自民党政治、政権は2024年2月現在、歴史的頽廃の極限にある。
その一つが、東京地検特捜部が動いた政治資金、裏金問題だ。
*報道によれば、
23年11月18日 5派閥に政治資金不記載との告発状提出が判明。
12月1日 安部派に巨額の裏金づくりの疑いが発覚。
12月19日 地検特捜部が安部派と二階派の事務所を家宅捜索
24年 1月2日 安部派の裏金総額6億円超の疑いが判明
1月19日 安部派と二階派の会計責任者在宅起訴 岸田派は略式起訴
2月13日 自民党アンケート結果を公表。記載漏れ誤記載85人。
総額は18~22年の5年間について、85人の総額で5億7949万円。
マスコミは彼ら85人の誰一人として税務申告せず、国税当局が脱税容疑に動こうとしないこと、所得税の確定申告のなか納税者の怒りの声を拾って不公平を糾弾する。
納税の根幹が、行政・立法機関を独占する権力者の恣意によって崩されていく。
「正直者がバカをみる」怒りの生の声が茶の間にこだまし、鬱屈する。
その二つが、旧統一教会系の集会で「推薦確認書」にサインし「推薦状」を受け取った盛山文科相の「居直り」とこれを擁護・死守する岸田政権の姿勢だ。
*報道によれば、
24年2月初め (週刊誌報道の後)「はっきりした記憶はございませんが」
2月7日 (推薦状を手にする写真が示され)「うすうす思い出してきた」
2月8日 (一転して)「記憶がございません!」「覚えておりません」
2月20日 盛山文科相不信任案は自公明両党と維新の会の反対で否決。
文科相は旧統一教会と裁判で争う一方の最高責任者である。その責任者が他の一方と極めて親密な関係にあった。利害相反者である。法理上、その職責から離れなければならない。
しかし、政権と与党(公明党)や中間党(日本維新の会)は、その考えを拒否した。
「李下に冠を正さず」 政治倫理と法規範の崩壊に、私は日本の暗澹たる未来を見る。
さらにある。権力の行動を監視し市民に報告すべき報道機関腐食の現実だ。
*報道によれば、
24年2月20日 東京地裁はかんぽ生命保険の不正販売報道を巡り、NHK経営委員会が当時の会長を厳重注意した問題で(議事録や録音データを削除したと主張したNHKに対し)録音データの開示を命じ、NHKと森下俊三委員長に計約200万円の賠償を命じた。
NHKの公共放送機関としての運営には疑義がある。
2014年1月25日、新会長に就任した籾井勝人は、「政府が右というものを左とは言えない」と記者会見で発言した。「御用報道」は国民の知る権利を危うくする。その発言を知った直後の14年1月26日、私は直ちにNHKに抗議の電話を入れ、籾井会長の引責辞任を求め、それが実現されるまでは、抗議の形として料金不払いを通告し、直ちに銀行引き落としを停止した。
問題は不払いではない(籾井発言以前、私は料金責任を果たした)。
圧倒的強者の不法に対して、制度的弱者にどのような異議申し立てが残されているか。
これは優れて国民の権利義務に係わる憲法問題(国民の抵抗権)である。
その形として武力・威嚇によらず、私は経済的な対抗措置を採った。
危惧したのが安部政権の登場と権力の私物化だった。
22年1月22日、私は安部政権へ異議申し立て-暗い夜だが、権利の上に眠ってはならない | STEEL STORY JAPANをhpにアップした。その後半を再掲する。
*****
日本では、安部首相とその妻、周辺の者たちの権力の私物化、高級官僚たちの職業人としての最低限の規律さえ放棄するすさまじい劣化が進行した。(中略)
権力は腐敗する。
批判、反対を許さず、聴き入れない絶対権力は絶対的に腐敗する。
権力の腐敗は、それが権力である限りは、「たった一人の独断者」からは生まれない。
腐敗は組織から起こる。
その組織とは、歴史の住人意識をもたないままに現在と利害得喪に固執する政党・政治組織であり、自身の保身と出世栄達のために「国民の奉仕者」との本義を振り捨てた高級官僚組織であり、読者・視聴者獲得のため大衆迎合に走った世に第4の権力とさえ言われた新聞、TVなどマスコミたちである。(中略)
フランス革命を起源の一つに持つ近代憲法は、国家による市民弾圧の抵抗から生まれた。
従って憲法の本質は、国家権力からの市民・国民の自由と権利擁護。
権力・独裁を制約することにある。市民権とは、与えられた権利ではない。
国家から勝ち取った権利なのだ。
「権利の上に眠るものは、保護に値せず」との法格言がある。
暗い夜を、権利の上に、眠ってはならない。
それは市民として、我々が果たすべき歴史的な責務なのだ。
たしかに醜悪で暗い夜だが、しかし沈黙し、権利の上に眠ってはならない。
時として鬱屈する思いを詩に託す。
「政権党派閥の裏金問題に触発されて」14行なる散文を2月初めの8日、記した。
*****
法律は厳密な証拠で動く 法網をかいくぐって居直る
その彼ら政治家が わたくしたちの子供の 未来を危うくする
世に生きる わたくしたちの最低限の約束ごとのすべてが
のっぺりとした顔で 薄ら笑いにひきつった
かれら世襲政治家の詭弁にまみれた「丁寧な説明」に砕け散る
現代民主主義は代議制を根幹とする その代議士が説明責任を放棄する
投げ捨てられたのは 彼らの恥ではない
わたくしたちの託すべき生活が わたくしたちの未来が 汚されたのだ
四海の外のことごとくが強権と独裁にひた走るなか
しかし なお わたくしたちは民意を押し立てる制度を握っている
ならば かれら世襲政治家の権力の壟断と無恥を許してはならない
なにができるのだろうか
そう まず小さな約束をはたすこと
路傍のつまずきの石を取り除き 大道を 真っすぐに歩むこと。
*****
岸田首相や政権幹部の、国家の現在だけでなく未来を背負う。
学生だった昔の私を思い出す。私は1965年。60年安保と70年安保の端境期に入学した。
学内は海の向こうのベトナム戦争と毛沢東の紅衛兵運動の余波の只中にあった。
わたしは分からないままに、戦前の歴史を、太平洋戦争に至る動きを追った。
資料によれば開戦当時に日米の物的国力差は1対77(昭和経済史)。
勝てるはずのない戦争になぜ踏み切ったかだ。
転がりだした大きな岩は誰も(東条すらも)止められない。
その証言に愕然とした、その遠い記憶だ。
私たちは権力の凄まじい腐敗と報道機関の無残な無策を目の前にしている。
言葉の約束と他人との信頼を土台に築き上げられた代議制民主主義が壊れようとしている。
金権・利権の選挙のなか、二世三世の世襲議員が幅を利かせる現在。
私たちに何ができるのか・・・と諦めるではなく、(同じ言葉だけれど)
私たちに何ができるか・・・と(昂然 頭を上げ)、その対案を考えよう。
しかし なお わたくしたちは民意を押し立てる制度を握っている
ならば かれら世襲政治家の権力の壟断と無恥を許してはならない。
以上
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