計量単位・C&F、FOB、FAS関係式

計量法=日本はメートル法が法定されているが、世界には各種の計量法がある。

エム・㌧、Mt=1,000kgを1M㌧とするメートル法単位重量。メトリック㌧とも呼ぶ。日本や英国、インド、豪州、ロシアなどでは、この重量単位を使う。▽ショート・㌧、St=907Mkgを1S㌧とする。米(べい)㌧とも呼ぶ。米国の慣用重量単位で、米国の粗鋼生産10,000Stはメートル法では9,070Mtである。▽ロング・㌧、Lt= 1,016Mkgを1L㌧とする。グロス㌧とも呼ぶ。米国スクラップを始め、国際取引で慣例的に使われている。因みに米国のディープ・シー・カーゴの重量はL㌧単位表示である。

原単位=製品1単位に必要な標準的な投入単位。銑鉄1㌧を作るには鉄鉱石1.5~1.7㌧、石炭0.6~1.0㌧、石灰石0.2~0.3㌧、電力10~80kw、水30~60㌧とされる。粗鋼1,000kgを作るのに必要な鉄スクラップ原単位は、日本:電炉鋼1,048kg、転炉鋼114kg(12年)、韓国:電炉鋼934kg、転炉鋼147kg(11年)、中国:電炉鋼521kg、転炉鋼70kg(11年)、トルコ:電炉鋼1,108kg、転炉鋼171kg(05年)。

■CIF、C&F及びFOB、FASの関係式=品代に指定岸壁までの運賃を加算したものがFAS価格(浜値)。これに本船積み込み費用(FOBチャージ)を加えたものがFOB価格。FOB価格に船運賃を加えたものがC&F価格(またはCFR価格)。C&F価格に海上保険料を加えたものがCIF価格である。
・品代+指定岸壁持ち込み費用(陸上運賃)=FAS価格
 ・FAS価格+本船積み込み費用=FOB価格
 ・FOB価格+指定港持ち込み費用(海上運賃)=C&F価格(またはCFR価格)
 ・C&F価格(またはCFR価格)+保険料=CIF価格
 たとえばH2浜値(FAS)が30,000円の場合。本船積み込み費用1,000円としてFOB価格は31,000円。韓国・仁川までの船運賃3,000円として、C&F価格は34000円との関係が成り立つ。東京製鉄の岡山、海上価格はC&F価格である。関東や名古屋からの船積み浜値(FAS価格)は、「C&F価格-(本船積み込み費用+船運賃)」として試算される。FAS価格かFOB価格のいずれか一つが分れば、C&F価格も自動的に推測でき、韓国向け鉄スクラップの売値と国内向けの売値を比較することができる。同様に米国の№1ヘビーの国内価格と太平洋間の運賃が分かればディープ・シー・カーゴのC&F価格も予測できる。

製品価格と原料スプレッド=製品棒鋼販売価格と原料である鉄スクラップ価格をどう見るかは、製鋼・圧延・管理費をどう織り込むかによって一定しないが、大震災以前ではスプレッドは漠然と35,000円前後と目されていた。つまり「固定費(人件費+減価償却費)10,000円、諸経費5,000円、変動費10,000円(電力代3,500円+副資材2,500円+電極他1,000円+運搬費3,000円)+利益=30,000円。原料30,000円+スプレッド35,000円=棒鋼販売価格65,000円と試算できる。
電力料金は「基本料金」+「時間帯従量料金」+「重油など燃料調整・スライド料金」で決まる(製鋼・圧延電力は550~600kw)。大震災以後、電力各社は原発稼働の見返りとして設定した安い夜間電力料金の大幅値上げを通告し、円安から原油などスライド料金の値上げも常態化したため電力料金や副資材まで含めたコストアップは2,500~3,000円とされ(13年現在)、これが今後のスプレッド拡大につながる。

鉄スクラップ消費試算式=鉄スクラップ消費量は①粗鋼生産量、②鋼種割合、③製鋼歩留まり、鉄スクラップ配合率の組合せで決まる。即ち①粗鋼生産量、②その場合の転・電炉シェア、③鉄スクラップ配合率を想定すれば、鉄スクラップの消費量の概数は予測できる。
試算式例=①粗鋼生産1億1,000万㌧、②転炉鋼割合77%、電炉鋼23%、③製鋼歩留まり・転炉91%、電炉92%、鉄スクラップ配合・転炉12%、電炉98%と想定した場合。粗鋼11,000万㌧×77%(転炉シェア)÷91%(製鋼歩留り)×12%(配合率)=1,117万㌧。電炉鉄スクラップ消費は同様にして2,695万㌧。合計3812万㌧。上記の場合、転炉鋼の鉄スクラップ配合率1%の変化は鉄スクラップ配合量93万㌧の変化を意味する。即ち、配合率が3%変化すれば、配合量は279万㌧上下する。
転炉鋼・鉄スクラップ配合率=転炉鋼の鉄スクラップ配合は80年度以降一桁が続いた。91~2000年度の10年間7.1%。01年~05年度の5年間10.0%。これが地球温暖化防止の国際条約発効確定(04年11月ロシア批准)から06年度以降の各年度は12.0%、07年13.0%、08年13.8%、09年14.0%、10年14.1%、11年11.4%、12年10.5%。地球温暖化防止の国際条約と粗鋼生産動向に左右されていることが分かる。