必要ではないかとの疑問が寄せられた。この誤解を防ぎ、適正再利用を行っている証しとして関係省庁と協議のうえ99年11月、日本鉄リサイクル工業会は「金属リサイクル伝票」を、日本再生資源事業協同組合連合会(日資連)は「リサイクル化証明書」を発行した。

  • 改正廃棄物処理法(17条の2 「有害使用済機器」) (18年4月施行)。配電盤、モーターなど鉄製容器収納の非鉄類や廃家電品(いわゆる雑品)の適正処理対策として、国は廃棄物処理法を改正し、家電リサイクル法4品目と小型家電リサイクル法指定28品目、計32品目を対象に、保管・処分業者について都道府県知事又は政令市長への届出を義務付けや保管・処分基準の遵守、都道府県による報告徴収及び立入検査、改善命令及び措置命令を規定した。違反は同法の規定により処罰される。

  • 資源有効利用促進法 「再生資源利用促進法(1991年)」を2001年4月全面改正し、「資源有効利用促進法」と法名も改めた。個別リサイクル法の「総論」法規。3Rの促進・分別回収の表示・副産物対策を規定する。「対象製品・業種」を指定し、設計・製造段階の3R配慮、分別回収のための識別表示、事業者による自主回収・リサイクルシステムの構築などを定める。「判断基準」(ガイドライン)を定め、取組みが不十分な場合は指導・勧告・公表・命令する。▼対象=「特定省資源業種」(鉄鋼、化学工業など)、「特定再利用業種」(複写機製造、硬質塩ビ管など)、「指定省資源化製品」(自動車、家電、パソコンなど)、「指定再利用促進製品」(自動車、パソコンなど)、「指定表示製品」(プラスチック製容器など)、「指定再資源化製品」(パソコン、二次電池など)と指定は広範にわたる。▼包括規制=2輪車やパソコンなど個別リサイクル法適用物以外の包括規制を行う。

  • 容器包装リサイクル法 (1995年6月制定、95年12月施行)正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化促進法」。各種リサイクル法の先頭を切った。▼スチール缶、アルミ缶は除外=一般廃棄物のなかで大きな割合を占めるペットボトルなど容器包装廃棄物について分別収集を進め、再商品化を進めることを目指す(第1条)。分別基準に適合した物であっても「有償または無償で譲渡できることが明らかで再商品化する必要がない物」は除外(2条6項)され、スチール缶、アルミ缶などが除外品に指定された(規則3条)。有償または無償で取引されない(逆有償)場合、同法の対象となる。この回避のため「スチール缶リサイクル協会」が行政の回収等に協力している。

  • 家電リサイクル法 (1998年6月制定、2001年4月施行)=正式名称は「特定家庭用機器再商品法」。市民を排出者、家電販売店等を収集・運搬者、家電メーカー等を再商品化義務者とし、処理料金は排出時にユーザーが負担する。受け渡しは電子「管理票」で行い、家電メーカーには「自らが過去に販売した商品」につき引取り・再商品化責任を負う「拡大生産者責任」を課した。
    ■概要=製造業者等は指定引取場所で自らが製造等した機器を引き取る。対象機器はエアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビ、洗濯機の4品種。09年4月から液晶・プラズマテレビ、衣類乾燥機の2品種を追加。製造者等は再商品化等料金をユーザーに請求できる。料金額は再商品化等を能率的に実施した場合の適正原価を上回ってはならない。▼小売業者(引取、引渡義務)とマニフェスト(管理票)制度=小売業者は自ら販売をした機器を引き取らなければならない。その場合、排出ユーザーに対し処理料金を請求できる。引き取った家電は「中古品として再利用する場合を除き」リサイクル責任者である製造業者等に引き渡さなければならない。全体の流れを管理するために家電製品協会・家電リサイクル券センター(略称RKC)は電子管理票を発行し、再商品化の一元管理を行う(家電リサイクル券システム)。▼家電リサイクル回収はAとBの2グループで実施=「松下・東芝」のAグループと、「日立・三菱・シャープ・三洋・ソニー・富士通」のBグループの2陣営にわかれた。Aグループは既存の鉄スクラップ業者などと提携するが、Bグループ各社は、全国各地に自前の拠点工場や自治体との連携による「エコタウン」に参加・独自の工場を建設に動いた。
    ▼中古品は廃棄物ではない=法2条5項は「『特定家庭用機器廃棄物』とは特定家庭用機器が廃棄物となったものをいう」から、中古品は、法の対象とならない。これが廃家電引き取りのグレーゾーン、脱法の格好の材料となった。このため廃家電製品に係わる「廃棄物」の見直しが急がれた。
    ▼環境省12年3月通知=環境省は12年3月19日、中古品としての価値が明らかに認められない家電回収品は廃棄物に当たると通知した(使用済家電製品の廃棄物該当性の判断)。
     通知の内容=(1)①中古品としての市場性が認められない場合(年式が古い、通電しない、破損している、リコール対象製品、等)又は再使用の目的に適さない粗雑な取扱い(雨天時の幌無しトラックによる収集、野外保管、乱雑な積上げ等)の場合は廃棄物に当たる。②廃棄物処理基準に適合しない方法による分解、破壊等の処分の場合は脱法的な処分を目的としたものと判断されることから、占有者の主張する意思の内容によらず、その使用済特定家庭用機器は廃棄物に当たる。
    (2)使用済家電製品についても無料、又は低廉な価格で買い取られる場合であっても、直ちに有価物と判断されるべきではなく総合的、積極的に廃棄物該当性を判断する。
    ▼輸出規制を強化=環境省は12年9月、「廃棄物該当性の判断」(3月)に基づき、家電リサイクル法以外の廃家電製品も、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案し、廃棄物該当性を積極的に判断し、輸出は環境大臣の確認が必要、違反の場合は未遂も処罰するとし、14年4月1日から適用を開始した。

  • 小型家電リサイクル法 (2013年4月施行)=正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化促進法」。電子機器の小型化、機能の高度化に伴い、小型・高機能を支える添加材や製造・加工工程でレアメタル、レアアースの需要が急激に高まった。これらレアメタル、レアアースの生産、供給は中国に偏在するため、新たな国家戦略が求められた(09年レアメタル確保戦略)。環境省と経産省は合同で08年以来、「使用済小型家電からのレアメタル回収及び適正処理に関する研究会」を立上げ、両省は新法として国会に上程し12年8月成立。13年4月1日から施行された。
    ▼特徴=①市町村に分別回収責任=小型家電の効率的な回収のため「市町村は分別して収集する」(5条)とした。②業者認定=収集運搬及び処分を行おうとする者は、実施計画を作成し、大臣認定を受ける必要がある(10条)。③処理法除外特例=認定者が再資源化に必要な行為を行う場合は、産廃業収運及び処分業の許可は不要(13条)。④債務保証特例=認定を受けた者は産廃物処理事業振興財団が行う債務保証等の対象とする(14条)。⑤対象品目=携帯電話やデジカメなど28分類。鉄、非鉄リサイクル業者、産廃業者や商社、電炉会社も「認定業者」登録に名乗りを上げた。

  • 建設リサイクル法 (2000年制定。02年5月施行。名称は建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)。▼特徴=建設資材廃棄物の分別解体と再資源化等の促進を目指す。解体業者に「コンクリート、コンクリート及び鉄からなる建設資材、アスファルト・コンクリート、木材」(特定建設資材=施行令)の分別解体、再資源化、解体工事業者の登録等を義務づける(鉄スクラップは特定建設資材の対象となっていない)。

  • 自動車リサイクル法 (2002年7月制定。03年1月以降段階的施行、05年1月から完全施行)
    ▼法制定のいきさつ=廃車リサイクルを加盟国に義務付けるEU指令(2000年9月)と自動車シュレッダーダスト(ASR)の不法投棄が社会問題となった豊島事件(1991年)が原動力となった。
    ▼その特徴=①廃自動車は「廃棄物」とみなした(121条)。解体業者や破砕前処理業者(プレス業者)、破砕業者を「許可制」とした。②リサイクル対象はフロン類、エアバッグ、ASRの3品目に限定。バッテリーやガラス、タイヤ類はカバーしない。③処理料金はユーザーが「前払い」で負担。自動車メーカーには引取り、制度運営を含む再商品化責任(「拡大生産者責任」)を課した。④リサイクル工程は電子「管理票」で掌握し情報を一元管理する(実務は「自動車処理促進センター」や自動車再資源化協力機構・自再協が行う)。⑤廃車処理はシュレッダーで破砕する場合(28条)と、電炉等が廃車解体関係者と「コンソーシアム」を結成し解体する場合(31条)を想定した。
    ▼その処理=シュレッダー業者が処理する場合(28条)、発生ASRは、シュレッダー業者に替ってユーザー負担(リサイクル料金・前払い)のもと、自動車メーカーの責任において処理される。自動車解体業者が処理し、電炉などが使用する場合(31条)でも、一定の条件でリサイクル料金を自動車解体業者に還付する仕組みも用意した。電炉側は銅分含有0.3%以下を求めている。

  • バーゼル法(条約) 有害廃棄物の国境を越える移動及び処分の規制に関する条約。同条約の批准に伴い、日本はバーゼル国内法を制定(1993年12月)。▼バーゼル法と廃棄物処理法の関係=バーゼル法は有害物であればリサイクル物(有価)、廃棄物(無価)に係らず輸出入を規制する。
     一方、廃棄物処理法は廃棄物定義に従い、有害・無害に係らず、逆有償であれば廃棄物として輸出入を規制する。▼バーゼル条約対応=廃棄物処理法も「廃棄物国内処理の原則」(2条の2)を明記。廃棄物輸出を禁じた。ただし①国内処理が困難な物、②輸出相手国での再生利用が確実な物は環境大臣の確認で輸出は可能。③申請は排出事業者に限り廃棄物処理業者は輸出できない。

  • SOLAS条約 「海上における人命の安全のための国際条約」。1912年に起きたタイタニック号の海難事故を契機に1914年発効し、日本も1935年に加盟した。IMSBC(国際海上固体ばら積み貨物規則)コードの強制化に伴い鉄スクラップは「雨中荷役禁止」対象となった(11年1月)。鉄スクラップ類の中でも「溶解・伸鉄用鉄鋼スクラップ」(銑・鋼ダライ粉は除く)は船舶輸送の危険性は少ない。このため日本鉄リサイクル工業会は、国交省など関係機関と折衝して上記の新項目を申請。11年9月、その正式承認を受け、雨中荷役が可能となった。

  • シップリサイクル条約 船舶解撤作業中に環境汚染や労働安全対策などの不備から事故が多発したため2009年「船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約」(シップリサイクル条約)が採択された。 条約は500総㌧以上の船舶の解撤に際し環境と安全配慮責任を船舶旗国に求める。条約発効は、①15ヶ国が締結し、②締結国の商船船腹が全船腹の40%超で、③締結国の過去10年の船舶解撤量が商船船腹の3%超の要件達成から24ヶ月後発効する。*2020年3月末時点の批准国は15ヶ国に達した。またシップリサイクル条約を先取りし13年12月発効のEU域内規制に基づき、船舶に対するインベントリ等の要件が18年12月31日から適用された。現存船も20年12月31日以降、EU籍船及びEU加盟国に寄港・停泊する非EU籍船に対して「インベントリ」(船上に存在する有害物質、廃棄物、貯蔵物の位置と概算量を記載した一覧表)の備え置き等が義務化される。詳しくはこちら

  • 製造物責任法(PL法) 1994年、全6条で制定された(主務官庁・消費者庁)。製造物とは「製造又は加工された動産」(2条第1項)と定義するから、中古品又は廃棄物であっても「製造又は加工された動産」に該当する場合は、製造物責任の対象になる。ただ中古品に対しては、以前の使用状況、点検、修理などの状況を踏まえ、また廃棄物に対しては、製品として利用することが予定されていないという事情を考慮し、 個別に判断すると解釈されている。▼リサイクル部品と製造物責任=使用済自動車から回収された有用な部品や修理に際して交換された部品が、リユース部品若しくはリビルト部品として再利用された場合は、当該部品は製造物責任の対象となる。
    ①リビルト部品=補修用部品におけるリビルト部品は、使用済自動車から取り外した部品や修理の際に発生した交換部品等をベースに、摩耗、劣化した構成部品を新品と交換、再組み立てして商品化されるものであり、リビルト部品を「製造又は加工」した者が製造物責任を負う。リビルト部品の使用に際して生じた損害が、交換した構成部品の欠陥に起因する場合は、当該構成部品を供給した部材メーカーが製造物責任を負う場合がある。②リユース部品=リユース部品は、部品を取り外し、分解等の手を加えず商品化されており、別の特性が加えられていないことから、リユース部品の供給業者は製造業者には該当しない。とはいえ被害者は契約責任や瑕疵担保責任に基づき修繕請求等を売主にできる。このため供給事業者が第一次責任を負う可能性がある(自動車補修用リサイクル部品の企画策定に関する研究会・2014年第2回資料4)。

  • 土壌汚染対策法 土壌汚染防止の法律として03年2月15日施行された。▼概要=鉛や砒素などの有害物質を扱う工場が廃業し、宅地などに用途を変更する際に汚染調査を義務付けた。健康被害が生じるおそれがある場合は、都道府県知事は所有者等に汚染除去を命じる。汚染者以外が除去した場合、汚染者が分かって3年以内、除去して20年以内であれば、汚染者に費用請求ができる。▼土壌汚染状況調査。▼健康被害の防止措置=所有者等に「汚染の除去等の措置=立入制限・覆土・舗装・汚染土壌の封じ込め・浄化等」を命じる。▼鉄スクラップ業者への影響=リサイクル事業所がこの土壌汚染対策法に直ちに該当するかは分からない。ただ鉛など特定有害物質の汚染の可能性があると、都道府県知事が認定すれば、同法とは無関係ではありえない。処理がむき出しの土場・地面で行なわれ、地下浸透防止策が行なわれていない場合、そのおそれは高い。さらに担保価値の問題がある。▼銀行等の担保価値=一部銀行の内規によれば、土壌汚染地区と指定された既存担保の土地評価額はゼロとする。有害物質を扱う工場や企業などが保有する土地は調査で汚染が無いことが判明しない限り、新規担保の対象から原則としてはずす、としている。

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