上を向いて歩こう

 

哀しみが澱(おり)のように溜まっていく。

今日の私はすこし鬱(うつ)。

この日本。私の生きたこの国。その若者たち。

19年に行われた「18歳の意識調査」の現実に 打ちのめされた。

 

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日本財団「18歳意識調査」第20回 テーマ (nippon-foundation.or.jp)

:「国や社会に対する意識」(9カ国調査)各国1,000人に聞く (2019.11.30)

 

「日本財団は20199月下旬から10月上旬にかけた20回目の「18歳意識調査」で、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツと日本の1719歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識を聞きました。

 

この結果、「自分を大人」、「責任ある社会の一員」と考える日本の若者は約3040%と他国の3分の1から半数近くにとどまり、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」との回答も他国に比べ30%近く低い数字となっています。

 

さらに「自分で国や社会を変えられると思う」人は5人に1人、残る8カ国で最も低い韓国の半数以下にとどまり、国の将来像に関しても「良くなる」という答えはトップの中国(96.2%)の10分の1。全体に途上国、欧米先進国のいずれと比べても数字の低さが際立つ調査結果となっています」(以上㏋説明・引用)。

 

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「自分を大人」「責任ある社会の一員」だとも思わない。「将来の夢を持っている」「国に解決したい社会課題がある」とも「自分で国や社会を変えられる」とも思わない若者。

 

光り輝く(はずの)18歳の、その内心の暗さに、私は呆然と天を仰ぐ。

その私が発することができるのは、今はただ、感傷的なポエジーの断片。

論理を飛躍した、言葉のあれこれに浮遊する思いを吐き散らすことだけ。

 

私が18歳だった時。

坂本九の上を向いて歩こうの歌が大流行していた。

が、私はその明るさに、不思議な違和感を覚えていた。

謎が解けたのは、はるか五十数年後。

60年安保闘争のデモさ中、

22年の生を失った樺美智子さんを悼んだ永六輔の鎮魂の詩だと知った。

「涙がこぼれないように 泣きながら歩く 一人ぽっちの夜」

 

60年代、そして70年代。

戦中、戦後の早い時代に生を受けた私たち(の一部)は、「怒れる若者たち」だった。

安保闘争。全共闘、学園紛争。そのスローガンは「異議申し立て」「反権力」だった。

「自分を大人」「責任ある社会の一員」だと思い。「将来の夢を持っている」「国に解決したい社会課題がある」とも「自分で国や社会を変えられる」と信じていた(はずだ)。

 

21世紀。その早い時代に生を受けた18歳の若者は、半世紀前の日本の若者とも、

戦後の日本がありうべき国家、市民とした米国や英国の現在の若者とも、

最先端のIT、電子技術を駆使して一党独裁体制の永続化を図る中国の若者とも、

・・・インドやインドネシアなど世界の若者とも・・・大きく違った。

 

この事実をどう受け止めるべきか。

国政を預かる日本の為政者たちの無為・無策・無能は世界に知れ渡った(コロナ敗戦)。

しかし、それ(無為・無策・無能)が、一般国民・市民に広く知れ渡っているのか。

そのような為政者たちを選び、現在なお、その職に留めているのは、一体誰なのか。

 

仰いで天に恥じるのは・・・私達である。

そう。だから哀しみが澱(おり)のように溜まっていく。

その私が発することができるのは、今はただ、感傷的なポエジーの断片。

論理を飛躍した、言葉のあれこれに浮遊する思いを吐き散らすことだけ。

今日の私はすこし鬱。

ならば、私も永六輔のひそみに倣(なら)って
上を向いて歩こう

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なお本㏋・コラムの過去掲載文もご覧ください。

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