1 金属屑営業条例
金属類営業条例は朝鮮戦争さなかの1950~52年に西日本5県、鉄屑カルテル崩壊の危機に直面した56~58年に全国24道府県、合計29道府県が(金属盗犯の防止を名目に)制定した。ただ鉄スクラップの炉前価格が1万円を割り込んだことから1999年以降、14県が条例廃止に踏み切った。その結果、一旦は廃止した岐阜県が2013年に再制定した例を含め、24年5月現在、条例施行は16道府県に留まっている。
このなか24年5月、警察庁は金属スクラップの盗難防止条例制定を検討するよう条例未整備の31都府県の警察に指示をだした。
その復活 *千葉県は24年7月、千葉県は2005年に廃止した「金属くず取扱業条例」を20年ぶりに「特定金属類取扱業規制条例」に改め再制定し、2025年1月から施行した。規制対象は「電線、グレーチング、マンホール、敷板、足場板、銅製の屋根材等の金属製物品(第2条)」とした。★☆条例に関するお知らせ★☆ | 千葉県特定金属類取扱業の規制に関する条例の制定 | 千葉県警察。 https://www.police.pref.chiba.jp/content/common/000067785.pdf
*ついで茨城県警も1957年制定の「金属くず取扱業条例」を「特定金属類取扱業条例」(改正条例)に名称を改め、2025年4月1日から施行した。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a06_shinsei/metal/procedures.html kinzokumokuji_01.pdf
2 「金属盗対策法」が登場
「金属盗対策法」(盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律)が25年6月13日に成立した(公布6月20日)(注1)。金属くず買取業者には営業届出を義務制とし、違反すれば6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金または両方を科し、売主の本人確認や取引記録の3年間保存、警察の立入調査や営業停止の行政処分も可能とする。業者が無届営業した場合や本人確認の確実な実施指示に従わない場合は6月以内の営業停止とする(注2)。犯行用具規制及び盗難の防止に関する情報の周知は、25年9月1日から、買受業に係る措置は、公布の日から起算して1年を超えない範囲で施行される(注1)。
3 古物営業法施行規則を改正する
現行の古物営業法の「古物」とは規則第2条列挙の13品種であり、金属屑類の記載はない(従って金属屑は「古物」には該当しない)。
規則は古物商に厳格な「本人確認義務」(第15条)を課す一方、「確認等の義務を免除する古物等」として1万円未満の古物取引は確認義務は不要(第16条)している。
ところが警察庁は25年6月「古物に該当する電線、グレーチング、エアコン等の室外機についても、取引金額の多寡にかかわらず本人確認義務等の対象」とし、買い取り業者に対して25年10月1日以降、の規則改正に乗り出した(注3)。
4 廃棄物処理法も見直しへ
環境省の廃棄物処理制度小委員会は「制度検討の中間とりまとめ」(25年6月)の検討事項としてとして「金属スクラップや雑品スクラップ等」のヤード「保管・処理」は「制度の対象とすべき」である。「許可制、登録制又は届出制が考えられるが」「どのような手法が適当かそれぞれ検討すべきである」とした。
注1 令和七年法律第七十五号・盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/507AC0000000075/20260619_000000000000000
注2 特定金属製物品の買取業に係わる措置
金属くず買取業者に関する措置は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」から、現時点では法令上の規制はない。
ただし、措置内容はすでに明文で公開されている。070820_hourituyoukou_kijitu.pdf
注3 警察庁広 報 資 料――――――令和7年6月26日 生活安全企画課
https://www.npa.go.jp/news/release/2025/2025062602kouhou.pdf
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