はじめに
1 私(冨高)は、業界紙記者として40数年間、業界に同伴した。
2 ヒトは「個人として」同時に「社会的な存在として」生きると考えた。
3 であれば個人としてのヒトは、社会的な自分の居場所を見つけなければならない。その「自分探し」が、「業界紙記者として」の自覚となった。
ヒトの歴史について
1 では「私=自分」とは何か。私自身とは、何か。
2 ある本は、私とは「私を取り巻く環境の総和」であるという。
3 「私」は単にDNAの合成物ではなく、「父母兄弟・友人知人らのつながりの中に育まれた存在」。それら「すべてのつながり」が「私」を作るという。
4 ヒトは「広範・多様なつながり」のなか「今を生きる」確証を求める。
5 その「存在確認」が歴史書であり、ヒトが歴史書を求める理由である。
業界について
1 私(冨高)は、業界紙記者として、「この業界とは何か」を考えた。
2 「国家に国家の歴史書があり、会社に社史があるように、成熟した業界は、自らの業界史を持つべきです」と工業会に提言した(17年5月)。
3 先の提言に係わらず工業会は動かなかった。であれば「記者としての責任」として、業界の歴史を後世に遺すべく、自費出版に踏み切った。
4 独自に調査し書いたのが「日本鉄スクラップ史集成」(13年)。リタイア後、自費出版したのが「日本鉄スクラップ業者現代史」(17年)、また明治以降、現代までの人物像に迫ったのが「近現代日本の鉄スクラップ業者列伝」(18年)である。
5 その集大成として、21年10月に世に出したのが「日本鉄スクラップ 鉄鋼と業者140年史」だ(これらの出版本は、すべて国立国会図書館に納本した)。
社史について
1 では会社とは何か。「社史」とは果たして何か。
2 ヒト(社員)は、自身が働く会社の位置づけを(暗黙のうち)に求める。
3 自分が身を託す会社は、どのような歩みをたどってきたのか。
4 かつての経営者、先輩社員は、時代の変化にどう対応してきたのか。
5 その成功と失敗の貴重な体験集(社史)が、次代の社員を育てる。
その実際例として
1 私は某社の社史を作成し、その後の本書の活用を以下のとおり提案した。
2 社史、会社の歴史本は、会社の自己点検と世間への自己紹介の道具である。
3 社史は、個人の「日記」文ではない。営利を目的とする会社の存在、来歴を広く世間に知らせる自己紹介であり、営業促進の「拡販材料」の一つである。
4 拡販材料であれば、社史を狭く関係者だけに限定すのは、営業原則に反する。
5 会社の平棚に置こう。取引先に広く配ろう。宣伝しよう。世に知らしめよう。
6 そのため国立国会図書館をはじめ、47都道府県図書館に寄贈・納本した。
7 同時に本書を自宅に持ち返って欲しい。この社史を通じて、自社の概要、存在を女房・子供など家族の皆に、知ってもらういい機会だと考えている。
8 私は「こういう会社に勤めている」と胸を張って欲しいからだ。
以上