リサイクル関連・各種法制

■古物営業法(1949年制定:法律・警察庁)

1条(目的)=盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため(略)必要な規制等を行い、窃盗その他の犯罪の防止を図り、被害の迅速な回復を目的とする。
2条(定義)=「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるその他の物を含む・略)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの、又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
3条(許可)=開業するには営業所在地ごとの都道府県公安委員会の許可が必要。
11条(許可証等の携帯)=行商、競り売りの時は許可証を携帯しなければならない。
12条(標識掲示)=営業所若しくは露店ごとに古物商の標識を掲示しなければならない。
14条(営業の制限)=古物商は、営業所又は取引の相手方以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。
15条(確認等及び申告)=古物を買い受けるときは、1相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認。2住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるもの)の交付を受けるなどで、相手方の真偽を確認しなければならない。
16条(帳簿等への記載等)=古物商は、古物を受け取り、引き渡したときは、その都度帳簿等に記載すること(取引の年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴など)。
19条(品触れ)=警察本部長等は、古物商に対し、盗品その他財産罪によって領得された物の品触れを発することができる。
20条(盗品及び遺失物の回復)=古物のうちに盗品又は遺失物があつた場合、古物商が当該盗品又は遺失物を同種の物を取り扱う営業者から「善意」(事情をしらないで)で譲り受けた場合でも、被害者又は遺失主は、無償で回復できる。盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。
21条(差止め)=古物商が買い受け(略)た古物について警察本部長等は、30以内の期間を定め古物の保管を命ずることができる。
22条(立入り及び調査)=警察職員は、古物商の営業所、保管場所に立ち入り、古物及び帳簿等を検査し、関係者に質問できる。
▼古物に該当しないもの=庭石、石灯籠、空き箱、空き缶類、金属原材料、被覆いのない古銅線類である(警視庁・古物営業法の解説)。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO108.html
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07F30301000010.html
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetuzuki/kobutu/kaisetu.htm

■金属類営業条例=「金属類営業条例とは何か」のページをご覧ください。

■廃棄物処理法  http://www.env.go.jp/recycle/waste/
http://www.env.go.jp/recycle/waste_law/kaisei2010/index.html
70年(昭和45)12月、公害関係14法の一つとして従来の「清掃法」を全面改正した(施行71年9月)。「事業活動に伴って生じた」廃棄物を対象とし事業者の自己処理責任が原則(10条)。他人に委託させることはできるが、法定処理業者でなければならず(12条)、処理業者は収集、運搬、処分について知事の許可が必要である(14条)。▼鉄スクラップ業者は許可不要=「ただし専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者(略)は、この限りではない」(14条但書)。「産廃物の処理業者であっても、専ら再生利用の目的となる古紙、くず鉄(古銅を含む)、あきびん類、古繊維を専門に扱う既存の業者は許可の対象にならない」(環境衛生局長通知)。▼廃棄物定義=「廃棄物とは占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないため不要になった物をいい、これに該当するか否かは占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない」(77年3月、厚生省通知)。▼金属リサイクル伝票、リサイクル化証明書=もっぱら再生利用する古紙、金属、壜、古衣などはの扱いは、有償・無償にかかわらず許可は不要とされた(もっぱら4品目)。しかし90年代後半の資源相場の下落から買取り(有償)ではなく、払出し側に費用を請求する(逆有償)事態が発生したことから、排出者側から鉄スクラップ業者などに許可証の提示を求めるケースが多発した。この誤解を防ぎ、適正再利用を行っている証しとして関係省庁と協議のうえ99年11月、日本鉄リサイクル工業会は「金属リサイクル伝票」、日本再生資源事業協同組合連合会(日資連)は「リサイクル化証明書」を発行した。
http://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/hajimeni.html

■資源有効利用促進法
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index02.html
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H03/H03HO048.html
旧・「再生資源利用促進法(91年)」を01年4月全面改正し、「資源有効利用促進法」と法律名も改めた。個別リサイクル法の「総論」法規。3Rの促進・分別回収のための表示・副産物対策。主務大臣は「対象製品・業種」を政令で指定し、設計・製造段階の3R配慮、分別回収のための識別表示、事業者による自主回収・リサイクルシステムの構築などを規定。その「判断基準」(ガイドライン)を定め、取組みが不十分な場合は事業者に対し指導・勧告・公表・命令する。
対象=「特定省資源業種」(鉄鋼、化学工業など)、「特定再利用業種」(複写機製造、硬質塩ビ管など)、「指定省資源化製品」(自動車、家電、パソコンなど)、「指定再利用促進製品」(自動車、パソコンなど)、「指定表示製品」(プラスチック製容器など)、「指定再資源化製品」(パソコン、二次電池など)広範にわたる。2輪車やパソコンなど個別リサイクル法適用物以外の規制は同法が担当する。
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/index02.html

■自動車リサイクル法
http://www.env.go.jp/recycle/car/material4.html
(02年7月制定。03年1月以降段階的施行、05年1月から完全施行)
▼法制定のいきさつ=廃車リサイクルを加盟国に義務付けるEU指令(00年9月)と自動車シュレッダーダスト(ASR)の不法投棄が社会問題となった豊島事件(91年)が原動力となった。経済的には法制審議の直前(02年)、鉄スクラップ価格が世界的に大幅に値下がりし(原油を始め資源・エネルギー価格も歴史的な安値)、さらに埋立処分地の確保難からASR処分費が高騰、処理費や処分費用をユーザーに請求せざるを得なくなった(逆有償)ことが大きい。経済原理と業者の自由処分に任せる従来の手法では、使用済み自動車の適正処理は支えきれなくなったとの認識が広がり法制化を推し進めた。
特徴=①廃自動車は「廃棄物」とみなした(121条)。解体業者や破砕前処理業者(プレス業者)、破砕業者も「許可制」とした。②リサイクル対象はフロン類、エアバッグ、ASRの3品目に限定。バッテリーやガラス、タイヤ類はカバーしない。③処理料金はユーザーが「前払い」で負担。自動車メーカーには引取り、制度運営を含む再商品化責任(「拡大生産者責任」)を課した。④リサイクル工程は電子「管理票」で掌握し、情報を一元管理する(実務は「自動車処理促進センター」や自動車再資源化協力機構・自再協が行う)。⑤廃車処理はシュレッダーで破砕する場合(28条)と、電炉等が大臣認定を受け廃車解体関係者と「コンソーシアム」を結成し解体(プレス出荷)する場合(31条)を想定した。▼影響=法が使用済自動車を廃棄物とみなし、解体処理に法的な道筋(許可制)と経済的なメリット(28条、31条)を与えたことから、自動車解体・部品回収の作業の機械化・近代化、ビジネス化はこれを機に進んだ。シュレッダー業者が処理する場合(28条)、発生ASRは、ユーザー負担(リサイクル料金・前払い)のもと、自動車メーカーの責任において処理される。シュレッダー業者はASR費用負担から免除され、前処理としての磁選機、非鉄選別機から銅やアルミ、ステンレスの回収に専念できるようになった。自動車解体業者が処理し、電炉などにプレス品として使用する場合(31条)でも、一定の条件でリサイクル料金を自動車解体業者に還付する仕組みも用意。枠組みは電炉と解体業者に委ねるが、電炉側は銅分含有を0.3%以下(精緻な解体)にすることを求めている。
http://www.env.go.jp/recycle/car/situation3.html

■容器包装リサイクル法
http://www.env.go.jp/recycle/yoki/dd_1_laws/index.html
(95年6月制定、 95年12月施行)=正式名称は「容器包装に係る分別収集及び再商品化促進法」。同法は各種リサイクル法の先頭を切って施行された。▼スチール缶、アルミ缶は除外品=一般廃棄物のなかで大きな割合を占めるペットボトルなど容器包装廃棄物について分別収集を進め、再商品化を進めることを目指す(第1条)。分別基準に適合した物であっても、「有償または無償で譲渡できることが明らかで再商品化する必要がない物」は除外(法2条6項)され、スチール缶、アルミ缶などが除外品目に指定された(規則3条)。ただ有償または無償で取引されない(逆有償)場合、同法の対象となる。この回避のため「スチール缶リサイクル協会」が行政の回収等に協力している。

■家電リサイクル法
http://www.env.go.jp/recycle/kaden/law.html
(98年6月制定、01年4月施行)=正式名称は「特定家庭用機器再商品法」。
市民を排出者、家電販売店等を収集・運搬者、家電メーカー等を再商品化義務者とし、処理料金は排出時にユーザーが負担する(排出時「後払い」制=自動車リサイクル法は処理費用をユーザーが前もって負担する「前払い」制)。受け渡しは電子「管理票」で行い、家電メーカーには「自らが過去に販売した商品」につき引取り・再商品化責任を負う「拡大生産者責任」を課した。同法は09年4月から2品目を追加、リサイクル率の改訂など若干の手直しを行ったが、議論の対象となった「前払い制」への変更は見送った。
▼概要=製造業者等は指定引取場所で自らが製造等した機器を引き取る。対象機器はエアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビ、洗濯機の4品種。09年4月から液晶・プラズマテレビ、衣類乾燥機の2品種を追加。製造者等は再商品化等料金をユーザーに請求できる。料金額は再商品化等を能率的に実施した場合の適正原価を上回ってはならない。▼引取、引渡義務とマニフェスト(管理票)制度=小売業者は自ら販売をした機器の引取りを求められたとき、または同種の機器の引取りを求められたときは引き取らなければならない。その場合、排出ユーザーに対し対象機器収集及び再商品化等に関する料金を請求することができる。さらに引き取った家電は「中古品として再利用する場合を除き」リサイクル責任者である製造業者等に引き渡さなければならない。この全体の流れを管理するために(財)家電製品協会・家電リサイクル券センター(略称RKC)は電子管理票を発行し、再商品化の一元管理を行う(家電リサイクル券システム)。
▼家電リサイクルの回収はAとBの2グループで実施=「松下・東芝」のAグループと、「日立・三菱・シャープ・三洋・ソニー・富士通」のBグループの2陣営にわかれた。Aグループは既存の鉄スクラップ業者などと提携するが、Bグループ各社は、全国各地に自前の拠点工場や自治体との連携による「エコタウン」に参加・独自の工場を建設に動いた。http://www.env.go.jp/recycle/kaden/shiko/index.html

■小型家電リサイクル法
http://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/law.html
(13年4月施行)=正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化促進法」。
電子機器の小型化、機能の高度化に伴い、小型・高機能を支える添加材や製造・加工工程でレアメタル、レアアースの需要が急激に高まった。これらレアメタル、レアアースの生産、供給は中国に偏在するため、新たな国家戦略が求められた(09年レアメタル確保戦略)。戦略の4本柱の一つとして海外資源の確保とともに国内のリサイクル拡充が掲げられた。このため環境省と経産省は合同で08年以来、「使用済小型家電からのレアメタル回収及び適正処理に関する研究会」を立上げ、両省は「使用済小型電子機器等の再資源化促進法」として国会に上程し12年8月成立。13年4月1日から施行された。
▼特徴=①市町村に分別回収責任。先行リサイクル法は不法投棄防止と適正処理を担保するため「マニュフェスト(伝票)」制度を採用し、排出者に費用負担を求めた。本法は、小型家電の効率的な回収のため「市町村は分別して収集する」(5条)として市町村に直接、分別し収集するよう要請した。②業者認定。収集運搬及び処分を行おうとする者は、実施計画を作成し、大臣認定を受ける必要がある(10条)。③処理法除外特例。認定者が再資源化に必要な行為を行う場合は、廃棄物処理法に基づく一般廃棄物収集運搬業、一般廃棄物処分業、産業廃棄物収集運搬業及び産業廃棄物処分業の許可は不要(13条)。④債務保証特例。必要資金調達の円滑化を図るため、認定を受けた者は「産業廃棄物処理特定施設の整備促進法」に基づき産廃物処理事業振興財団が行う債務保証等の対象とする(14条)。⑤対象品目。携帯電話やデジカメなど28分類を対象とした。鉄、非鉄リサイクル業者、産廃業者や三井物産、共英製鋼など商社、電炉会社も「認定業者」登録に名乗りを上げた(下記のサイト参照)。
http://www.env.go.jp/recycle/recycling/raremetals/trader.html

■土壌汚染対策法
http://www.env.go.jp/water/dojo/law.html
土壌汚染から住民等の健康被害を防止するための法律として02年5月29日に公布され、03年2月15日から施行された。▼概要=同法は鉛や砒素などの有害物質を扱う工場が廃業し、宅地などに用途を変更する際に汚染調査を義務付けた。また健康被害が生じるおそれがある場合は、都道府県知事は所有者等に汚染除去を命じる。汚染者以外が除去した場合、汚染者が分かって3年以内、除去して20年以内であれば、汚染者に費用請求ができる。▼土壌汚染状況調査=都道府県知事は「特定有害物質=鉛、砒素、トリクロロエチレンその他」の汚染の可能性のある土地について調査・報告を命じる(使用が廃止された工場や事業所の敷地。または健康被害が生じるおそれがある土地)。都道府県知事は「基準に適合しない土地」を「指定区域」として公示するとともに指定区域の台帳を調製し、閲覧に供する。▼健康被害の防止措置=都道府県知事は、健康被害が生じるおそれがあると認めるときは、所有者等(土地の所有者、管理者、占有者)に「汚染の除去等の措置=立入制限・覆土・舗装・汚染土壌の封じ込め・浄化等」度を命じる。土地の所有者等が汚染の除去等の措置を講じたときは、汚染原因者にその費用を請求することができる。
■鉄スクラップ業者への影響=リサイクル事業所がこの土壌汚染対策法に直ちに該当するかは分からない。ただ鉛など特定有害物質に汚染の可能性があると、都道府県知事に認定すれば、同法とは無関係ではありえない。処理がむき出しの土場・地面で行なわれ、地下浸透防止策が行なわれていない場合、そのおそれは高い。さらに担保価値の問題がある。▼銀行担保価値=一部銀行内規によれば、土壌汚染地区と指定された既存の担保の土地評価額をゼロとする。また、有害物質を扱う工場や企業などが保有する土地は調査で汚染が無いことが判明しない限り、新規担保の対象から原則としてはずす。

■バーゼル法(条約)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-H5-0237_1.pdf
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-H5-0237_2.pdf
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/B-H5-0237_3.pdf
有害廃棄物の国境を越える移動及び処分の規制に関する条約。同条約の批准に伴い、日本はバーゼル国内法を制定した(93年12月)。▼バーゼル法と廃棄物処理法の関係=バーゼル法は有害物であればリサイクル物(有価)、廃棄物(無価)に係らず輸出入を規制する。一方、廃棄物処理法は廃棄物定義に従い、有害・無害に係らず、逆有償であれば廃棄物として輸出入を規制する。▼バーゼル条約対応=廃棄物処理法も「廃棄物国内処理の原則」(2条の2)を明記。廃棄物の輸出は禁じた。ただし①国内処理が困難な物、②輸出相手国での再生利用が確実な物、は環境大臣の確認で輸出は可能。③申請は排出事業者に限り、処理業者は輸出できない。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/basel.html
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/3r_policy/policy/pdf/grobal/ref_08.pdf