解体自動車輸出(自治体・経産省・環境省)
■新潟県(06年11月)=06年12月1日から新潟港(東港、西港)、直江津港及び柏崎港では、中古自動車を解体したボディー等の廃車ガラを輸出する場合は、通関手続の際に自動車リサイクル法に基づき適正に解体されたものかを確認するためマニフェスト(管理票)の添付が必要。※ 廃車ガラ:中古自動車を解体したボディー等。・マニフェストの添付がなく、自動車リサイクル法の許可のない解体(無許可解体)が確認された場合は、県、県警及び環境省等が連携し、立入検査や違法業者の摘発等を行う。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/other/pdf/press/061117.pdf
■茨城県(公開日 2014年1月28日)=解体自動車を製品原材料として,解体自動車を茨城県内の税関支署・出張所(横浜税関鹿島税関支署,同支署日立出張所,同支署つくば出張所)に申告して輸出しようとする場合,当該税関に自動車リサイクル法による電子マニフェストの写しを提出すること。当該税関に電子マニフェスト写しの提出がない場合や盗難車であることが確認された場合,県警察本部や税関,環境省関東地方環境事務所,当課等の関係機関が連携の上,必要な措置をとる。廃棄物対策課・電話 029-301-3027
http://www.pref.ibaraki.jp/news/2014_01/20140128_02/index.html
■中古自動車の輸出時における一時的な部品の取り外し範囲(経産省・環境省13年2月4日)
経済産業省及び環境省は、2012年8月から10月まで輸出形態の変化に伴う「中古自動車等の輸出に関する検討会」を開催し、同年11月「中古自動車輸出とみなす」取り外し部品の範囲や不適正輸出への対応等を取りまとめた。国はこれを踏まえ13年2月4日、「中古自動車の輸出時における一時的な部品の取り外し範囲」を内外に明らかにした。http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/export_car/report_01.html
1.中古車輸出とは認められない事例=ハーフカットなど以下の7事例は、「外見上自動車としての使用を終えていることが明確である」ことから、中古車として輸出することはできない。また、これらの作業は、使用済自動車の解体行為であり、自リ法許可業者でなければ行うことはできない。
①ハーフカット、②ノーズカット、③ルーフカット、④テールカット、
⑤エンジンの取り外し、⑥車軸の取り外し、⑦サスペンションの取り外し
2.ただし、以下の付属品等を取り外す行為は、解体行為とは解釈されない。
① カーナビ、②カーステレオ、③カーラジオ、④車内定着式テレビ、⑤ETC車載器、⑥時計、⑦サンバイザー、⑧サイドバイザー、⑨ブラインド(カーテン、カーテンレールを含む。)、⑩泥除け、⑪消火器、⑫運賃メーター、⑬防犯灯、⑭防犯警報装置、⑮防犯ガラス(プラスチック製のものを含む。)、⑯タコグラフ(運行記録計)、⑰自重計、⑱運賃料金箱(両替機を含む。)
また以下の品目は、取り外した車両と同一のコンテナに積載する場合に限り、その取り外しは解体行為とは解釈されない。
① タイヤ、②ミラー、③バンパー、④ボンネット、
⑤リアハッチ・トランクリッド
3.廃棄物輸出に該当する事例=使用済自動車、解体自動車(※)、特定再資源化物品は、自動車リサイクル法第121条に基づき、廃棄物とみなす。廃棄物を輸出する場合、廃棄物処理法に基づき、環境大臣の確認が必要。このため、1の①から⑦までに掲げるハーフカット等の作業が行われた自動車を輸出しようとする場合、フロン類、エアバッグ類、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル・水素電池、タイヤ、廃油、廃液及び室内照明用の蛍光灯が回収されていないときは、廃棄物輸出に該当するおそれが高く、違法な輸出が未遂であっても、廃棄物の未確認輸出として、罰せられる可能性がある。※適正に解体され、その全部を利用するものとして輸出業者等に引き渡されたものは、一律には廃棄物とみなされず、個別に該否が判断される。
■自動車補修用リサイクル部品(リユース、リビルト)の規格策定に関する中間報告(14年8月)
経済産業省では、使用済自動車から回収された中古部品の規格策定の方向を検討する「自動車補修用リサイクル部品の規格策定に関する研究会」を14年1月から7月まで5回にわたり開催し8月19日、中間報告をとりまとめた。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/recycle_car/report_001.html
自動車補修用リサイクル部品の現状と課題(14年1月第1回・資料4)
1.自動車リサイクル法の概要等
処理状況=重量ベースでは20~30%の部品がリサイクル部品として再利用されている。
2.自動車補修用リサイクル部品の状況
(1)用語=リサイクル部品は、取り外した部品に目視等による点検、洗浄を行い、補修等は行わないリユース部品と、取り外した部品を分解し、摩耗・劣化した構成部品を新品と交換、再組立てを行うリビルド部品に分かれる。品質確認を行わないまま再利用される部品は解体部品としてリサイクル部品とは区別する。
(2)リサイクル部品の市場動向
1)リユース部品=自動車の平均使用年数は、2005年度は約12年、2012年度は14年と長期化し13年目、15年目の車検を機に廃車となる自動車の比率が増加している。自動車リユース部品の利用促進のための「共創型グリーンポイントセンター」構築・実証事業」(環境省)によると、中古車は5年前までを「高年式車」、6~10年前までを「中年式車」、11年以上前の「低年式車」と区分し、全体に占める割合は約11%、31%、59%と低年式車の占める割合が大きい。
2)リビルド部品=リビルド部品は、使用済自動車から回収した部品や整備で交換された部品について、当該部品の摩耗、損傷した部材を交換、再組立てが行われている。交換する部材は、自動車メーカー、部品メーカーの補修部品の販売ルートから調達した部材を使う場合のほか、部材メーカーから直接調達する場合や、リビルド業者が独自に製造した部材が使用される場合も存在。整備等で交換された部品をコア部品として活用するため、販売後7~10年程度の中年式車両への部品提供が主体となる。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/recycle_car/001_haifu.html
リユース部品、リビルト部品に対する法的責任(第2回資料4)
1.製造業者(PL法)の責任
(1)製造物責任法(PL法)=94年に、全文6条で制定された(主務官庁・消費者庁)。製造物とは「製造又は加工された動産」(2条第1項)と定義するから、中古品又は廃棄物であっても「製造又は加工された動産」に該当する場合は、製造物責任の対象になる。ただ中古品に対しては、以前の使用状況、点検、修理などの状況を踏まえ、また廃棄物に対しては、製品として利用することが予定されていないという事情を考慮し個別に判断すると解釈されている。http://www.caa.go.jp/safety/index.html#m05
(2)リサイクル部品に対する製造物責任=使用済自動車から回収された有用な部品や修理に際して交換された部品がリユース部品若しくはリビルト部品として再利用された場合は、当該部品は製造物責任の対象。
①リビルト部品=補修用部品におけるリビルト部品は、使用済自動車から取り外した部品や修理の際に発生した交換部品等をベースに、摩耗、劣化した構成部品を新品と交換、再組み立てして商品化されるものであり、リビルト部品を「製造又は加工」した者が製造物責任を負う。リビルト部品の使用に際して生じた損害が、交換した構成部品の欠陥に起因する場合は、当該構成部品を供給した部材メーカーが製造物責任を負う場合がある。
②リユース部品=PL法は、販売業者は欠陥を創出し自己の意思をもって市場に供給したとはいえず、一般の販売業者に製造業者と同様の責任を負わせるのは適当でないとする。リユース部品は、部品を取り外し、分解等の手を加えず商品化されており、別の特性が加えられていないことから、リユース部品の供給業者は製造業者には該当しない。とはいえ被害者は契約責任や瑕疵担保責任に基づき修繕請求等を売主にできる。このため、リユース部品による損害が生じた場合、(リユース業者など)供給者が第一次責任を負う可能性がある。
2.リコール制度への対応
不適合製品の流通防止=リコールが発生した場合、その情報は国交省から広報される。リユース部品、リビルト部品を供給する事業者は、商品化の判断に際し、リコール情報に基づき、使用済自動車等がリコール対象車か、改善措置が行われているか確認し、リコール部品の流通防止に取り組むことが必要と考えられる。▼道路運送車両の保安基準への不適合製品の発生は、リコールのみならず、リユース部品、リビルト部品の商品化工程において生じた瑕疵等への対処においても必要となると考えられる。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/recycle_car/002_haifu.html
3.リサイクル部品における知的財産に係る権利侵害の防止(第3回・資料2)
1.特許権の侵害防止=特許権者等から譲渡された製品に関する特許権の消尽には、法令上の明文規定はないが、判例上は次のような考え方が示されている。
■判例=特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者(両者を併せて「特許権者等」)が我が国において特許製品を譲渡した場合には、特許製品の円滑な流通の必要性等も考慮し、当該特許製品については、特許権はその目的を達成したものとして消尽し、特許権の効力は、当該特許製品の使用、譲渡等には及ばず、特許権者は、当該特許製品について特許権を行使することは許されない。▼一方で、特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ、それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは、特許権者は、その特許製品について、特許権を行使することが許される(最判平19.11.8民集61巻8号2989頁)。
■リユース部品及びリビルト部品に対する製造の判断の枠組み=上記判例を踏まえれば、リサイクル部品が特許製品の「新たな製造」に当たるかどうかについては、当該部品の属性、特許発明の内容、加工及び部材の交換の態様のほか、取引の実情等も総合考慮して判断するのが相当である。加工等がされた際の当該特許製品の状態、加工内容及び程度、交換部材の耐用期間、当該部材の特許製品中における技術的機能及び経済的価値が考慮の対象とされることとなる。
2.不正競争行為の防止及び商標権の侵害防止
(1)不正競争防止法=不正競争の防止により、事業者の営業上の利益の保護を図るとともに、これを通じて事業者間の公正な競争の確保を図る法律である。商標権等は登録されていなければ権利侵害を主張することができないが、不正競争防止法では商標登録等が行われていない場合でも、一定の条件を満たす場合には権利侵害を主張し、保護を受けることができる。また模倣品等の問題が深刻化するなか、不正競争防止法においても模倣品等対策の強化が図られており、著名表示冒用行為、商品形態模倣行為に関する刑事罰が設けられ、「意匠法等の一部を改正する法律」により、商品形態模倣品行罪の罰則が強化されている。
(2)商標権の侵害防止=再利用、再生利用製品についての商標権の取扱いについて商標法その他の法令上明文の規定はない。下級審の判例では、国内における中古品販売について、「中古」又は「中古品」であることが明確にされ、その態様からして商品の出所混同を招くおそれがなく、商標の出所表示機能を害することがないから、実質的違法性を欠くとの判断が示されている(大阪地裁平成15年3月20日判決)。上記判例において示された考え方によれば、少なくとも、販売元、車両履歴、品質確認の結果などの情報を適正に提供、表示されていないような場合には、商品の出所混同を招き、すなわち商標の出所表示機能を害するため、商標法の趣旨に反するおそれがあるものといえる。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/recycle_car/003_haifu.html
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上記の論点を踏まえた「規格活用により期待される効果と今後の課題」の全文は以下の通り。
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規格活用により期待される効果と今後の課題(7月第5回・資料6)
1.規格活用により期待される効果
(2)部品市場の拡大=リユース部品、リビルト部品の状態を把握した上で利用選択できる環境が整備されることにより、自動車ユーザーのこれら部品に対する不安感解消が見込まれる。従前これら部品を積極的に取り扱われなかった販売ルートでの取扱い拡大や部品の状態等が評価された上での価格適正化が期待される。
2.今後の課題
(1)海外需要を踏まえた規格整備=輸出リユース部品、リビルト部品の信頼確保が重要になってくる。国際標準化も見据えた標準化を推進することにより、輸出リユース部品、リビルト部品が適正な評価のもとで取り引きされる環境構築を促進していくことが重要となる。
(2)知的財産の侵害防止=自動車補修部品においても模倣品対策が課題となるなか、供給事業者は知的財産の侵害防止に配慮し、供給するリユース部品、リビルト部品が新品部品の模倣品とならないように取り組むことが求められる。特に、供給事業者には小規模な事業者も多く存在することから、知的財産の侵害防止に向けた取り組みは、業界全体として取り組んでいく必要がある。
(3)検索方法の改善=部品の利用機会を拡大していくためには、補修車両の年式、仕様にあった部品が確実に特定できることが重要との指摘もある。業界において、独自に使われている部品コード、名称の統一化や、新品部品の情報検索の提供など、検索方法等の改善に取り組むことが求められる。
(4)リコール対象部品の流通防止=リコールは車両販売から年数を経て公表されるため、補修車両に装備された後にリコール対象になることも想定されることから、自動車整備事業者等が連携し、販売後のトレーサビリティの確立に取り組むことが重要となる。
(5)自動車整備事業者等における規格の活用=自動車整備事業者等において、規格に準拠したリユース部品、リビルト部品が優先的に取り扱われ、自動車ユーザーに積極的に案内されることにより、供給事業者における一層の規格の活用が促進されると考えられる。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/recycle_car/005_haifu.html