11月21日マーケット情報


■東京湾岸FAS相場は前週比横ばい推移(1121日・テックスレポート)=東京湾岸FAS相場は関東鉄源協組の入札や東鉄の二度の購入価格引き上げ後も、さほど変動はみられない。東京湾岸の主要埠頭では20日現在、H244,00044,500円中心だが、船積み予定がないシッパーでは43,000円見当もある。HS47,50048,000円中心、新断は47,00047,500円中心で、これらも5001,000円程度下回る価格も出ているが、安値圏の入荷状況は芳しくないようだ。

 

■LME鉄スクラップ先物・現地1119日:1ヶ月=355.5㌦(前日356.0㌦)。2ヶ月=358.5㌦(357.5㌦)。3ヶ月=359.5㌦(359.0㌦)。6ヶ月=367.0㌦(367.5㌦)。12ヶ月=386.5㌦(385.5㌦)。

 

■東鉄、1120日から全拠点で500円値上げ(1119日)=東京製鉄は19日、全国の全拠点の購入価格を(東京湾岸サテライトの新断を除き)20日午前0時から、一律500円値上げとした。この結果、各拠点の特級価格は、田原(海上・陸上)=44,500円、名古屋サテライト(陸上)=44,000円、岡山(海上・陸上)=44,500円、関西サテライト(陸上)=44,000円、高松(陸上)=39,500円、九州(海上・陸上)=44,500円、宇都宮(陸上)=43,500円、東京湾岸サテライト(陸上)=44,500円となる。購買情報|東京製鐵株式会社

 

H2炉前価格、上昇(鉄源協会・1119日)=11月第3週:関東42,167円(先週41,833円)。前年同週41,500円 ▽関西39,125円(先週38,625円)。前年同週36,625 

 

■米国コンポジット・プライス、308.33㌦でよこばい(1119日)=1117日付け米国コンポジット・プライス(ピッツバーグ、シカゴ、フィラデルフィア3地区平均)は308.33㌦で前週と同値だが、鉄鋼を巡る世界的な不透明感は、依然として消えない。

 

■トルコ向けに西海岸から大量船荷が動く(1118日)=関係者情報によれば、西海岸からトルコ向けにHMS8020355㌦(CFR)で4.55万トンのディープシーカーゴ4隻決まった模様だ。バングラ向け(350/MT CFR)と比べ僅か5ドル/MTの価格差である。関係者は米国東海岸ではなく、過去10年でも例のなかった西海岸から大量成約されたことに驚いている。背景として①アジア市場の需要低迷によりトルコ向けが割安となったこと、②米中の相互関税一時休戦の一環として、1110日から港湾費用の徴収が無くなった(下記参照)ことから、太平洋で待機していた船舶の供給が増え、トルコ向け運賃が一気に10㌦以上の値下がりとなったこと、などと説明されている。この結果、トルコ筋は12月の必要量は確保したものと見られ、今後は来年1月手当に移るため、「より慎重な姿勢が予想される」との声が聞かれる。

*米中、相互に関税下げ 10日午後に発効(1110日)=米中両政府は日本時間10日午後に、互いに追加関税を引き下げる。米通商代表部(USTR)は米国が中国船などから徴収する「入港料」も、10日から1年間にわたり徴収を停止すると発表した。

 

■中部鉄源協議会、新断47,600(FAS) で落札(1113日)=中部鉄源協議会(会長=小澤広多・不二商事専務)は13日、共同販売入札を実施し新断バラをトン当たり47,600円(FAS)で販売した。前回(1014日)と比べ700円高く、上昇は2ヵ月連続。落札数量は4,000トンで、積み期は12月となる。落札商社は非公表。名古屋港・稲永埠頭内ヤードから出荷する。

 

■関東鉄源協組、落札価格44,960FAS(前月比644円高)(1112日)=関東鉄源協同組合は11日、1231日を船積み期限とする輸出向け入札を実施し、H244,960円(FAS)で成約した。落札価格は前月比644円高、上昇は4ヵ月連続で、昨年11月(45,180円)以来、12ヵ月ぶりの高値。落札はA社=44,960円(20,000トン)の1件で、同組合によると向け先はベトナム。応札は1515件。応札数量は合計で121100トン。

 

■異形棒鋼価格(鉄源協会1117日):11月第2週=東京104,000円(先週104,000円)。前年同週117,000円。▽大阪92,000円(先週92,000円) 。前年同週99,000円。

 

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 直近 日経新聞、業界紙、各社㏋要約

 

■日本製鉄、USスチール買収関連は「別掲資料」を参照してください。

 

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■東鉄、形鋼4品種を3000円値上げ(1118日・産業新聞)=東京製鉄は17日、12月契約分の形鋼4品種販価(店売り向け)をトン当たり3000円引き上げる。対象はH形鋼と縞H形鋼、溝形鋼とI形鋼で、値上げは234月契約分以来28カ月ぶり。H形鋼はサイズエキストラを改定する。薄板類と厚板、異形棒鋼とU形鋼矢板、角形鋼管は販価を据え置く。

 

■日製鋼、原発部材増産へ100億円追加投資(1115日)=日本製鋼所は原子力発電所向け部材の生産能力を高めるなどで100億円規模の追加設備投資する。従来200億円規模だった計画に上乗せする。欧米で大型原発のほか小型モジュール炉(SMR)など新たな需要が見込めるため。日米両政府がエネルギー投資に注力する方針を掲げたことも追い風。

 

■鋼板4年半ぶり安値(1114日)=熱延鋼板の東京地区での流通価格は、1.6mm品が現状で1トン102500円前後。24年夏以降値下がりが続く。冷延鋼板は同126500円前後と前月比7%安で、同じく216月以来の低水準だ。国内需要の弱さを背景に流通事業者が在庫処分の売りを出しており、じり安が続いている。鋼板類が生産全体の6割を占める東京製鉄では、2549月期の営業利益が前年同期比で半分以下になった。製品価格の下落と鉄スクラップの値上がりで、単純計算した利幅にあたるスプレッドが縮小している。足元で鉄スクラップが一段高になっていることもあり、年度下期はさらに厳しい見通しだ。

 

■鉄リサイクル工業会、BIRの国際会議に参加(1113日・テックスレポート)=日本鉄リサイクル工業会は1029日にタイで開催されたBIR(国際リサイクリング協会)の「世界リサイクル団体会議」に参加し、木谷会長ら3氏が出席した。工業会は「適正ヤード推進委員会」の活動成果として警察による不適正業者取締りの法制化が実現したことや、社会的認知度向上の活動、今後の日本国内での高品位鉄スクラップの需給ひっ迫や保護主義への懸念などを報告した。

 

■鉄リ工業会・錆年会、韓国視察を実施(1113日・テックスレポート)=鉄リサイクル工業会関東の「錆年会」は12日、韓国視察研修会の報告書をまとめた。山下会長はじめ13名が参加し、1023日から25日にかけ釜山と浦項を訪問した。23日に大韓製鋼・緑山工場や同社開発のAI検収システム「Aimos」を見学。24日にはPOSCO歴史博物館や東国製鋼浦項工場を見学。同日夕には韓国鉄鋼資源協会(KOSIA)青壮年部との交流会を実施。最終日は韓国唯一の資源循環特化団地、釜山生谷産業団地を訪れ、複数の鉄スクラップ工場を見学した。

 

JFEや神鋼の低炭素鋼材 トヨタ、量産車で採用(1112日)=JFEスチールや神戸製鋼は11日、(製造過程のCO2の削減分を特定の鋼材に割り当てCO2排出を削減したとみなす)「マスバランス方式」の低炭素鋼材がトヨタ自動車に採用されたと発表した。低炭素鋼材は通常の鋼材と品質は同じだが価格が高く、普及はこれからだ。

 

■鉄鋼輸出、25年ぶり低水準(1112日)=日本の49月鉄鋼輸出量は1508万トン。前年同期比6.1%減で、49月としては2000年(1496万トン)以来の少なさだ。主因は鉄鋼製品に関する通商措置の急増だ。中国が鋼材を安値で大量に輸出しており、各国が警戒を高めている。アンチダンピングの新規調査は2510月時点で24件と高水準を維持。セーフガード(緊急輸入制限・SG)の調査も今年は5件と、24年通年(2件)を上回る。2549月鉄鋼輸出量はEU向けが前年同期比65%減、韓国向けも同16%減と落ち込んだ。SG措置で高関税を課すインド向けも急減。日本は年8000万トン台の鉄鋼生産のうち、輸出向けが4割を占める。輸出の不振は国内鉄鋼メーカーにとって収益悪化要因だ。日本製鉄は5日、263月期の利益下押し幅を8月時点の予想より200億円積み増した。JFEHD)も2549月期連結決算では、鉄鋼事業が53億円の赤字に転落している。

 

■日本製鋼所が新研究所(1111日)=日本製鋼所は2027年にも千葉県柏市の「柏の葉キャンパスエリア」に新たな研究開発拠点を設ける。投資額は50億円超とみられる。基盤技術研究に特化し、大容量通信向けの半導体材料や金属などの開発を加速する。

 

■神戸鋼、純利益11%増(1111日)=神戸鋼が10日発表した202549月期の連結決算は、純利益が前年同期比11%増の628億円。保有する日本製鉄株など政策保有株の売却益を計上した。売上高は5%減の11814億円、営業利益は19%減の625億円だった。主力の鉄鋼の経常利益は前年同期比55%減の85億円だった。製品価格と原材料価格の差であるメタルスプレッドは改善したが、原料価格の下落で在庫評価損が拡大した。

 

JFE、事業益457億円に減、粗鋼減産が響く(117日・産業新聞)=JFEホールディングスが6日発表した202549月期連結業績は事業利益が前年同期比361億円減の457億円となった。棚卸資産評価差影響などを除く実力ベースは411億円減の937億円。国内外における事業環境の悪化などを背景に、鉄鋼事業ではJFEスチールの単独粗鋼生産量が同23万トン減少するとともに、円高に伴う輸出採算悪化などのマイナス影響を受けた。

 

■日鉄、263月期最終損益は600億円の赤字見通し(116日)=日鉄が5日公表した263月期の連結業績予想では最終損益(国際会計基準)が600億円の赤字(前期は3502億円の黒字)になる見通しだとした。従来予想(400億円の赤字)から200億円下方修正した。USスチールの今期の利益貢献をゼロとしたことが響いた。日鉄は当初、USスチールは263月期に在庫評価差損を除く実力ベースの事業利益で800億円の増益要因となるとしていた。同日発表した2549月期連結決算は最終損益が1133億円の赤字(前年同期は2433億円の黒字)だった。

 

■日鉄、米に先端技術移転(115日)=日鉄は米国でデータセンターなどに使われる高級鋼を量産する。USスチールが生産設備を新設する。投資額は数十億ドル規模を想定する。老朽設備の改修なども計画し、トランプ米政権に約束した巨額投資が動き出す。

 

■クリーブランド・クリフスとPOSCO、戦略的提携(114日・産業新聞)=米鉄鋼大手のクリーブランド・クリフスは1030日、POSCOとの戦略的提携に関する覚書を締結した。POSCOはクリフスの設備を活用して生産することで、米国の貿易要件や原産地規則を満たし、米国内の顧客に自社製品を供給できる。最終合意の正式発表は2026年内を予定する。

 

■鉄リ・北海道支部、国の「新港ターミナル整備事業」の予算要望書を提出(1030日・産業新聞)=日本鉄リサイクル工業会北海道支部は29日、東京・霞が関の国土交通省で「石狩湾新港東地区国際物流ターミナル整備事業」の促進に向け予算措置を求める要望書を提出した。

 

JFE条鋼、環境配慮型鋼材「エコエル®」を発売(1029日・テックスレポート)=JFE条鋼は28日、非化石エネルギーを用いることでCO2排出量を大幅に抑制した鋼材「エコエル®」を製品ラインアップに加えたと発表した。CO2排出量は日本海事協会の第三者認証を取得しており、「エコエル®」は同社が製造するすべての鉄鋼製品に対応可能。購入者はScope3排出量算定やカーボンフットプリント(CFP)における原材料調達のCO2排出量算定に用いることができる。

 

■共英製鋼、棒鋼価格を2000円引き上げ(1028日・産業新聞)=共英製鋼は27日、11月度異形棒鋼販価格全事業所で2000円引き上げる。9月に打出した5000円の値上げに続くもの

 

■イボキン、180トン級建物解体専用機を導入(1028日・産業新聞)=イボキンは27日、180トン級大型建物解体機を導入した。一昨年の130トン級の大型重機を導入に続くもの。

 

■老齢船、昨年の解体数、例年の半分(1024日)=2024年に主要な解体国(インド、バングラデシュ、パキスタン)で解体された船の数は267隻。16年以降では最少で、1619年までの平均と比べると5割減った。25年も9月までに解体されたのは175隻にとどまり、年間でも24年と同程度の低水準が見込まれている。背景には堅調な海運市況と地政学リスクがある。

23年からは中東情勢の緊迫化にともない、スエズ運河の通航を取りやめる動きが続いている。航海距離が延びたことで船の需要が膨らんだ。2000年代は、中国の高い経済成長を背景に新造船の建造ラッシュが起きていた。当時造られたばら積み船やタンカーなどが船齢20年を超え、解体候補となる。25年から34年までの10年間で解体される船は、1524年の2倍に増加すると推計する。海外の解体ヤードの買い取り価格が下落している。英LSEGによると、解体業者が船主に提示する買い取り価格はインド市場のタンカーで1ライトトン(軽貨排水トン数)あたり410ドル。解体船を取り合う状況になった直近の高値だった22年半ば(680ドル)からは4割下がった。「解体ヤードが強く船を求めている状況ではない」という。解体船が増えた場合には需給が緩みさらに下落する可能性がある。

 

■世界70ヵ国の9月粗鋼生産は1.6%減の14180万㌧(1024日・テックスレポート)=世界鉄鋼協会調べによる世界70ヵ国の259月粗鋼生産速報は14180万トンで前年同月比1.6%減、前月比2.4%減となった。国別では◆中国=4.6%減の7350万トン、◆インド=13.2%増の1360万トン、◆米国=6.7%増の690万トン、◆日本=3.7%減の640万トン、◆ロシア=3.8%減の520万トンなどだった。米国の生産量が日本を上回るのは、今年5月以降5ヵ月連続。

 

■共英製鋼、米国で電炉新設(1022日・産業新聞)=共英製鋼は1612月に買収したテキサス州の電炉会社ビントン・スチールに電炉工場を新設し、圧延設備を一新する。日本、ベトナムとの三極で世界400万トン体制の確立を目指す上で米国事業の拡大が鍵を握る。

 

■JFE条鋼、10月契約から3000円引き上げ(1022日・産業新聞)=JFE条鋼は10月契約分(11月ロール分)から3000円引き上げる。H形鋼と等辺山形鋼、溝形鋼。国内店売り向けが対象で、最終的にはトン5000円の引き上げをお願いしたい」(中島秀彦常務取締役)。

 

■米クリフス、レアアース生産へ調査(1021日・夕)=米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスは20日、米国でレアアース生産への参入を検討すると発表した。ローレンコス最高経営責任者(CEO)が明らかにした。同社はミネソタ州とミシガン州に鉱山を所有し、製鉄に必要な鉄鉱石を採掘している。これらの鉱山でレアアース採掘につながる複数の証拠を得ることができたという。一方で、技術的な詳細や実現の可能性は明らかにしなかった。

 

■東京製鉄、税引き益53%減(1018日)=東京製鉄は17日、263月期の単独税引き利益が前期比53%減の100億円見通しと発表した。従来予想から10億円下方修正した。売上高は前期比19%減の2643億円、営業利益は68%減の95億円の見通しで、従来予想を292億円、66億円下回る。税引き利益の下振れ額が小さいのは資産を売却し特別利益の計上を織り込んだため。263月期のメタルスプレッドは1トンあたり52300円想定か5900円に引き下げた。前期比では1トンあたり8000円の悪化となり、営業利益ベースで219億円のマイナス要因になる。下半期の販売数量は上半期よりも2万トン増の約138万トンを予定している。同日発表した2549月期の単独決算は税引き利益が前年同期比54%減の45億円だった。

 

■日鉄、カナダ鉱山権益取得(1016日・夕)=日鉄は従来出資を計画していたカナダの鉄鉱石鉱山の権益を30%取得した。高品位な鉄鉱石がとれる鉱山に双日とともに出資する計画で、日鉄は権益の対価1.5億カナダドル(約160億円)を2分割で支払う。

 

■日本の鉄鋼生産、米下回る(1012日)=世界鉄鋼協会のまとめによると18月の日本の生産量は前年同期比4.5%減の5410万トン。同1.6%増の5460万トンだった米国を下回った。年間を通して同じ増減率になると仮定すると、日本は8022万トン、米国は8072万トンになる。

米国の製鉄所の稼働率は年初の74%前後から足元で8割弱まで上がった。今後関税で割高になった輸入材の流入が減れば、さらに生産が増える可能性もある。

 

EU、鉄鋼に50%関税案(108日) EUの執行機関である欧州委員会は7日にも、無関税の輸入枠を超過した鉄鋼に50%の関税をかける案を発表する。現行の2倍に引き上げるほか、無関税の輸入枠も2024年比で半減させる。米国と同水準の鉄鋼関税を課すことで中国製など安い製品の流入を阻止する狙い。国別の割当量は今後、検討する。貿易統計によると、日本の24年度鉄鋼輸出額は43422億円で、EU向けは約4%1825億円だった。

 

■中山鋼業、異形棒鋼販価を5000円引き上げ(10月1日・産業新聞)=中山鋼業(本社=大阪市、座古俊昌社長)は30日、異形棒鋼の販売価格を101日から5000円引き上げた。

 

■日本製鉄、カナダ鉄鉱山権益30%を取得(10月1日・テックスレポート)=日本製鉄は30日、カナダのチャンピオン・アイアン社が保有するカミスティアチュセット(Kami鉱山)と合弁会社を設立し、持分30%を取得したと発表した。出資構成はチャンピオン・アイアン社が51%、日本製鉄30%、双日19%。Kami鉱山の鉄鉱石(年間900万トン)は、直接還元鉄の製造に適した(DRグレード)、稀少な高品位の鉄鉱石であり、日本製鉄は直接還元鉄の原料確保を図っていく考えだ。