世界の鉄鋼産業は今、カーボンニュートラルを目指している。その大きな背景には、製造者だけでなくその取引関係者をも取り込んだ「サプライチェーン排出量」の監視・規制がある(「グリーンメタル」としての鉄スクラップ その将来像を考える )。
当hpはその歴史的、今日的な全体像を先に記述した(温暖化防止とゼロカーボン・スチールへの挑戦(7月31 日・改訂版)。
その具体的は方策を紹介するのが、今回の試みである。
(本データはすべて以下の環境省hpによる)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html
サプライチェーン排出量算定をはじめる方へ
サプライチェーン排出量とは
事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指す。
つまり、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量のこと
サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量
GHGプロトコル(英語)(Greenhouse Gas Protocol、外部リンク)のScope3基準では、Scope3を15のカテゴリに分類します。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
Scope3 15のカテゴリ分類
Scope3カテゴリ |
該当する活動(例) |
|
1 |
購入した製品・サービス |
原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達 |
2 |
資本財 |
生産設備の増設(複数年の場合には、建設・製造が終了した最終年に計上) |
3 |
Scope1,2に含まれない |
調達している燃料の上流工程(採掘、精製等) |
4 |
輸送、配送(上流) |
調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主) |
5 |
事業から出る廃棄物 |
廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理 |
6 |
出張 |
従業員の出張 |
7 |
雇用者の通勤 |
従業員の通勤 |
8 |
リース資産(上流) |
自社が賃借しているリース資産の稼働 |
9 |
輸送、配送(下流) |
出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売 |
10 |
販売した製品の加工 |
事業者による中間製品の加工 |
11 |
販売した製品の使用 |
使用者による製品の使用 |
12 |
販売した製品の廃棄 |
使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理 |
13 |
リース資産(下流) |
自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働 |
14 |
フランチャイズ |
自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動 |
15 |
投資 |
株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用 |
その他(任意) |
従業員や消費者の日常生活 |
※1 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を任意算定対象としています。
※2 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を算定対象外としていますが、算定頂いても構いません。
[出所] サプライチェーン排出量算定の考え方 パンフレット 環境省
サプライチェーン排出量の算定の流れについて
サプライチェーン排出量算定は大まかに分けると4つのステップから成る
STEP0: サプライチェーン排出量算定方法の理解
サプライチェーン排出量の算定ポイントや各カテゴリの考え方、削減対策、企業の取組状況などを確認し、サプライチェーン排出量算定方法を理解
STEP1: 算定目標の設定
自社のサプライチェーン排出量の規模を把握し、サプライチェーンにおいて削減すべき対象を特定すること等の算定に係る目的を設定
STEP2: 算定対象範囲の確認
サプライチェーン排出量の算定の際には、グループ単位を自社ととらえて算定する必要がある
STEP3: Scope3活動の各カテゴリへの分類
サプライチェーンにおける各活動を、漏れなくカテゴリ1~15に分類
STEP4: 各カテゴリの算定
- 算定の目的を考慮し、算定方法を決定します。 データの収集項目を整理し、データを収集します. 収集したデータをもとに、活動量と排出原単位から排出量を算定します
環境省(法人番号1000012110001)
〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 TEL:03-3581-3351(代表)