■トルコ向け貿易相場は、模様眺め気配が続く(7月1日)=6月27日時点のトルコ向けHMS(80:20)バルク指数は345.0㌦CFRで、先週比よこばい(4月28日325.00㌦CFR)。トランプ米大統領が6月4日、米国向け鉄鋼、アルミに50%の追加関税を課したことから、世界の鉄鋼・鉄スクラップ需給環境の先行きは不透明。またイスラエルとイラン戦争に米国が参戦したことから、ホルムズ海峡の海上ルートの混乱や中東諸国の政情不安など、トルコ産の鉄鋼輸出環境も流動化が懸念される。鉄スクラップでも手探り相場が続いている。
■米国コンポジット・プライス、311.67㌦、6週連続よこばい(7月2日)=6月30日付け米国コンポジット・プライス(ピッツバーグ、シカゴ、フィラデルフィア3地区平均)は311.67㌦で前週と同値。4月第1週(378.33㌦)をピークに、鉄鋼を巡る世界的な不透明感から、上昇分の約9割弱を失った。
■LME鉄スクラップ先物・現地6月30日:1ヶ月=341.52㌦(前日342.0㌦)。2ヶ月=348.5㌦(345.5㌦)。3ヶ月=347.0㌦(345.0㌦)。6ヶ月=352.5㌦(347.0㌦)。12ヶ月=366.5㌦(366.0㌦)。
■東京製鉄、28日から田原工場の買入価格を500円下げ(6月27日)=東京製鉄は6月28日から田原工場の買入価格を500円下げた。6月3日、九州・岡山・高松の購入価格を一律500円引き下げた。
この結果、特級価格は、田原(海上・陸上)=41,000円(500円下げ)、名古屋サテライト(陸上)=40,500円(据え置き)、岡山(海上・陸上)=40,500円(据え置き)、関西サテライト(陸上)=40,500円(据え置き)、高松(陸上)=38,500円(据え置き)、九州(海上・陸上)=39,500円(据え置き)、宇都宮(陸上)=40,500円(据え置き)、東京湾岸サテライト=41,000円(据え置き)となった (tokyostee.co.jp)
■POSCO、HSや新断バラ購入価格を前回と同値、据置(6月27日)=テックスレポートによれば、POSCOは26日、POSCOインターナショナルを通じて8月20日を船積み期限とする日本産スクラップのオファーを集め、HS・46,500円CFR、新断46,000円CFR、シュレッダー46,000円CFRで、いずれも6月12日提示価格に据え置いた。東京湾から2~3000トン積みのフレートは現在、トン当たり3,000円程度とみられ、FOB換算価格はHS・43,500円、新断43,000円に相当する。
■H2炉前価格(鉄源協会・6月25日)=6月第4週:関東40,167円(先週40,167円)。前年同週49,500円。▽関西36,875円(先週37,375円)。前年同週47,625円。
■異形棒鋼価格(鉄源協会6月23日):6月第3週=東京108,000円(先週108,000円)。前年同週117,000円。▽大阪97,000円(先週97,000円) 。前年同週104,000円。
直近 日経新聞、業界紙、各社㏋要約
■日本製鉄、USスチール買収関連は「別掲資料」を参照してください。
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■鉄リ北海道支部、石狩湾新港整備事業で国交省に要望書(6月26日・テックスレポート)=北海道支部(支部長=駒谷僚・鈴木商会社長)は26日、国交省の石川伸大臣官房審議官らを訪ね、石狩湾新港国際物流ターミナル整備事業の推進を求める要望書を提出した。工業会からは本部、北海道支部代表ら7名が出席。関東鉄源協組の南理事長も同席した。北海道では年間で約100万トン発生鉄スクラップのうち約6割を海外を輸出することで需給バランスを維持している。近年、輸出国がバングラデシュやインドなどへ遠方化し、3万トン級の大型貨物船での輸出が求められる中、大型荷役設備も不可欠となっている。さらに将来的に世界最大の鉄スクラップ輸入国であるトルコへの輸出を視野に入れる中、関東鉄源協組の南理事長は「東京湾では3万トン級は船積みできない。しかし、石狩湾新港が整備されれば東京湾、石狩湾新港の2港積みにより、3万トン級の船積みが可能となる。北海道と連携し、輸出先の遠方化に対応していきたい」などと話し、同組合としても同事業の推進を要望した。
■シップ・リサイクル条約発効(6月26日・テックスレポート)=2009年にIMO(国際海事機関)で採択されたシップ・リサイクル・香港条約は23年6月26日に発効要件を充足し、規定に基づき25年6月26日、発効した。世界船舶の97%が条約に従いリサイクルされることになった。海運統計要覧2023(出所:UNCTAD STATISTICS)によると21年の世界解撤量1477.8万トンのうち、香港条約締約国(24ヵ国)で解撤された船舶は1439.1万トンでその割合は97.4%。
■環境省、廃棄物処理制度の中間取りまとめ案(6月25日・産業新聞)=環境省は24日、中央環境審議会・循環型社会部会・廃棄物処理制度小委員会(第6回)を開催した。不適正ヤード問題への対応などが盛り込まれた今後の廃棄物処理制度の検討に向けた中間取りまとめ案を議論し大筋で了承した。不適正な処理や輸出を防ぐ実効性のある対策を検討。全国統一の規制や罰則強化の方向性を示す一方、適正業者にとって過度な負担とならない措置も検討する。
中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会(第6回) | 環境省
https://www.env.go.jp/council/content/03recycle06/000323850.pdf
https://www.env.go.jp/council/content/03recycle06/000323467.pdf
■米、鉄鋼・アルミ追加関税 白物「派生製品」家電も 50%(6月24日)=トランプ政権は3月、鉄鋼・アルミ製品に25%の追加関税を発動した。6月4日に50%に引き上げた。6月23日、追加関税の「派生製品」対象に白物家電を加えた。洗濯機のほか、乾燥機や冷蔵庫、食洗機、調理用コンロ、電子レンジ・オーブンなどを加えた。日本の白物家電メーカーのシェアは低い。対米輸出が多い韓国やメキシコ、中国の企業が追加関税の影響を受ける。
■日本鋳造、3Dプリンターで部品 99%の鉄で造形(6月24日)=プリンターの価格は数年前の1億5千万円ほどから7千万円程度まで下がった。一方、材料はアルミやチタン、ステンレスを使うため高い。日本鋳造は3Dプリンターの造形に最大純度99%の鉄と炭素からなる材料が使える新技術を開発し、国際特許を取得した。
■5月粗鋼生産683万トン、前月比3.5%増、前年同月比4.7%減(6月22日・鉄連)=5月の銑鉄生産は496.0万トン(前月比4.7%増、前年同月比4.2%減)。粗鋼生産は683.3万トン(前月比3.5%増、前年同月比4.7%減)。前年同月比は2カ月連続の減少、5月の1日当たり粗鋼生産は22.04万トンで、4月(22.01万トン)比0.1%増となった。炉別では転炉鋼507.4万トン(前月比5.1%増、前年同月比4.0%減)、電炉鋼175.9万トン(前月比0.9%減、前年同月比6.7%減)。前年同月比は転炉鋼2カ月連続の減少、電炉鋼10カ月連続の減少となった。
■ミタル、水素製鉄を中止(6月22日・日経新聞)=アルセロール・ミタルはドイツの2カ所の製鉄所の「水素製鉄」導入中止を決めた。ドイツ連邦政府などから13億ユーロ(約2200億円)の補助金を得る予定だったが、グリーン水素の供給計画の遅れなどから「財政支援があっても事業化は困難」と判断した。独連邦政府などはミタルのほか、ティッセン・クルップとザルツギッター、ザールシュタールなど独鉄鋼大手の水素プラントへの転換計画に計70億ユーロの補助金拠出を決めている。ティッセンは独西部デュイスブルクの高炉で新プラントの建設を始めたが稼働開始を26年から27年に遅らせると明らかにした。
■製鉄用石炭4年ぶり安値(6月21日)=鉄鉱石の7~9月の調達価格(FOB)は1トン91ドルと、4~6月積みに比べ6ドル下がった。*原料炭の調達価格(FOB=本船渡し)は1トン約183ドルと、1~3月積み分に比べ11ドル下がった。2021年4~6月(117ドル)以来の低水準だ。先行きは原料炭、鉄鉱石とも足元の低調さが続くとの見方が多い。一方で「原料炭で180ドル、鉄鉱石で80~90ドル程度では赤字の生産者が出るため供給が絞られやすく、価格の下支えになる」との見方もある。
■豪州で低炭素製鉄法開発合弁事業(6月18日・産業新聞)=豪鉄鋼大手のブルースコープ・スチール、豪資源大手のBHP、英資源大手のリオティントの低炭素製鉄法開発合弁事業、ネオスメルトは17日、豪ウッドサイド・エナジー、三井物産子会社の三井アイアン・オア・デベロップメント(MIOD)が合弁に加わると発表した。豪州再生可能エネルギー庁(ARENA)はネオスメルトに1980万豪ドル(19億円)の支援を決めた。5社の知見などを集めて西豪州ピルバラ地区の鉱石を活用した製鉄用電気製錬炉(ESF)による低炭素製鉄法を開発する。
■日本鉄源協会と鉄リサイクル工業会、連携深化(6月18日・産業新聞)=日本鉄源協会(会長=廣瀬孝・日鉄副社長)は16日、第50回定時総会と第210回理事会を開催した(副会長は4人。美濃部慎次・合鉄参与、鹿嶋忠幸・大同特殊鋼常務執行役員、木谷謙介・シマブンコーポレーション社長、飯田俊夫・日本再生資源事業協同組合連合会会長)。廣瀬会長は日本鉄源協会と日本鉄リサイクル工業会が1975年の設立以来「一体不可分で鉄の循環を支えてきた」と振り返った。特に2020年の政府のカーボンニュートラル宣言以降、電炉だけでなく高炉を含め「より一層緊密な連携が必要」と述べ両団体の協力を強調した。
■東鉄、7月下旬から4工場で夏季定修を計画(6月17日)=テックスレポートによれば、◇田原工場=7月28日~8月7日、◇岡山工場=8月18日~8月22日、◇九州工場=7月28日~8月8日、◇宇都宮工場=8月25日~9月4日。
■米国、鉄鋼使用の家電製品にも追加関税50%を適用(6月16日)=テックスレポートによれば、米国商務省は12日、同国に輸入される鉄鋼使用家電製品について、6月23日から追加関税50%の対象と公示。冷蔵庫、乾燥機、洗濯機、電子レンジなどが「鉄鋼派生製品」として課税対象になる。
■金属盗対策法が成立(6月13日 共同通信)=金属くず買取業者の規制強化を柱とする新法「金属盗対策法」が13日、成立した。公布後、1年以内に施行する。業者は都道府県の公安委員会に営業届出が必要となり、無届営業した場合は6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、または両方を科す。本人確認は、運転免許証などを想定し、氏名や住所、生年月日を確認して記録を作成し、取引記録とともに3年間保存とする。盗品の恐れがある際の通報も義務付けた。捜査の過程や、警察の立ち入りでこれらの義務違反が判明し、悪質な業者は6月以内の営業停止とする。ケーブルカッターなど、銅線を切断できるサイズの工具を隠し持つことも禁止。違反した場合、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金。対策法は被害が多発する銅を規制対象としたが、他の金属の追加を可能にした。不法滞在の外国人の摘発が多く、合わせて入管難民法も改正。犯行工具を隠し持って拘禁刑になった外国人を上陸拒否や退去強制の対象とした。
■神鋼商事と田口金属(本社=東京都新宿区)は13日、非鉄金属リサイクル事業で合弁会社(6月16日)=テックスレポートによれば、神鋼商事と田口金属(本社=東京都新宿区、田口憲昭社長)は13日、非鉄金属スクラップのリサイクル事業を行う合弁会社の設立で基本合意した。来年4月1日付けで合弁会社を設立する予定。新会社の名称や所在地、出資金、出資比率など詳細は未定。ただ、神鋼商事が過半数の出資を行う見通しで、社長は同社から派遣する。
■エンビプロ、新社長に佐野文勝副社長が昇格(6月13日)=エンビプロ・ホールディングスは12日、取締役会で佐野文勝取締役副社長が代表取締役社長に内定したと発表した。就任予定日は9月25日。佐野富和現社長は取締役会長に就く。
■関東鉄源協同組合、2万トン船で出荷(6月12日・テックスレポート)==関東鉄源協同組合は2001年の設立以来、初めて2万トン級の大型船で鉄スクラップを船積みする。東南アジア向けに鉄スクラップを輸出するにあたり、大型船に積み込むことで海上運賃(フレート)を抑えることができ、より高価格で輸出できる可能性が高まる。
■日本鉄リサイクル工業会、第50回通常総会開催。「鉄スクラップ」名称の変更を検討(6月6日・産業新聞)=日本鉄リサイクル工業会は5日、グランドメルキュール札幌大通公園で第50回通常総会と北海道支部主管の第35回全国大会を開催。会員など700人が参加した。第4副会長の米田剛氏が同日付で退任し、向井英輝氏(エムエム建材常務執行役員製鋼原料本部長)が就任した。木谷謙介会長は、「鉄スクラップ」名称の変更を検討し、変更の是非を含め「時間をかけてと考えていきたい」と述べた。
■愛知製鋼、インド特殊鋼に追加出資(6月5日 18:21)=愛知製鋼は5日までに、インドの特殊鋼メーカー、バルドマンスペシャルスチール社に追加出資すると発表した。出資比率を現在の11%から24%まで高め、持ち分法適用会社にする。生産能力を3割以上高める。自動車産業の発展が見込まれるインドで足場を固める。
■SRR、調査レポート「ベトナム鉄源需給」を公開(6月6日)=鉄リサイクリング・リサーチ(SRR)は6日、『ベトナム鉄源需給・現状と展望・ASEAN』をまとめ、同社ホームページ(http://srr-scrap.com/files/100.pdf) に無料公開した。
2023年の粗鋼生産は1921万トン、2024年速報は2006万トンとなった。過去最高は2021年2300万トン。2014年に高炉が稼働したことから、2023年現在の製鋼内訳は転炉59%、電炉41%(アーク式45%、誘導型54%)などと紹介している。
鉄スクラップに関しては「2023年粗鋼生産1921万トンに要した鉄源は推定2210万トン(粗鋼生産×1.15で試算)、うち銑鉄消費1300万トン(58.9%)、DRI消費ゼロ、鉄スクラップ消費909万トン(41.1%)」と推計。鉄スクラップ消費909万トンの内訳は、「リターンくず154万トン(粗鋼生産の8%)を除く756万トンが輸入を含む購入屑であり、輸入は436万トンなので製鋼部門の市中くず購入量は319万トン。市中くずよりも輸入くずが大きい。別にスクラップ輸出が96万トンあるので、市中くずの国内発生量は製鋼用国内購入319万トン+輸出9.5万トン計329万トンと推計される」などと解説している。
■共英製鋼と廃棄物処理の光和精鉱が業務提携(6月6日・テックスレポート)=共英製鋼と廃棄物処理などを手掛ける光和精鉱(福岡県北九州市)は6日、環境リサイクル事業で業務提携と発表した。共英製鋼は中期経営計画(「NeXuSⅡ 2026」)電炉溶融処理にとどまらず、他社処理施設の活用による「産廃処理のワンストップ体制の強化」に取り組んでいる。両社は、①広域集荷と顧客サービスの向上、②有害重金属などの難処理廃棄物の処理検討、③サーキュラーエコノミー(再資源化)技術の開発――の3分野で業務提携する
■共英製鋼は越北部で製鋼一貫、南北合わせ年間能力200万トン体制(6月5日・産業新聞)=共英製鋼は越北部電炉子会社のベトナム・イタリー・スチール社(VIS)に圧延工場を新設した。電炉製鋼を行うハイフォン工場に圧延工場を増設した。今回の圧延ライン新設により、同社のベトナム全体の生産能力は北部と南部を合わせて年間約200万トンまで拡大する。
■日本の鋼材輸出、米向け4%(6月5日)=2024年の日本の鋼材輸出量は3171万トン。韓国(478万トン)やタイが多く、米国は121万トンと4%程度。だが、自動車関税のさらなる引き上げに波及すれば「国内鋼材需要の押し下げ要因になる」と警戒する。
■米、鉄・アルミ50%関税発動(6月4日・夕)=トランプ米政権は4日、鉄鋼・アルミに追加関税を25%から50%に引き上げた。米国の鉄鋼業は引き上げを歓迎。米国鉄鋼協会・会長のローレンコ・ゴンカルベス氏(クリーブランド・クリフスの最高経営責任)は「関税措置は貿易不均衡を是正し、投資を米国に呼び込む」と話した。米国は世界最大の鋼材輸入国。23年の輸入鋼材比率は3割にのぼる。米国の鋼材価格は世界平均の2倍の高値だ。スチールベンチマーカーによると平均価格は5月26日時点でトン当たり901ドルだった。
■米国鉄鋼協会、トランプ大統領による鉄鋼関税引き上げを称賛(6月3日・テックスレポート)=米国鉄鋼協会はトランプ大統領が鉄鋼・アルミ関税を現行の25%から50%に引上げとの決定に対し「今回の関税措置は、米国の鉄鋼生産者と労働者に損害を与えるであろう輸入の急増を防ぐのに役立つだろう」と述べ、6月4日に発動を予定している追加関税の効果に期待を寄せた。
■来期鉄鉱石価格は91.09ドルへ今期比6%安(6月3日・テックスレポート)=高炉3社の7-9月調達鉄鉱石価格(含有鉄分62%、西豪州鉱)は前期比5.67ドル(5.9%)安の91.09ドル/DMTとなった。トランプ関税をはじめとする鋼材を取り巻く環境や最大の消費国である中国で国内総生産の3割前後を占めるなど先行きはマイナス材料が多い。こうした事業環境下で豪州の金融をはじめとする関係機関では先行きの価格予想についてはそろって先安を想定している。