一般用語・用例事典
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鉄(銑鉄 Iron・鉄鋼 steel)
鉄(鉄鋼)の生産工程
鉄鋼蓄積量
見掛け(鉄鋼)消費
原料炭
銑鉄(pig iron)
餅鉄(もちてつ)
錬鉄(れんてつ)
レアメタル(rare metals)
レアアース(rare earth elements=REE)
粗鋼(crude steel)
還元鉄(DRI・海綿鉄)
HBI(ホット ブリケット アイアン)
普通鋼
特殊鋼
ステンレス鋼(stainless steel)
耐熱鋼 SUH(Steel Use Heat Resisting)
超硬合金
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棒鋼(小棒、異形棒鋼)
形鋼
H形鋼
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原単位
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豊島(てしま)事件
阻害元素(トランプエレメント)
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ハーネス
三元触媒
一般用語
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鉄(銑鉄 Iron・鉄鋼 steel) 炭素の含有率の違いによって、銑鉄や鉄鋼に分けられる。一般に炭素分を2.1%以上含有するものを銑鉄(鋳物)、それ未満を鋼(炭素鋼)、0.04%以下を軟鋼、0.02%以下を純鉄と呼ぶ。アイアン、アイロンは銑鉄、スチールは鉄鋼・鋼鉄を指す。
▼鉄の物性=原子番号26。元素記号Fe。元素名はラテン語のferrumに由来。大和言葉では「くろがね」「まがね」と呼ぶ(因みに鉄スクラップは「ふるがね」と呼ぶ)。比重7.9。融点(1,535℃)は他の金属に比べ高い。 -
鉄(鉄鋼)の生産工程 高炉は鉄鉱石から銑鉄を作り(製銑)、転炉で銑鉄(熔銑)から炭素を除去(脱炭)して鋼を製造する(製鋼=粗鋼)。電炉会社は回収鉄を再溶解する工程(製鋼=粗鋼)だけで製銑工程を持たない。粗鋼は加工(圧延)工程を経て板、条鋼、線材などの鉄製品として出荷される。製銑、製鋼、圧延の上工程から下工程総て持つ会社を一貫製鉄所。製鋼工程を持たず圧延工程だけの会社を単圧会社と呼ぶ。
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鉄鋼蓄積量 それまでの鉄鋼・鋼材の投入総量。将来の鉄スクラップ発生の原資総量。試算式は、鉄鋼(年間)蓄積推定量=「当年国内粗鋼生産数量+同直接・間接輸入数量」-(同「直接・間接輸出数量」+同「鉄スクラップ輸出入ギャップ」)。鉄鋼蓄積(累積)総量は「前年までの鉄鋼蓄積数量+当年蓄積推定量」と推定する。
世界の鉄鋼蓄積は200億トン、うち米国は40数億トン、日本は約13億トン強と推定される。 見掛け(鉄鋼)消費 「(国内生産+輸入)-輸出」で算出する。
原料炭 高炉銑鉄の材料石炭。還元剤及び熱源として使用される。火力発電用などの石炭は一般炭と呼ぶ。銑鉄1トンを作るには石炭0.6~1.0トンが必要。鉄鉱石と同様に原料炭価格は資源メジャーと長期契約(2010年4月以降は四半期契約。以前は年度契約)する。
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銑鉄(pig iron) 炭素分2.1%以上の鉄(同未満が鋼)。
「銑」一字だけなら「ずく」とも読む。切り口が銀白色のものと鼠色のものがあり、前者を白銑(はくせん)、後者を鼠銑(ねずみせん)と呼び、白銑は製鋼用に、珪素やリンが多い鼠銑は主に鋳物用に使用される。 -
餅鉄(もちてつ) 製鉄原料としては鉱石と砂鉄があるが、日本では専ら砂鉄を使った「たたら製鉄法」が用いられたとされたが、最近では古文書(続日本記)や鉄鉱石精錬の遺跡発掘から鉄鉱石使用も指摘されている(製鉄遺跡・窪田蔵朗)。たとえば東北地方の「餅(もち)鉄」(釜石などで産出される。鉄黒色を呈し重量があり金属的)や「くろがね石」(北九州市)などの利用が分っており、東北地方では中世以来、一定の生産が行われていたとされる(鉄の考古学・窪田蔵郎)。
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錬鉄(れんてつ) たたら製鉄で鉧=けら(英語ではブルーム、ドイツ語ではルッペ)を鍛錬して作り出した金属鉄。太古の炉の温度は上がらないから鉱石からできた鉄金属の小滴は海綿状の鉱滓のなかに分散する(海綿鉄)。これを再加熱しハンマーで叩くと金属粒が集まり、鉄塊(錬鉄)ができる。錬鉄はヒトが最初に作り出し親しんだ鉄で、鋼は高炉法と近代製鋼の産物。
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レアメタル(rare metals) 特定の非鉄金属グループ(31鉱種)を表す言葉である。
1 本質は機能添加剤=レアメタルは非鉄の一種だが、銅や鉛、アルミなど原材料の大半を占めるメジャーメタルとは異なり、量的供給の少ない金属を指す。ニッケルやクロム、マンガンなど配合率が10%超の場合、ステンレス鋼、特殊鋼として既に専業マーケットが動いている。しかしタングステン、アンチモンなどのレアメタルのほとんどは、配合率数%の微量の「添加・機能剤」で、流通・回収ルートの歴史は浅く、未整備である。
2 プレイヤーは限定的=供給は世界的に偏在し需要供給ともに不安定なため、国家管理(中国ではタングステン、アンチモン、レアアースなど)、国家監視(日本ではJOGMECが9鉱種を戦略備蓄在庫に指定)の対象とされ、需要はハイテク企業に絞られ汎用性に乏しい。鉄や銅、アルミなどのメジャーメタルであれば、供給者は多くの需要者を選択して自由に販売できるが、レアメタル・レアアースの需要は専門数社にしぼられ、メタルスペック(成分規格)も厳密に指定されるから販路・価格の自由度は極めて限定される。
3 レアメタル・パラドックス=埋蔵量が少ないからではない。需要が小さく、価格も不安定なため収益が保証できないから開発が進まず、「レア(少ない)」な状態に留まっている。「機能添加剤」であるから高価なレアメタル・レアアースの使用を避ける代替素材の開発、原単位の低減化、成分交替は不可避である。価格高騰がレアメタル・レアアースの市場退場を促す最大要因となる。
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レアアース(rare earth elements=REE) レアメタルの1鉱種。レアアースの特徴は、複数の元素が1鉱種としてカウントされていること。スカンジウム、イットリウムの2元素にランタノイドと総称される15元素を加えた17元素をまとめてレアアースと呼ぶ。この17元素は、「軽希土類」と「重希土類」に大別され、「軽希土類」は比較的世界の広い地域に分布しているが、「重希土類」は、中国の特定鉱床でしか生産できる量が確認されていない。
レアアースの中国の埋蔵量は世界全体の30%程度だが、生産量は世界全体の約97%を占め、特に重希土類の生産は、中国1国に限定されている。このため「重希土類」は中国の政策に左右される調達リスクが高く、この対策の一つとして「レアメタル確保戦略」(2008年)やその国内回収を目指す小型家電リサイクル法が制定された(13年4月施行)。
なお、①レアアースは主要鉱物と同時か副産物(主鉱種・鉄=レアアース。▽ニッケル・銅=ガリウム。▽アルミ・亜鉛=インジウム。▽銅=テルル)として出現するため、生産者は主産物価格と需要で操業を決定する。②開発するには数十億ドルの資本コストや通常10年にわたる生産までのリードタイムが必要。③鉱物価格が新規鉱山開発への意思決定に影響する(開発鉱種の高価格が継続するという確実性が必要)ため、市場供給の不安定(困難)さが指摘される(米国エネルギー省2010年「クリティカル物質戦略レポート」)。 -
粗鋼(crude steel) 転炉、電炉から出鋼した液体もしくは鋼塊。鉄鋼製品を圧延等の加工ラインに乗せる前の製品材料。世界の統計はこの粗鋼生産を鉄鋼生産の基準とする。
▼粗鋼生産(世界)=世界の粗鋼生産が7億トン台に乗ったのが1974年。8億トン台に乗ったのが2000年。1億トン増やすのに26年、約四半世紀かかった。しかし03年以降は中国の躍進から年1億トンペースで増加し、13年には16億トン強に達した。粗鋼生産急増の背景には中国やインドなどBRICsを中心とする新興市場国の台頭と生活の近代化がある。
▼粗鋼生産(日本)=日本の粗鋼生産は1973年に1億トンに乗り、80年には米国を抜き、96年中国にその座を奪われるまで国別のトップにあった。
過去最高は列島改造ブームの73暦年1億1,932万トン。13暦年1億1,057万トン(世界2位)。40年以上にわたり、ほぼコンスタントに1億トン前後の生産を維持している。 -
還元鉄(DRI・海綿鉄) 冶金用コークス以外の還元剤で鉄鉱石を直接還元した金属鉄。還元剤は天然ガスや冶金用以外の石炭を使う。還元後の鉄鉱石は海綿状の塊となり海綿鉄(スポンジ・アイアン)とも呼ぶ。*DRI=Direct Reduced Iron。*HBI=Hot Briquette Iron
▽特徴(小額投資・清浄材料)=高炉によらないため、コークス炉、化成工場、焼結工場が不要で、建設費は高炉法に比べ小額投資で済み経済的な製鉄装置である。また鉄鉱石から直接還元製鉄の過程だけで生産され「銑鉄と鋼の中間物」とされる。還元温度が低く高炉に比べコークスなどの溶剤の使用量がごく少ないからガス、燐なども少ない。
このため清浄で、不純物混入の恐れがある鉄スクラップ代替品としての一面を持っている。 -
HBI(ホット ブリケット アイアン) 直接還元したDRIは酸素と結び付きやすく(再酸化)、空気や水、特に海水に触れると発熱・発火するため、海上輸送のような大量かつ長距離の輸送や長期間にわたる屋外保存には不向きとされ、この解決のためHot Briquetted Iron(HBI)が開発された。HBIは見掛け比重が3.4~3.6t/程度のDRIを700℃前後の熱間で見掛け比重5.0~5.5t/程度に圧縮・成型(ブリケット化)し、活性比界面積を減らしたもの。この技術開発によって大量かつ長距離の輸送や屋外での長期保存が可能となった(神戸製鋼HP・直接還元鉄(DRI)とは?)。
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普通鋼 鉄と炭素だけを含む(少量の不純物も含む)ものを炭素鋼(carbon steel)といい、その他の金属元素(マンガン、クロム、モリブデンなど)を効果的に加えたものを合金鋼(alloy steel)と呼ぶ。日本では炭素鋼、合金鋼という区分より普通鋼、特殊鋼との分類が行われている。
形状によって条鋼(棒状、線状)、鋼板、広幅帯鋼、鋼管などに分類される。 -
特殊鋼 定義は国によって一定しない。日本では炭素鋼の中でもリン・硫黄が少なく入念に製造されたものも特殊鋼に加える。ステンレス鋼、高張力鋼、構造用炭素鋼(SC材)、工具鋼(SK材)、バネ鋼、軸受鋼、快削鋼等。
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ステンレス鋼(stainless steel) 英語で「Stainless」は「さびない」の意。耐食性を向上させる目的でFeに12%以上のクロム(Cr)又はクロムとニッケル(Ni)を添加した合金鋼。Cr系はフェライト組織(代表的なものではJIS-SUS430。18Cr)とマルテンサイト組織(SUS410、13Cr)がある。Cr-Ni系はオーステナイト組織(SUS300番台、18Cr-8NiのSUS304が代表的)、析出硬化型(SUS630)、オーステナイト・フェライト二層組織(SUS329j1)に分かれる。
さらにNi節約型のCr-Ni-Mn系(SUS200番台)に3分類される(金属用語事典など)。
古くは「不銹鋼」とも呼ばれたが最近では「ステンレス鋼」にほぼ統一された。
▽その仕組み=鉄にクロムを添加するとクロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜(不動態皮膜)を生成する。不動態皮膜がさびやよごれの進行を防ぐ。不動態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いが、毀損しても酸素があれば自動的に再生する機能を持つ。
▽ステン鋼の製造=電気炉にフェロアロイ(フェロクロムやフェロニッケルなどの合金鉄)、ステンレス屑などの主原料を装入して溶解する方法が主だが、最近は高炉溶銑を利用する方法も普及しつつある。また炉外精錬の発達により電気炉では溶解作業のみを行う。 -
耐熱鋼 SUH(Steel Use Heat Resisting)
高温における各種環境で耐酸化性、耐高温腐食性又は高温強度を保持する合金鋼。数%以上のクロムのほか、ニッケル、コバルト、タングステンその他の合金元素を含むことが多く、主としてマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、及び析出硬化系の四つに分類される。合金元素の総量が約50%を超える場合、一般に超耐熱合金又は耐熱合金もしくは単に超合金と呼ぶ。マルテンサイト系はJIS-SUH1、SUH3、SUH4、SUH11、SUS403、SUS410。フェライト系はSUH446、SUH405。オーステナイト系はSUH31、SUH35~38、SUS304、SUS316。析出硬化型はSUS630、SUS631が規格化されている(金属用語事典)。 -
超硬合金 周期表第Ⅳa、Ⅴa、Ⅵa、Ⅵa族金属の炭化物をFe、Co、Niなどの鉄系金属で焼結結合した金属。機械的特性が特に優れるのはWC(炭化タングステン)-Co(コバルト)系合金で、この合金を一般に超硬合金と呼ぶ。WC-Co系以外にも各種合金がある(日本タングステンHp)。耐磨耗性が要求される切削工具や歪みを嫌う金型などに多用される。
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スラブ、ブルーム、ビレット(鋼片) 鋼塊を圧延した後の半製品(鋼片)の呼び名。長方形の鋼片で幅が厚さの2倍以上の鋼片をスラブ、1片が160mmを超える角鋼片をブルーム、160mm以下の鋼片をビレットと呼ぶ。
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棒鋼(小棒、異形棒鋼) 日本の鋼材生産の約1割強を占める。電炉会社の主力鋼材。2012年度の普通鋼材生産7,346.5万トン、うち棒鋼は13.4%の985.5万トン(うち鉄筋は848.2万トン)。断面は円形、正方形、多角形の棒状鋼材。土木・建設で多用される。他は機械の構造部材やボルト、ナット、リベットやチェ-ンの素材などに供給される。現在鉄筋といえば異形棒鋼を指すが、日本で初めて生産されたのは昭和24年(1949)。それまでは鉄筋といえば丸鋼であった。
コンクリートの付着性を高めるため表面に突起や節目をつけた異形棒鋼は米国で開発され(1887年頃)、大正初期に日本に輸入されたが、関東大震災の際、異形棒鋼を使用したビルが崩壊し、その原因は異形棒鋼とされたために一時使用されなくなった。昭和24年に国産化された異形棒鋼は、米国ASTM規格に基づいて製造され、米軍や沖縄向けに供給された。大正時代のものに比べコンクリート付着性能が優れていたため需要が高まり、昭和28年(1953)にはJISが制定され昭和30年代には生産量が激増した。丸鋼生産は昭和43年(1968)をピークに減少に転じ、以後は異形棒鋼に主役を譲った(「建設資材物価の50年」より)。 -
形鋼 多様な断面を持つ鋼材で、H形鋼を始め山形鋼、I型鋼など数多くある品種の総称
ビルの窓枠に使われるサッシバ-、自動車の車輪にタイヤをはめ込むリム・リングバ-などの特殊な鋼材も形鋼に含まれる。軽量形鋼は1940年代前半にアメリカで生産が始まった。日本では1955年が最初。当所はリップ溝形鋼のみであったが、JISに定められた基本形6種類のほかにリップ山形鋼、各種サッシバー等、数10種類に及ぶ品種が生産されている(「建設資材物価の50年」)。 -
H形鋼 20世紀初頭に生産が始まったが、日本の生産は昭和36年(1961)。建築、土木工事等に幅広く、超高層ビルの主要部材として最適で高度経済成長に伴う需要増から生産量は驚異的な伸びを示した。H形鋼には圧延H形鋼(ロールH)と溶接H形鋼(ビルトH)がある。当初は前者が主に鉄骨造に用いられたが、昭和59年(1984)には鉄骨鉄筋コンクリート造用としてSRC-H形鋼が生産されるようになった(「建設資材物価の50年」)。H形鋼は小棒と同様、かつては高炉製品だったが、大和工業のジュニアH形鋼(76年)の生産や東京製鉄が大型H形鋼に進出(82年)したことから高炉対電炉の対立が先鋭化した(H形戦争、第一次82年、第二次84年)。
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鋼矢板(シートパイル) 欧米では19世紀に出現したが、日本では昭和6年(1931)が最初。鋼矢板は土留め、閉め切り等に用いられ、その需要は日本の経済成長と共に伸び続け、昭和40年代から50年代前半までは年間100万トン前後、昭和54年(1979)のピーク時には120万トンの生産量があった。しかし低成長期に入るとともに生産量は減少している(「建設資材物価の50年」より)。
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RC造(鉄筋) 建築構造。Reinforced Concrete。鉄筋コンクリート造りの略称。
電炉メーカーは異形棒鋼を主力製品とするところが多い。このため日本鉄源協会は、新築面積を建築工法ごとに分類し、統計資料として毎月定期的にHPに掲載している。 -
S造(鉄骨) 建築構造。Steel frame。鉄骨構造の略称。
H形鋼などを多用する工法である。 -
SRC造(鉄骨・鉄筋) 建築構造。Steel frame Reinforced Concrete。鉄骨と鉄筋コンクリが一体となった構造。超高層ビル基礎部等に使用される。
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計量単位 日本ではメートル法が法定されているが、世界的には各種の計量法がある。
▽エム・トン、Mt=1,000kgを1Mトンとするメートル法単位。メトリックトンとも呼ぶ。日本や英国、欧州、豪州、ロシアなどで使う。▽ショート・トン、St=907kgを1Sトンとする。米(べい)トンとも呼ぶ。米国の慣用重量単位で、米国の粗鋼生産10,000Stは9,070Mt。▽ロング・トン、Lt=1,016kgを1Lトンとする。グロストンとも呼ぶ。米国では鉄スクラップを始め、慣例的に使う。米国のディープ・シー・カーゴの重量はLトン表示である。▽貫(かん)=日本の尺貫法の重量単位。1966年3月末まで使用した。1貫=1,000匁=3.75kg。1斤(きん)=160匁=600g。 -
原単位 製品1単位に必要な標準的な原料投入単位。銑鉄1トンを作るには鉄鉱石1.5~1.7トン、石炭0.6~1.0トン、石灰石0.2~0.3トン、電力10~80kw、水30~60トンが必要(大和久重雄著「鋼のおはなし」)。
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鉄スクラップ(鉄屑・ふるがね) 鉄としての本来の用途を終え廃棄された物。上代では鉄屑との呼称はなく、室町~明治前半までの呼び名は古金(ふるがね)、「金(かね)の古くなったもの」。戦国・江戸期の日本語辞典である「日葡辞書」(1603年刊)に「フルカネ」や「フルカネヤ」が出てくる。「鉄屑」の初出は不明だが、東京では大正後半、近代製鋼法としての平炉・屑鉄製鋼法が普及し、その技術用語(スクラップ)として使用され、一般に広まった可能性が高い。昭和2年の恐慌を伝える新聞記事に「鉄クズ7銭→4銭」がある(「物価の世相100年」)。
「古金屋」に替わって「鉄屑屋」がでてくるまでの間、一般には「古銅鉄商」または「銅鉄商」で通っていた。人事録の職業覧は「銅鉄商」や「銅鉄地金商」と書き表している。たとえば戦前の岡田菊治郎は「銅鉄地金商」、鈴木徳五郎は「銅鉄商」である。転機は国策として「日本鉄屑統制会社」が登場した38年(昭和13)ごろと考えられる。その後の強制回収と共に、日常、公式の呼称となった。この鉄屑の呼称は以来、半世紀近く使用されたが、日本鉄屑工業会が名称を「日本鉄リサイクル工業会」に改めた(1991年)前後から「鉄スクラップ」の呼び名が取って替った。 -
鉄スクラップ流通
▼法制=鉄スクラップ流通は、江戸期は幕府の御触書で古金商は組合結成と鑑札付与で独占的な回収、販売を確保した(享保八年)。明治以降は、古道具などと並んで古物商の一つとされ、法の監視下におかれた(古物商取締條例)。また戦前・戦中は鉄屑配給統制規則(1938年)や金属類回収令(41年、43年)で価格、販売、回収の総てが規制された。戦後の46年の物価統制令でも価格は引き続き公定されたが、49年5月制定の古物営業法では、金属類は「原材料」として同法の適用除外とされ、また物価統制令も廃止された(52年2月)ことから販売、回収、価格のすべてが自由となった。ただ50年6月に勃発した朝鮮戦争を転機に金属類は暴騰。金属類の盗難多発を理由に、地方自治体の中には「金属類営業条例」を制定し、古物営業法と同様の警察規制に乗り出す動きが現れた(1951年から58年までに29道府県が制定。その後の廃止から2014年現在は16道府県)。
1970年制定の廃棄物処理法は「専ら回収」されるものとして同法の適用除外(14条但し書き)としたが、自動車リサイクル法(05年施行)では、使用済み自動車を廃棄物と見なし(121条)、開業は許可制とした。▼鉄屑カルテルとその後=講和条約から主権を回復(1952年4月)した日本政府と鉄鋼会社は欧米と比べ鉄屑価格は高すぎるとしてカルテルを結成。55年4月の第1回から74年9月末の第15回まで、鉄スクラップ流通は鉄屑カルテルの共同行為の下に置かれた。カルテル終了後、政府と鉄鋼会社は「ポスト・カルテル」対策として備蓄機能を持つ(社)日本鉄屑備蓄協会や鉄屑供給業者組織である(社)日本鉄屑工業会の新設、認可を行い、流通調整を図った。ただその後の高度成長による鉄屑発生の増加や円高から鉄屑は余剰化し備蓄協会は存続理由を失い、調査機関に改組(88年、日本鉄源協会)した。日本鉄屑工業会(91年日本鉄リサイクル工業会に改称)は、地球温暖化防止の各種リサイクル法対応組織として、鉄スクラップ流通を支えている。▼鉄スクラップ消費構成=日本では、ほぼ全量鉄スクラップを使う電炉鋼が粗鋼生産の20%台前半を占め、銑鉄が中心の転炉鋼でも10~15%前後の鉄スクラップを配合(13暦年)する。鉄スクラップ配合率は鉄鋼原料全体の33%前後(12年度)を占める。▼全国組織=流通組織としては主に機械処理設備を持つ鉄スクラップ業者を中心とする日本鉄リサイクル工業会、古紙や古繊維なども扱う集荷・回収業者を中心とする日本再生資源事業協同組合連合会(日資連)、自動車部品、解体業者を中心とする日本ELVリサイクル機構などがある。 -
都市鉱山(工場鉱山) 地下埋蔵鉱山に対し、先進国などの排出物から回収される貴金属など有用資源の存在を鉱山に見立てたもの。東北大学・選鉱製錬研究所の南條道夫教授らによって1988年に提唱されたリサイクル概念。同様に、加工工場の工程屑などを「工場鉱山」と呼ぶ。独立行政法人物質・材料研究機構は08年1月、日本の都市鉱山の金の総量は6,800トン(全世界の現有埋蔵量の約16%)、銀は60,000トン(同22%)。同様にインジウムは世界の61%、錫は11%、タンタルは10%が存在するとの試算を発表した(これが小型家電リサイクル法制定の背景のひとつとなった)。
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市中鉄スクラップ 鉄スクラップを鉄鋼・鋳物会社など鉄鋼関係会社の製造工程品である「自家発生品」とそれ以外に分類した時の自家発生品以外の国内回収スクラップである(「自家発生品」の一部が市中に出た場合、「市中供給」との二重集計が起きるから、「過欠補正」で調整する)。
これはさらに鉄鋼工場以外の工場・加工工程スクラップ(新断やダライ粉)と老廃回収スクラップに分かれる。自家発生や加工工程スクラップの増減は粗鋼生産量などに比例し、老廃品の増減は長期的には鉄鋼蓄積に、短期的には産業・消費活動に比例する。 -
鉄スクラップの一般特性 1 メジャーメタルである。粗鋼生産は16億トン(2013年)。鉄スクラップ世界需要(見掛消費)は約5.16億トン(12年)。世界貿易量は10年以降1億トン強。鉄スクラップ消費原単位は334kg(12年)。鉄スクラップの販路は極めて広い。
2 再生産が容易である。一般に鉄は1,500度に加熱すれば溶融・再加工できるから鉄スクラップを使って発展途上国でも簡単な加熱・伸線機だけで再生鉄を生産できる(伸鉄)。また高圧電力による電気炉で汎用鋼材から高級鋼材まで自由に大量生産できる。
3 鉄鋼製品は一般に安い。鉄スクラップは貴金属や他の金属に比べ安価。現物・現金取引が大方で市場及び価格形成に投機筋など外部から介入する余地は比較的小さい。
4 運賃割合が高い。鉄(比重7.9)は重い。運賃負担の有無が値決め条件を分ける。
5 磁性がある。電磁石機器の普及とともに機械化、省力化、設備の大規模化を促した。
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鉄スクラップの商品特性 1 産業活動の「事後生成物」=鉄スクラップは工場などの工程「発生」品であり、「解体・老廃」品として発生する。産業・市民活動が終り、その「事後の生成物」として登場する(発生量は予め決定できない)。
2 需要に応じて供給が調整される=廃棄物のため固有の価値を持たず、鉄鋼・電炉メーカーなど利用者のニーズを待って商品価値が生れ、供給される。「まず需要があって供給が決まる」。
その結果、長期的に見れば、どのような局面でも(価格変化を通じて)需要を追う形で供給が形成され、「需要量≒→供給量」として再バランスする。需要が落ちれば、供給数量も(価格も)そのレベルまで落ち、次の均衡点を探る(価格による数量調整)。
3 産業活動の先行素材=鉄鋼素材を基本骨格とする近代社会では鉄鋼生産があらゆる産業活動に先立って動く。その原材料である鉄スクラップは鉄鋼と同様に産業活動に先行する(指標商品)。
4 流通タイムラグ商品=事後生成物であるから、集荷・加工・ストック期間を含め最終消費までは一定の時間差が生じる。発生から最終ユーザー持込みまでのタイムラグが比較的小さい「工場発生品」でも「前期の発生量で当期の需要を賄う」ズレがうまれる(工場機械類では原価償却年数、自動車解体スクラップでは、13年前後の耐用年数、建屋類では30~50年の時間差が生まれる)。
5 先進国の「都市鉱山」、低炭素会社の切り札=地上の鉱山である鉄スクラップ(埋蔵量)は先進国を中心に増大。鉄スクラップは持続可能な「地上の鉱山」へ変貌した。また鉄スクラップは再熔解だけで鋼材となる。鉄鉱石から鉄鋼を作るには1トン当たり約2トンのCO2を排出するが電炉は高炉の4分の1から6分の1。転炉への鉄スクラップ投入時のCO2排出は原理的にゼロに近いからCO2規制を受ける先進国は鉄スクラップ使用を強める傾向にある。 -
鉄スクラップの価格特性 1 供給数量が価格交渉力を左右する=市中からの回収・集荷品であり、予め供給量は決定できない。「需要に応える供給量の確保」が、価格交渉力を生む。即ち「数量がまとまれば(需要者側が数量確保に努めるコストが抑えられるため)、高値で売れる」可能性が高い(一方、製造会社など供給が先行する汎用商品は、数量がまとまれば一般に安い)。
2 需給ギャップが価格動向を決める=「需要」先行商品だから、予め「供給」量は設定できない。需給環境が急激に変化した場合、常に時間的需給ギャップが生じる。需給ギャップの大小が(需給量の大小に係わらず)「価格動向の強弱」を決める。
3 「成分評価」商品である=時計や自動車などの工業生産品は「機能」評価商品だが、鉄スクラップは、純分・歩留まり・有り姿で価格が決まる。Fe純分が分れば、価格判定は瞬時に可能である(世界的な「一物一価」商品。だから遠距離貿易も可能)。
4 心理的・相場同調性が極めて高い=広範・多様なプレイヤーを擁する回収品であるため、心理的な同調性は極めて高い。「需給が価格を決める」ため、需給動向予測は直ちに流通スピードに反映し価格に跳ね返る。参加者全体の雰囲気(漠然たる相場感)が相場方向感に大きく影響する。
5 価格は「検収」で決まる=荷姿・成分等が多様な鉄スクラップは、最終的には買い手側の「検収」(検査収納)によって価格が決まる。検収とは、本質的には「リスク負担判定」であり、その判定をどう自己に有利に運ぶか、との駆け引きの余地が生まれる(計量・ダスト、あんこ問題)。
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ステンレス・スクラップ SUS304系の18Cr-8NiとSUS430系の18Cr、SUS410系の13Crの各種スクラップ。18Cr-8Niはステンレス鋼としては最も多用される。18、13Cr系も建物内装や家庭用品として使用される関係から発生・回収とも多い。SUS304系は磁性を持たないため、一般の鉄スクラップとは容易に判別できる。ただ400系は鉄と同様に磁性を持つため、その混入が問題となる(Crは普通鋼にとっては阻害元素の一つである)。
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ミル(mill) (原材料の加工関連の)工場。電炉等の工場。
ミニ・ミル=大規模な高炉に対し、小さな原材料・加工工場=電炉工場・会社をいう。
Factory=(機械等で大量生産する)工場。
Plant=(近代設備の整った)工場。
Works=(小規模な工場)町工場。 -
ヤ-ド業者(ヤード・ディーラー) yard。英語で庭。業界では鉄スクラップ等の置き場を総称する。プレスやギロチンなどの加工設備機械などを保有している業者を、一般にヤード業者、ヤード・ディーラーと呼ぶ。千葉県ヤード設置適正化条例案(14年)は「ヤードとは、みだりに人が立ち入ることができないよう周囲が鋼板等により囲われており、その中で自動車の解体又は自動車の主要な部品の保管を行っている施設」と定義。
Dealer(ディーラー)。英語では販売人、販売店。ここでは鉄スクラップ業者。
Pedder(ペッドラー)。英語で行商人。ここでは集荷・回収業者、買出人。軽便なトラックなどで、スクラップを集めヨセ屋や問屋(ディーラー)に売るような業者。 -
ヨセ屋(junk) よせ(寄せ)とは、品物を寄せ集めること(広辞苑)。市中老廃廃棄物(資源物)の収集・回収業者で、集荷・ストック・選別出荷を専らとする小規模業者を指す(集荷業者)。
加工・処理設備を持つ業者は、これと区別し「ヤード業者」と呼ぶ。なお「建場」参照。
アメリカではjunk(ジャンク)と呼び、鉄スクラップだけでなく古紙、ガラス、古着などの廃品を回収し、選り分け、それぞれのディーラー(専業問屋)へ売る人をいう。 -
バタ屋 明確な定義は不明だが、排出屑の収集を業とする者の総称。バタ仕切業、バタ建場(たてば)の用例がある(放送禁止用語)。東京都資源回収事業協同組合二十年史は、その語源は諸説あるとして、以下のように説明する。①浅草今戸橋辺の再生紙工場が、川端で故紙を原料として、浅草紙(再生紙)を生産していたため、それらの紙を川端紙、川を略して端(バタ)紙と呼ぶことから出た、との説。②明治の中頃、日本橋魚河岸一体を縄張りとする佃政が子分に魚河岸の魚の腸(わた)の処分権を与え、肥料と売っていたが、これに従事した貧民が、魚にとどまらず、ボロ、故紙などの収集を兼ね、それら屑類の収集が本業となったため、魚の腸(わた)拾い、わた屋がなまったとする説。③また道端、川端に捨てられたゴミ類から、屑ものをより分け収集したことから、道「端」・川「端」の屑物拾いとして、略されたとの説など。
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建(立)場(たてば) 故紙、古布などの屑物買入所。明治期以降、戦前までは「立場」、戦後の都条例施行後は「建場」と表記する(立場-江戸期の項参照)。
くず物買出人は屑商取締規則(大阪)、屑物営業取締規則(東京)など地方自治体の条例で規制された。特に取締が厳しく業者も多かった東京では、許可取得業者(町建場)と無許可業者(バタ建場)は、それぞれ組合を作って対立した(東資協二十年史)。これらは戦災混乱のなかで解散したが、1948年10月「東京都資源回収事業協同組合」として大同団結した。「立場」の初出は1817年(文化14年)。戦後発足の東資協は自らを「資源回収事業」者としたこともあってか、近年では大方が「資源」「資源回収」を冠して、資源業者、資源回収業者とする用例が多い。「ヨセ屋」参照。 -
炉前価格 鉄スクラップ値決めの一種で鉄鋼会社・指定場内持ち込み価格。C&F価格。陸上であれば陸送運賃は持ち込み業者負担。海上であれば船賃は持ち込み業者負担となる。
また鉄スクラップ(炉前)価格は、「価値」の本質(採掘、製鋼エネルギー投入コスト)、国際決済の交換比率(為替)、需要と供給(需給ギャップ)の3要素で決定される。1 長期的には採掘、製鋼のエネルギー投入コスト変化に比例する。
2 世界貿易の多い鉄スクラップは為替動向に左右される。
3 鉄スクラップ価格は、需要と供給の力関係で決まる。
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シャーリング(SHEARING・剪断機) 通常のハサミと同様に、固定台に設置した2枚刃(可動式の上刃と固定式の下刃)の間に材料を差し込みで、上下刃に圧力を加え切断する。大正年間、まず鉄板製品の剪断・加工に用いられたことから、これら製品加工業者をシャーリング(シャー)業者と呼んだ。同機は、設置も簡単で人力操作ができたから、鉄スクラップの剪断・加工にも転用された。ただ当初は人力で切断能力も限られたため、細かなサイズ指定の多い鋳物向け材料の加工(可鍛コロ)などがもっぱらだった(ギロチンの項参照)。
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ギロチン(処理機械) 機械式シャーリング(切断機)の一種。門型の油圧式、垂直降下型の圧縮切断機(斜め圧縮切断機はアリゲーター式と呼ぶ)。油圧式の大型シャーの導入は堺の山根商店が1964年10月、独・リンデマン製を設置したのが最初。門型で垂直降下式切断から「ギロチン」との呼び名を得た。その後、シャーリングは鋳物工場向けの小型の切断機を指し、電炉向けなどの大型・油圧式切断機は、これと区別するためギロチンと呼び習わすようになった。
油圧式の大型切断機はまず輸入機として登場し、国産では小島鉄工所が68年10月開設の京葉金属工業ヤードに納入。その後、全国規模で拡大し、現代のヤード処理の標準装備の一つとなった。 -
プレス(処理機械) 箱形内に材料を収容し圧縮する機械(減容機械)。小型は機械式、大型は水圧式と油圧式に分別される。戦前のプレス機開発は諸説あるが、岡田菊治郎や德島佐太郎などの貢献が大きい。岡田菊治郎は「大正初年にプレス機を製造し、プレス品を八幡に船で送り業界の注目を集めた」。「実業界初のプレス機考案の功により緑綬褒章受章(1953年)」。德島佐太郎(二代目)は1928年(昭和3)「鉄屑結束機」、34年「德島式水圧プレス機」を考案。当時の最先端処理機と目された。戦後の50年代までは水圧が主力だが、60年代以降は操作が簡便で強力な油圧式がとってかわった。手塚興産は、高圧圧縮の「弾丸プレス機」を開発。新断、ダライ粉の圧縮に多用される。廃車処理専用として地上設置式のプレス機(サイドプレス)も登場した(89年)。
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シュレッダー(shredder・処理機械) 回転軸に切断刃を取り付けた破砕機。米国のプローラーなる人物が鉱石を破砕する機械を廃自動車処理に転用したことから始まるとされる。日本では1970年(昭和45)関西、関東で米国製機械を導入し、稼働。国産第1号機は73年(川重)1月稼働。日本では暴発防止のため「プレ・シュレッダー」も開発された(81年・伸生)。当初は廃自動車用が中心だったが、新断専用も登場した(74年、トヨキン)。
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故銑割り機 故銑(古い銑鉄品)を割る機械・道具。重量球状物を自然落下させその衝撃で破砕する方式(パイレン・pyrene割り)や、先端が鋭利な刃(油圧機械)で押し割る方式がある。
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自動車解体機 沖縄の拓南商事が油谷重工に、亜熱帯の自然環境でも耐えられる作業機械の製作を依頼したことに始まる。油圧重機と専用アタッチメントによる解体処理が実現した(1979年)。
この機械の登場から日本の自動車解体作業は一変した(81年科学技術庁長官賞受賞)。 -
ナゲット(剥線機) Nugget 貴金属の塊。転じて破砕銅線の砕片。被覆銅線などの皮むき機。日本では1960年代後半から登場し、83年には銅スクラップJIS規格が制定された。それ以前の日本は、違法な野焼き処理が横行し、問題とされた。
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新断 「鋼板加工製品を」製造する際に発生する切りくず及び打ち抜きくずで「表面処理していない薄鋼板で酸化していないもの」(日本鉄源協会・統一検収規格)。
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ポンチ、メカス 新断の一種。ポンチは鉄材を打ち抜いたもので肉厚は3㎜以内。直径50㎜以内が望ましい。メカスは文字通り、それより小さいもの(厚み2㎜以下)。
多くは鋳物工場の材料として使われる。 -
ヘビー・スクラップ 1982年10月に普通鋼電炉工業会が策定した鉄屑規格によれば、ギロチンシャー、ガス溶断、重機等で(ダウン)サイジングしたもの。
厚み、寸法、重量の違いによりHS(厚さ6㎜以上、幅・長さ500×700㎜以下)、H1(厚さ6㎜以上、幅・長さ500×1200㎜以下)、H2(厚さ3以上~6未満=H2の項参照)、H3(厚さ1以上~3未満)、H4(L1=1未満)に区分される(日本鉄源協会・統一検収規格)。 -
H2スクラップ(旧特級) 厚み検収に即した日本の鉄スクラップの基準品種。戦前の基準鉄スクラップは「特級」。鉄くずカルテルの基準は「平炉特級(厚さ6㎜以上)」(ただし第13回カルテルの1968年から「電炉特級」)。普通鋼電炉工業会は82年10月、鉄屑検収基準を改訂し「統一検収規格」として現行基準(厚さ3~6㎜)を採用した。戦前は日本鉄屑統制会社が、鉄くずカルテル時代はカルテル需給委員会が、カルテル終了後は日本鉄屑備蓄協会が、現在は日本鉄源協会が、一貫して基準品種として、その価格動向をモニターしている。
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シュレッダー・スクラップ シュレッダー機で処理したもの。握り拳大の形状で、不純物が少ない上級スクラップ。当初名はプローラー・スクラップ(1963年4月、米国ヒューゴ・ニューから初輸入)。同機登場以前は、廃自動車はプレス(日本Aプレス、米国バンドルドNO2)処理がもっぱらでダスト混入(1車当たり重量の約30%)が嫌われた(下級スクラップ買い止め)。
シュレッダー機の登場(70年代)が鉄鋼各社には清浄な鉄スクラップ供給の道を開いたが、シュレッダー機を導入した業者の庭先には、自動車処理後の分別ダスト(自動車シュレッダー・ダスト=ASR)が残り、このASRの不適正処理が社会問題(90年、豊島事件)を引き起こし、自動車リサイクル法制定(2005年)の理由の一つになった。 -
プレス材、ギロチン材(投入材料) ギロチン、シュレッダー、プレスなどの処理機投入用の材料鉄スクラップ(加工前材料)を指す。いずれも電炉会社など大型炉(アーク炉)装入を前提とした寸法、重量に加工する。ヤード・加工業者の仕入れ材の呼称。ギロチン材の場合は長尺材や鉄筋等の廃材。シュレッダー材の場合は自動車、家電品などの大型複合廃材。プレス材の場合は新断やダライ粉、一斗缶などの小型廃材。ガス切り材は酸素ガスなどで切断する材料で、タンク、建物廃材などの大型物件材が多い。
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ダライ粉 新断と並ぶ工場発生切削スクラップ。鋼ダライ粉、銑ダライ粉の2種類がある。ネット「金型辞書」によれば、ドイツ語で旋盤をDREHBANKという。明治期、工作機械はドイツからの輸入品が多かった関係で旋盤のことをダライ盤と呼び、その加工材から出る粉であるからダライ粉と呼ぶと言う。加工材料によって鋼ダライ粉、銑ダライ粉に区別され、形状・厚みによって鬼ダライ粉、パ-マなどに分類する。鬼ダライ粉は大型工作機械で深く削られた肉厚のダライ粉。パ-マは螺旋状に旋削された肉薄片である。
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すそ物(千地・せんじ) 山に対する裾の意で、鉄スクラップ下級材の総称。肉厚の薄い級外(だからウスものとも呼ぶ)のブリキ又はトタン板等が主なもの。関東ではこれを「せんじ」と呼ぶ。語源として、東京都資源回収事業協同組合二十年史は、大正年間「千住の製鋼所がブリキ屑を使用し始め」、「千住屑」つまり「千地屑」となったと紹介する。また千種(せんしゅ)雑多なものという意味から、出た(日本鉄リサイクル工業会)との見解もある。
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ガラ 自動車などの車体や薄鉄板。中部地方ではウス、関西ではドンガラ、または単にガラと呼ぶ。殻(から)が語源。たとえば煙草の吸い殻。鶏ガラ。
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伸鉄材(材料) 伸鉄用材料。一定の厚み(9㎜以上)と長さ(1.5m以上)を兼ね備えた普通鋼、長尺スクラップ。解体船や大型タンク、大型平鋼・H形の老廃品、工程不良品が望ましい。昭和初期から伸鉄業が盛んだった戦後の一時期は、これを短冊状に切断、加熱、圧延して平鋼、丸鋼などの「再生鉄」を製造、販売する(伸鉄業)製品材料として独自の流通と価格を持っていた。
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可鍛コロ(配合甲山) 可鍛(鋳物)用材料。主にシャーリング工場などから発生する切断、打ち抜きによって発生する炭素分、クロ-ム分含有の少ない3㎜以上の軟鋼スクラップ。
肉厚でサイズ、数量管理が容易なことから、小型炉で溶解する鋳物材料として出荷される。
これを関西では可鍛コロ、関東では甲山と呼ぶ。関西で鋼材加工関係者は鋼材の切れ端を「コロ」と呼ぶから、明治末年に鋼材問屋が鉄スクラップを扱っていた名残りとされる。
関東では甲山と呼ぶのは、大正期に平炉用材として田中鉱山・釜石に供給していた関係で、この形状スクラップを「鉱山」(甲山)と呼び習わした可能性がある。 -
故銑(ずく・鋳物スクラップ) 故は古に通じるから故鉄、故金属、故紙はいずれも古鉄、古金属、古紙に同じ。用途を終えた銑鉄、鋳物(ズク又はふるズクともいう)で老廃鋳物一般を指す。
鉄鋼製品が普及せず、日常生活でもナベ、釜などの鋳物製品が中心だった大正・昭和初期までは鉄スクラップ回収の太宗を占めた。「大正の頃は銑鉄が価格の基準で、故銑(ズク)類の方が鉄屑より高かった。道具ズク(手割りのできる鋳物故銑)、上ズク、中ズク(鋳物のボックスだとかストーブ故銑)、ナラシ(ナベ、カマ)が中心。俵詰(当時は俵に詰めて運んだ)の検収は、たいていは足で蹴って音の違いで検収した。鉄屑、ナラシ、ズクで音が微妙に違います」(三宅泰治氏の大正~昭和初期の回顧談による。75年8月収録) -
モーターブロック(モーブロ) 故銑系の自動車エンジンである。鉄及びアルミ合金から形成されるため、鉄分の多いエンジンを「黒エンジン」、アルミ分の多いそれを「白エンジン」、中間物を「白黒エンジン」と呼ぶ。黒エンジンは銑鉄の代替需要が高く、白エンジンはアルミ回収が主力となる。
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カーベキュー(マップス・プラント) 手塚興産が「高熱炉内で車体を回転させながら焼き、一定の溶融温度管理の下、鉛、アルミ、銅、鉄を順次、分離回収する」システムを開発(1964年8月広告初出)した。65年1月NHK・TVで放映され関心を集めた(66年12月1号機発売)。その後、シュレッダーに取って代わられ姿を消した。
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色物 非鉄金属は特有の色を持つから、銅などの汎用非鉄スクラップの総称。銅は「アカ」、アルミはその色から白物とも呼ばれる。また裸銅線などは「ひかり物」、「ピカ線」とも呼ばれる。
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雑品(鉄付き非鉄スクラップ) 廃モーターや廃配電盤、その他の各種の「鉄付き非鉄スクラップ」の総称。日本からの中国向け鉄スクラップ輸出は00年以降、本格化し、04年の雑品数量は127~136万トン、鉄スクラップ輸出(681万トン)全体の20%前後、中国向け輸出(279万トン)の40%超と推計された(06年1月17日、日刊市况通信社2面)。
ただこれら雑品は鉛や有害金属を含むことから有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約(92年発効)でも問題とされた。中国は18年末で雑品をはじめ、雑線・廃モーターといった銅、アルミスクラップなど16品目の輸入禁止を公告した(18年4月23日、産業新聞)。日本でも18年4月から改正廃棄物処理法を施行し、家電リサイクル法4品目と小型家電リサイクル法指定28品目、計32品目を対象に、保管・処分業者について保管・処分基準の遵守、報告徴収及び立入検査、改善命令及び措置命令を規定したことなどから、雑品ビジネスは終わった。 -
冷材 高炉メ-カ-が転炉用製鋼材料とする鉄材の呼称。高熱の溶銑などの鉄源に対する用例。市中鉄スクラップを冷鉄源とも呼ぶ。
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流れ(スカール) 製銑、製鋼時に溶出・流出するノロ(スラグ)のうち鉄分の多いものをいい、専門業者が鉄分を破砕・回収する。形の小さいものを小流れと呼ぶ。
英語ではスカール(skull)と呼び、戦後インド方面から輸入された(スケールの項参照)。 -
スラグ(鉱滓・slag) 製銑、製鋼時に溶出・流出する鉄分の少ないノロ。装入物中のガス化以外の不純物、未還元金属酸化物が溶剤と溶融結合したもの。鉄の原単位は鉄鉱石約1.6トン、原料炭約0.9トンとされるから、原理的には鉄1トンに対し0.7トンの鉱滓が発生する。高炉過程から生成される「高炉スラグ」、転炉や電炉などの「転炉スラグ」、「電炉スラグ」がある。一定の鉄分が残留しているため破砕回収や磁力回収も行われる。冷却法の違いにより徐冷スラグと水砕スラグ(急激な水冷却)に別れる。廃棄物処理法上は産業廃棄物に当たるが、高炉セメントや道路の路盤材などの舗装材、肥料(ケイ酸カルシウム)材料など幅広く利用されている。
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あんこ(化粧材、ブレンド材) 鉄鋼会社は検収条件で購買する。検収は目視で行われる場合が多いから、プレス品の中味に鉄品位の劣る品物を充填しても外形からは判断できない。その場合の中味(あんこ)となる材料。一般に外形プレス材より低品位。ギロチン材等のバラ品の場合、輸送トラックに鉄品位の劣る品物を積み込んでも、鉄品位の高い品物で上部を覆えば、荷物の全体が上部品質のイメージに誘導される可能性が期待できる。その場合の中味を覆う「化粧」となる材料。一般に上級品が使用される。両者を総称し「ブレンド材」ともいう。
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検収 検査収納。廃材処理品を購入するため購買会社(鉄鋼会社、湾岸シッパー)は、重量・品質・ダスト含有等を専門係員(検収員)が検査する。所有権は原則として検収後、検収会社に移転する。重量は計量器で、品質・ダストは検収員が目視等で、判断する。内航船や輸出の場合、「鉄スクラップなどの格付検査及び異物混入検査」、「貨物の重量証明、喫水検査並びにγ線の放射線量率測定検査」は、契約条項により日本海事検定協会(NKKK)が行っている。
なお「鉄スクラップの価格特性」及び「あんこ」の項参照。 -
スケ-ル scale。目盛り、規模などを指す英語。「うろこ、薄片」の意味もある。
このため2つの意味で用いられる。- 1 計量器、台貫を指す場合である。
- 2 圧延や鍛造工程の表面剥離、酸化鉄を指す場合(ミル・スケール)である。高炉原料として使用される。粉末状で安価なため、ダライ粉などの高騰時には「増量材」(あんこ材)として流用される場合もある。なお、これと類似した「スカール(skull)=流れ」がある。「鋼流れ」をスティール・スカール、「銑流れ」をアイアン・スカールという。戦後の一時期インドから輸入された。
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ダスト引き 搬入鉄スクラップ重量からダスト(非金属含有物など)重量を差し引く行為。市中老廃物であるスクラップは、各流通、購買段階で「ダスト引き」が行われる。
一般にヤード業者持ち込みのギロチン材の場合は3%、廃車材の場合は30%、土管など残土が多い場合は個別対応する。鉄鋼会社もダスト引き検収を行っている。 -
トン積み 語源は不明だが、値上がりを期待して在庫・退蔵する行為。市況変動幅が大きいとの予想が有力な場合、しばしば世界的に行われる。市況変動の有力な要因の一つ。
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B勘(びーかん) 適正な勘定(通帳記入)をA勘定とすれば、A(適正)でない勘定。不適正勘定。一見客の現物持ち込みや現金の即時決済が普通の鉄スクラップ勘定では、顧客管理・重量・品位・ダストの諸条件を満足させる適正勘定の作成維持には、相当の労力を要する。
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判取帳 2つ以上の相手から付込み証明を受け取る目的を持って作成する帳簿(印紙税20号文書)。印紙税法17号文書(金銭または有価証券の受取書)などが対象。ただし記載金額が100万円を超える場合は、判取帳ではなく、17号の1文書のそれぞれが作成されたものとみなす(金額の大きな取引は判取帳としては扱えず個別契約書の作成であるとされる)、と規定する。
一見持ち込み客が多い鉄スクラップ買い取り業者では、この取引帳簿形態が多い。 -
ピット pit。窪地。鉄スクラップヤードでは一般にギロチン機で切断済み材が、そのまま落ち込む空間、5m×5m×深さが普通。ギロチン機内の材料装入空間を指す場合もある。
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リフマグ(リフティング・マグネット) ヤード設備の一つ。電気式リフィテングマグネット。遠隔操作式の電気誘導大型磁石。ヤード業者は場内荷捌きのため小型・軽便タイプのホイスト(ワイヤロープを用いて荷を上げ下げする簡便な荷役装置)を使った。
その後、1960年代後半から天井走行クレーンと一体(吊り下げ式)となり、普及した。 -
天井(走行)クレーン 天井走行式クレーン。ヤード設置の最も早いところは大阪では産業振興・大阪で1949年。54年には木津川に張出しクレーンを設置した。
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トラックスケール(台貫) ヤード設備の一つ。トラック荷を車ごと測定する機械式計量器。計量には法定(計量法)の資格・認定が求められる。同機が普及する前は台秤・台貫が使用された。ここから計量行為を「看貫(かんかん)する」と言う。
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重機 ヤード設備の一つ。移動式の油圧処理機。アタッチメントの切り替えで簡易切断機にも、材料装入機にも多用できる。自動車解体業者のヤード近代化は重機登場で画期的に進んだ
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ニブラー Nibble(動詞)とは「少しずつ囓って食べる」行為。Nibblerは名詞。コベルコ建機が開発した油圧式破砕機(アタッチメント)の商品名で油圧破砕重機の通称となった。
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傭車(用車) 運搬雇傭契約の車両。重量物である鉄スクラップの鉄鋼会社値決めは、炉前・持ち込み価格(CFR)であるから、持ち込み運賃は鉄スクラップ業者の負担。この輸送を自社車両で行っている場合もあるが、外部・運送会社と輸送距離と積載重量に応じて、長期に、またはスポットで契約している場合も少なくない。その場合の契約輸送車両。
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ユニック車 搭載型クレーンを装備したトラックの通称。古河ユニックの登録商標である。
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放射能検知機(器) 門型式(固定式)検知機とハンディー式がある。日本鉄鋼連盟は1998年、「鉄スクラップへの放射性物質混入対策(自主運用の手引き)」に動き、鉄鋼各社も2000年までに固定式検知機を標準装置として備えた(検知器作動時の隔離レベルは5μSv/時)。
検知機の事前導入から原発事故後の「風評被害」は未然に防止された。 -
坪(つぼ)上げ 坪とは狭い庭などを指す(坪庭)。転じて町工場等の発生元から直接買い上げる行為をいう。狭い工場等から買い上げること。「ダライ粉などの坪上げ業者」(用例)。
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バッカン(抜缶) 中味を抜いた後の空き缶。主に関西で使用される用語。そのままトラックで吊り上げ運搬できるよう発生工場に貸し置きするドラム缶や鉄製のストック箱をいう。
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HMS 米国製鋼用規格(ISRI)及び米国商務省輸出入区分による「Heavy Melting Steel(溶解用鉄スクラップ)」の略。厚さ4分の1インチ(1インチ=2.54cm)以上のNO1ヘビー(HS通関コード7204-49-20)と同8分の1インチ以上のNO2ヘビー(7204-49-40)を含む。本船の積み合わせが、NO1ヘビーが80%、NO2ヘビーが20%であれば、HMS(80/20)と表記する。
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ブッセリング 「Busheling」。日本の新断バラに相当。ISRIコード207及び207A。
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バンドル 「Bundles」。日本のプレス品に相当する。NO1バンドルとはHMSのNO1ヘビーをプレスしたもの。バンドルドNO2とは自動車プレス品(日本のAプレス)。
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P&S 「Plate & Structural」。構造用鋼や厚板切断。可鍛コロに相当する。
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ターニング 「Turnings」。切削したもの。ダライ(切削)粉である。
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デープ・シー・カーゴ(バルク) Deep-sea Cargo(ディープシーカーゴ)。
デープ・シー(遠洋)を航行するバルク(バラ積み)大型船(2.5~3万トン以上)で運んでくる貨物(カーゴ)。戦後、日米間の輸送船は積載量9,000トン前後のリバティー船(戦時標準船)が中心だった。世界的には遠洋輸送の主力は大量輸送が可能なバルク(バラ積み)だが、雑貨品などのコンテナ輸送が普及した21世紀になって、コンテナ輸送割合も増加している。 -
コンテナ・カーゴ 定期船によるコンテナ輸送。小口・定時運行が可能である。このため大型船での輸入に不向きな電炉会社などは、小回りの効くコンテナ荷が中心(たとえば台湾)となった。
全米トップの鉄スクラップ貿易会社(ヒューゴニュー)で18年間副社長にあった増井重紀が、同社を退社後コンテナ貿易手法を開発したことが普及の端緒となった、とされる。 -
コンポジション Composition。船荷構成。輸入スクラップは各級の積み合わせが多い。
たとえばHMS・NO1/NO2の80対20の組合わせはHMS・80/20と表記する。 -
コンポジット価格 コンポジット(composite)とは複数のものの合成、組み合わせをいう。ここでは「スクラップ・プライス・ブリテン(SPB)誌」発表の米国東部・3都市(シカゴ、ピッツバーク、フィラデルフィア)の鉄スクラップ(NO1ヘビー)平均価格。鉄屑カルテルが米国屑を直接輸入していた一時期(1956~61年)、この価格を基準にカルテル輸入価格を決定した。
現在でもこれを米国鉄スクラップ需給の体温計とみなしてチェックする関係者が多い。 -
テンダー Tender。入札。たとえば関東鉄源協組のテンダーとは、関東鉄源協同組合の鉄スクラップ共同輸出の入札である。
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フレート Freight。 運賃。C&FはCost and Freightの頭文字。内陸運賃はインランド・フレート、またはローカル・フレートと呼ばれる。
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L/C(エルシー) Letter of Credit。貿易取引で取引先の依頼に応じて銀行が発行する支払い確約証書(信用状)。この証書により輸出者は船積みと同時に輸出代金の回収ができるほか、輸入者も、輸入代金を前払いする必要がなくなる。
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B/L(船荷証券) Bill of Lading。船会社など運送業者が発行する運送品引渡請求権を表章する有価証券。船会社に対して貨物を引き渡したことを証する受取証であり、荷揚げ地において貨物の引取に必要な引換証であり、また裏書が可能な有価証券である。
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FAS、浜値(ファス) Free Alongside Shipの頭文字。船積み港停泊の本船船側まで貨物を運送し、本船船側で貨物を引き渡すまでの一切の費用を含んだ値段又は条件。いわゆる浜値、指定港岸壁持込値段である。関東鉄源協組の入札価格や雑品類は、この値決め条件ベースである。
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FOB(エフ・オー・ビー) Free on Boardの頭文字。本船に貨物を積み込むまでの一切の費用を含んだ値段又は条件。「本船積み渡し込み」条件で「品代+横もち料+積み込み料などの合計値段」。FOBチャージとは「横もち料+積み込み料など」である。
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C&F(シーアンドエフ、CFR) Cost and Freightの頭文字。またCFRも同じ意味で最近ではCFRと表記する場合が多い。貨物原価(C=コスト・品代他)に仕向地までの船運賃(F=フレート)を合わせたもの。買手側指定の岸壁到着値段または条件である。大型外洋船(デープシー・カーゴ)の値決めベースとされることが多い。
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日本の鉄鋼会社の買い付け(置き場指定の炉前価格)は、C&F価格の一種であるから、運賃(もしくは船賃)は売り手負担となる(原則)。鉄鋼会社が鉄スクラップの入荷督促のため(C&F価格とは別に、特定業者に非公然に)「運賃補助」を提示する場合がある(例外としてのFOT価格)。これが特例としての「裏値」。入荷逼迫時にはしばしば見られる。 -
CIF(シフ) Cost,Insurance and Freightの頭文字。C&Fに海上保険料(Insurance=インシュアランス)を加えた値段、条件。
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CIF、C&F及びFOB、FASの関係式
品代(品物の代金)、CIF、C&F及びFOB、FASの関係式は以下の通り。- 品代+指定岸壁持込費用=FAS価格
- FAS価格+本船積込費用=FOB価格
- FOB価格+指定港持込費用(海上運賃)=C&F価格(またはCFR価格)
- C&F価格(またはCFR価格)+保険料=CIF価格
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オファー(offer)、ビッド(bid) 貿易実務では売買交渉の売り提案(見積り)をオファー、買い提案(見積り)をビッドという。買い提案(見積もり)も「買いオファー」と言うこともある。一定時間有効な保証(変更不可能)提案をファーム(firm)オファー、ファームビッドといい、その間に相手方が提案を受け入れた場合は無条件に契約成立となる。提案者側に再確認を要する形式の提案はサブコンオファー、サブコンビッドと言う。サブコンとはsubject to Confirmationの略。
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ステベ Stevedore。ステベドアーの略語。埠頭(港湾)荷役業者。
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デス・デマ 用船契約の規定荷揚げ日数より、実際の荷揚げが早い場合、その日数差に応じて受け取る料金を「ディスパッチ・マネー(早出料)=(Dispatch Money)、略してデス」と言い、遅い場合の超過支払い料金を「デマレージ(滞船料)=(Demurrage)、略してデマ」と呼ぶ。
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ドラフト Draft。船の吃水(船舶が積荷等で沈む深さ。船体の一番下から水面までの垂直距離)。
▽ドラフト・ファイナル=本船ドラフトの検量を最終決定とする取り決め。長期契約NO.8888によれば、シッパーの為替手形振り出しは積み出し港の本船ドラフト、最終(ファイナル)は到着港の本船ドラフトによる。 -
長期契約NO.8888 現在でも米屑の輸入扱いは特段の取決めがない限り1960年3月7日付けの長期契約№8888の取決め条件(改訂版)が採用される。Aカルテルを代表して大手高炉6社、Cカルテル業務委員長、B・D・Eカルテルを代表してAカル業務委員長(以上買い手)と米・ルリア・ブラザーズ(売り手)とで取り交わした米屑輸入に関する合意である。
原型は56年9月に締結された長期契約№6857(180万トンの輸入約款)に遡る。
この契約は当時の日米間の力関係から売り手側が圧倒的に優位な内容となっていたが、長契を繰返すなかで契約条項の見直しを重ね、買い手劣勢の回復を図って長契№8888に到達した。 -
DDC(Destination Delivery Charge) コンテナ取扱料金=仕向港に到着したコンテナをCY(コンテナ・ヤード)所定置まで運ぶ費用を船会社が荷主に課す料金。
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DDP(Delivered Duty Paid) 関税込持込渡=売り手戸口から買い手側指定仕向地迄の輸送費用、仕向地での輸入通関手続き、関税も含め一切の費用及び危険も売主が負担する契約(現代製鉄はコンテナ・鉄スクラップをDDP条件で輸入している)。
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DDU(Delivered Duty Unpaid) 関税抜き持込渡=売り手戸口から買い手側指定仕向地までの輸送費用・責任は売り主の負担だが、輸入通関手続き及び関税は買い主が負担する契約条件。
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バルチック海運指数 Baltic Dry Index、通称BDI。英国のロンドン海運取引所が算出、発表する外航バラ積み運賃指数(1985年=1,000)。アジア―米国、欧州―米国など主要水域の運賃、傭船料(海運会社が船主から船を借りる賃料)を基に指数化している。鉄鉱石、原料炭のスポット価格動向との連動性が高い(ただ日本の高炉各社は15年以上の長期用船契約で運用している)。
名称は同取引所が合併した旧バルチックが集計したのに由来する。 -
西送り(船荷) 関東方面から関西方面の出荷。主に船荷を指す。鉄スクラップ需給の偏りから国内スクラップは地域間を移動・流通するが、鉄スクラップ余剰地域の関東以北から不足地域の関西・中国への移送が主だったため「西送り」と呼ばれた。バブル末期の1992年頃、関東以北で溢れたスクラップは東京湾岸から月間10万トン以上が西送りされた。中国、韓国の粗鋼生産が急増した2001年以降は、西送りに替わって海外輸出が船荷の中心となった。
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五金(中国) 金、銀、銅、鉄、錫製品等の金物製品。中国現地では工具五金、建築五金、日用五金、園芸五金、農業機器製品に大別する(横浜・チャイナ・インデックスHP)。中国で「五金行」といえば日本の金物屋を指す。
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日中商品検査(JCIC) 日本海事検定協会(NKKK)と中国輸出入商品検験公司(CCIC)が1992年、共同出資し設立した。国家質検総局(AQSIQ)により96年、産廃の船積み前検査機関として認可。鉄スクラップ等の輸出は同社の検査合格がなければ通関できない。▼CCIC-Japan=2005年7月大阪に開設された中国検査認証集団有限公司(CCIC)100%出資の日本支店。中国向けの事前検査は東日本は日中商品検査(JCIC)が、西日本はCCIC-Japanが担当する。
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E-waste(イーウエスト) Electronic and Electric Waste。パソコンをはじめとする「廃電子電気製品」を指す。E-wasteが問題となるのは①廃電子機器などが環境規制が未整備な発展途上国に持ち込まれ不適正に処理された場合、人体や環境に被害を及ぼす恐れがあること(E-wasteはバーゼル条約との関連で論じられる)。②レアメタルの世界的な需給ひっ迫と高騰のなか、資源としての有用性に先進諸国が関心を示しているためだ(地上の鉱山)。国際的な環境問題と同時に資源問題の二面性を合わせ持つ。
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3R(リデュース・リユース・リサイクル) Reduce(リデュース=発生抑制・減量化)、Reuse(リユース=再使用)、Recycling(リサイクル=回収・再資源化)の頭文字。リデュースとは設計段階から残渣等の発生抑制を組み込んだ設計・仕様とする(「抑制」)こと。リユースはその本来の使用が終わった後も形状を変更せず「再使用」すること。リサイクルは物質形状を変えてもその投入エネルギーの回収をはかること、である。その方法はマテリアル・リサイクル(Material Recycling=物質リサイクル)とエネルギーリサイクル(Energy Recycling、Thermal Recycling=サーマル・リサイクル)に分かれる。循環型経済法制はこの3Rの定着、運用を目的とする。
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拡大生産者責任(EPR) Extended Producer Responsibility。使用済み製品について回収・再資源化責任の一部を製造業者や流通業者に負担させる責任概念。OECD定義によれば「製品に対する生産者の物理的責任及び経済的責任を製品のライフサイクルの使用後の段階まで拡大する環境政策上の手法」。生産者に対し製品が廃棄物になった後まで一定の処理責任を負わせる。わが国では循環型社会形成推進基本法の第11条が規定する。一般の「責任」概念の拡張であるから個別リサイクル法で独自にその拡大範囲を規定する。自動車リサイクル法では自動車製造業者等にフロン類、エアバッグ及びシュレッダーダスト(ASR)の引き取り、リサイクルまでの責任を課している。
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環境配慮型設計(DFE) 「3R」に基づくリデュース(発生抑制)として自動車メーカーに設計段階から予めASR等の発生抑制を組み込んだ効率的なリサイクル・処理を促進させる思想に基づく設計手法(資源有効利用促進法)。
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管理型処分 廃棄物の最終処分の一つ。廃棄物の有害度によって安定型、管理型、遮断型の3形態がある。1994年(平成6)9月、厚生省はシュレッダーダストの処分を安定型から管理型への移行を決め、96年(平成8)4月1日から実施した。ギロチンダストも同様な措置が採られた。
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逆有償 「商品」取引は受取り側が引渡し側に対価を支払う(有償)が、受取り側が「逆に」引渡し側に費用請求する行為。鉄鋼会社の鉄スクラップ購入価格が急落した1990年代末には採算割れとなり、従来とは「逆に」引渡人に処理費用を請求する状況が生まれた。
▼逆有償の歴史的意義=歴史的に言えば、採算悪化の緊急避難的な「逆有償」が、その後に登場する各種「資源リサイクル」法とその将来の業の形を示唆していたと見える。
①「資源リサイクル法」の制定を促した=排出者に処理料金の負担を請求する素朴な逆有償とその定着は、理論付けを通じて、製造者にリサイクル責任(拡大生産者責任)を課し、一般市民に排出者としての応分の協力(処理費用負担)を求める家電や自動車などの各種リサイクル法の制度化を促した。②リサイクル業の業態拡大を促した=家電や自動車リサイクル法が制定されるなか、家電や自動車メーカーに替わって、もしくは共同して新たな拠点を立ち上げたのが、鉄スクラップ業者達だった。非伝統的な「逆有償」をベースに置いたから都心部の伝統的な業者よりも地方や新興勢力業者が比較的多い。③業の組織近代化を促した=個々の業者だけでは取引相手を説得しにくい逆有償が、業者全領域でコスト意識、経営意識を徹底的に鍛え直し、各地に自主的、活動的な業者組織の結成を促した。なかでも低価格に最も苛まされた自動車解体・中古部品販売業者は機械処理(プレス機導入)やインターネット販売網の構築に取組み経営体力を強化した。④意識変化と流通変化(輸出)を促した=98年9月(トーア・スチール自主清算)に始まり2002年4月まで3年8ヶ月続いた炉前価格1万円割れが業者意識を変えた。一つが「逆有償」を契機とする新経営手法(逆有償ビジネス)への挑戦と資源リサイクル時代に備えた体制(コンプライアンス企業)の確立が進んだこと。さらに今一つが「余り物に値無し」の打開だった。国内に需要が無いのなら海外に求めればいい。各地で業者が海外市場にアクセス(輸出拡大)し、需給環境を自らの手で改善した。 -
豊島(てしま)事件 兵庫県警は豊島総合観光開発㈱を1990年11月、廃棄物処理法違反で摘発、91年7月有罪が確定した事件。同島にはASR(自動車シュレッダーダスト)などを中心に50万トンとも目される廃棄物が残り、その後処理を、誰が負担し、実行するかという深刻な社会問題が発生した(ASR不法投棄事件)。▼その影響=国は94年9月、ASRの埋立てを95年4月から「安定型」からより「管理型」への移行を命じた(96年4月実施)。95年3月、国はそれまであいまいにしてきた廃車扱いに区切りをつけ「逆有償の廃車は廃棄物処理法の許可対象」(水道環境部長通知)とした。通産省は97年5月、「使用済み自動車リサイクル・イニシアティブ」を策定し、関係者に「自主行動計画」の策定を求めた。自動車各社作成の「車の解体マニュアル」は、この要請から始まった。ASR対策も理由の一つに自動車リサイクル法制定の論議が動き出した。
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阻害元素(トランプエレメント) tramp element。鉄スクラップに一定量含有すると製鋼上支障となるとして禁忌される元素。銅は熱間加工時、割れの原因となる。リサイクル製鋼工程では排除できず、鋼中にそのまま残留する。錫は熱間加工性や冷間加工性を損なう。クロムは普通鋼では鋼を硬化させる。燐は鋼の地割れ、焼歪の主因となる。ニッケルは普通鋼では有害である。
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循環濃縮問題 食物を通じた循環濃縮と同様に繰り返しリサイクルされる鉄スクラップでも阻害元素(トランプエレメント)が循環濃縮される。問題となるのが、鉄鋼の熱間加工性を劣化させ、現状の技術では除去できないCu(銅分)濃化である。1996年東大工学部データによれば、含有率は棒鋼スクラップで0.2~0.46%。形鋼スクラップで0.1~0.4%。平均0.3%弱。ヘビースクラップのグレードが低くなるの従いCu値が高くなる傾向にある。自動車リサイクル法の全部再資源化認定はCu値を下げる「精緻な解体」が条件となっており、電炉会社は0.3%以下を求めている。
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マニフェスト・システム マニフェスト(manifest)は英語の「積荷目録」の意味で、廃棄物処理法では産業廃棄物管理票を指す。産廃物の発生元、輸送、中間処理、最終処分の経路を記帳・保管・産業廃棄物の適正処理を確保するシステム。
経路の追跡調査が必須条件である廃棄物処理法を始め、特別法である家電リサイクル法、自動車リサイクル法は電算システムによる電子マニフェストで一元的に運用されている。 -
アフターマーケット 一般に使用が終わった中古製品市場。中古自動車業界はこの用語のもとで、中古車ディーラー、自動車解体、部品業者による中古車、中古部品の供給から始まる国内外の非純正部品、中古車などのビジネス、市場を捉えている。
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ポンコツ(ポンコツ屋) ポンコツの初出は、明治初めごろにさかのぼるが、近年は自動車の解体。それをする商売。中古のこわれかかった自動車を指す。
この語が自動車の廃品を指すようになったのは「阿川弘之の新聞小説によって一般にひろまったもので、ポンポンコツンコツンと叩く音からでた」(日本国語大辞典)。車が極めて高価で部品の入手も困難だった戦前、戦後の一時期、自動車の解体、部品回収には専門的な知識が求められ、独自のビジネスが成立したとされる(東京の竪川、大阪の市岡など)。 -
モギトリ(モギトリ屋) 多種・多様な大量の車を並べ、客に好みのパーツを選ばせる(もぎ取らせる)販売形式。その残骸を鉄スクラップとして出荷する。部品を事前回収する「ポンコツ屋」が専門知識を必要とするのに対し、これは客の選別に任せる。そのためどれだけの車を集められるかが営業力を分けた。英米豪などでは普通の部品販売方式。車が普及した1970年前後から自然発生的な形で登場した(京都の八幡など)。
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自動車リユース部品、リビルト部品 部品の原型を留めたまま、再利用され品質確認を介して商品化されたもの。取り外した部品に目視等による点検、洗浄を行い、補修等は行わないリユース部品と、取り外した部品を分解し、構成部品を新品と交換、再組立てを行うリビルド部品の2つに分かれる)。▼リユース部品=使用済自動車から利用できる部品を取り外し、分解等の手を加えず、目視、現車・テスターなどによる点検を行い、清掃・美化を施し、商品化された再利用部品。▼リビルト部品=使用済自動車から取り外した部品や修理の際に発生した交換部品等をベースに、摩耗、劣化した構成部品を新品と交換、再組み立てし、テスターを用いて品質確認を行い、商品化された部品。
▼解体部品=品質確認などを介さず、使用済自動車から取り外してそのまま再利用される部品(2006年度「自動車リサイクル部品認知度向上調査報告・用語統一」。 -
ASR(自動車シュレッダーダスト) シュレッダー(Shredder)機から発生する破砕残渣(ダスト)をSR(Shredder Residue)と呼び、自動車破砕残渣をASR(Automobile Shredder Residue)と呼ぶ。自動車1台当たり重量の約30%前後を占め、プラスチックやガラス成分が多い。この不法・大量投棄が社会問題となったのが、1990年に発覚した豊島事件。
「自動車リサイクル法」はASR適正処理を目的の一つに制定された。資源リサイクル法はASRを
「未利用資源」とする観点から、再利用の促進を図っている。 -
RDF、RPF Refuse Derived Fuel(ごみ固形燃料)。ASRを乾燥・圧縮・成形して体積を1/5程度まで減容する。ASR処理に直面したシュレッダー業者が同プラント後処理機の一つとして導入した。
鉄破砕分を含むため減容過程でトラブルが続出し、また高エネルギーの廃プラスチック分が多いため熱管理が課題とされた(2003年、三重県多度町のRDF焼却・発電施設のRDF貯蔵タンクで、自然発火による貯蔵施設の爆発・人身事故が発生)。その後RDFに替わってRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)との用語、規格(2010年JIS制定)で運用されている。 -
ELV(使用済み自動車) End-of Life Vehicles Directive。使用済み自動車。「寿命を終えた車両」である。日本の自動車解体、部品団体は「日本ELVリサイクル機構」と称している。
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EV(電気自動車) Electric Vehicle。電気自動車。
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コンバージョンEV(改造電気自動車) 通常の内燃式自動車をEV車に改造した車。
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ハーネス Wire Harness。複数の電線を束にして集合部品(ASSY)としたもの。自動車解体では車内配線を言う。複数の銅電線を結束帯やチューブ、粘着テープなどでまとめる。
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三元触媒 自動車排ガス中に含有される一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(Nox)、炭化水素(ハイドロカーボン=HC)の3元素を、CO2、H2Oに分解、無害化する排ガス触媒作用を指す。
ロジウムがNOxを還元し無害化。COやHCを無害化するプラチナ、パラジウムは相互に代替可能だが、ロジウムは機能的に代替できない。自動車触媒はプラチナとロジウム、プラチナとパラジウムとロジウム、パラジウムとロジウムの組み合わせで使用される。
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